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侯爵家三男は快適に暮らしたい。〜前世の知識で異世界魔導具づくり〜  作者: 西 悠希


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103/115

第103話 思わぬ収穫。



「こんにちは」


「あっ、フィン様。今日からでしたか!」


「はい。忙しい時にすみませんが、隅の方をお借りしますね」


「いえいえ、あの一角が空いてますので、そちらをお使いください」


「ありがとうございます」


洗濯機の魔導具化のために、今日は昼からリリエン工房に来た。隅の方でいいと伝えていたのに、思ってたより広めにスペースを開けてくれているな。……ありがたい。


さて、洗濯槽だな。

青銀鋼に魔力を纏わせて形成していく。外装より、一回り小さいくらいでいいよな。……こんなもんか?


……いや、もう少し小さい方が良さそうだな。

これじゃあ、回転時に外装と接触する。


もう一度やり直して……よし、大きさはこれでいいだろう。

次はそこに軸を差し込むための部分を作る。……軸を差し込んで確認。うん、これでいい。


次は……やっと魔導回路だな。……この大きな洗濯槽に魔導回路だよなぁ。これなら描写ペンの先は太めがいいか。持ってきておいて良かった。


……洗濯槽の曲面に、太めのペン先だと描きづらいんだな。初めて知った。まぁ、細かいより全然マシだけど。

とにかく、魔導回路が曲がらないようにゆっくりと描いていく。


…………。


やっと三本描けた。

……まだ先は長いな。


九本目を描き終えたとこで、声をかけられた。


「フィン様。そろそろ休憩時間になりますが、一緒にお茶でもどうですか?」


「……そうですね。せっかくなのでいただきます」


やっぱりリリエン工房――アレク叔父さんはしっかりしてるんだな。ちゃんと休憩時間を設けてる。

俺は一人だから、キリがいいところまでいかないと、休憩するのを忘れることが多いからなぁ……。


「……美味い。あの店のお茶に似てる……」


「もしかして、食堂《オールド・ハース》ですか?」


「そうです。あの店、知ってるんですか?」


「えぇ。この辺りで働いてる者は、あの店の常連が多いですよ」


「そうなんですね。俺も小さい頃から、リリエン商会の帰りによく行ってて、ちょうど昨日も食べに行きました」


「あの店は何を食べても美味いですよね!それに食後に出してくれるお茶も美味い。それを再現できないかと、調合したのがこのお茶なんですよ。まだまだですがね」


「いや、すごく似ててびっくりしましたよ!昔、店主に茶葉を聞いたら秘密だと言われていたので、余計に!」


「この配合で良ければ教えましょうか?」


「えっ?!いいんですか?」


「かまいませんよ」


「じゃあ、お願いします」


まさかこんなところで、あの店のお茶に近い茶葉の配合を教えてもらえるとは……。


「はい、これが三種類の茶葉と配合量です」


メモを受け取った。


……なるほど。この香ばしさは、この二つの茶葉のものだったのか。……あと一つは飲んだことがないかも。一度、それぞれを飲んでみるのも楽しそうだな。

帰りにでも茶葉を買って帰ろう。


休憩を終え、また魔導回路に取り掛かった。魔力を流しながら微調整し、描いていく。


…………。


……終わったー!


あれからどれくらい経ったのか、洗濯槽の魔導回路を描き終えた。

洗濯槽自体が大きくて、魔導回路も細かくなかったから、魔導回路同士が接触しそうになることもなく、スムーズにできた。

やっぱり細かいものを作るより楽しいな。


えっと、次は――




【side:アレクシス】



「こんにちは」


「いらっしゃいませ、リリエン伯爵様。本日はどのようなご用件でしょう?」


「貴族街寄りに食事処を作ろうと思っていまして、空いている物件の紹介をお願いしたいのですが」


「承知しました。確認いたしますので少々お待ちください」


近くの椅子に腰を下ろした。


商業ギルドも忙しそうだな。

避暑から戻ってくる者が多くなるからだろうが。うちも今年は年末まで忙しいだろうから、気合いを入れないとな。


「お待たせしました。こちらが現在空いている物件です」


「……なるほど」


空き家が四件、空き店舗が六件か……。場所はどれも丁度よさそうなところみたいだな。

だが……空き店舗が六件か。あの辺は商売に向いていないわけではないと思うが……。


「空き店舗が六件もあるのはなにか理由が?」


「そちらは元々賃貸物件で、賃料が値上がりしたことと、店主がご高齢だったこともあり、店を畳まれました。他の空き店舗も、所有者が貸し出しをやめて売却することにした物件です」


時期が重なっただけなら、候補が多くなったのはむしろ好都合だな。

……隣同士の空き家もあるのか。思い切って改装するのもいいかもしれないな。

いや、この空き店舗も良さそうだ。二階も広く使えるから、フィンの工房にも出来るんじゃないか?


まぁ、一度見に行ってみて、良さそうだったらまたフィンを連れて見にいこう。


第103話を読んでいただき、ありがとうございます!

好きなお茶に似た味を、今後は屋敷でも楽しめそうです。

次回も楽しんでいただけると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
毎回思うが回路書いてから曲げるのはだめなん?歪んだ回路だけ書き直せば相当早く書けるんじゃね?
工房と食事処を一つにしたら外出する要素が無くなるんじゃね?
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