死神達が棲む世界
翌日、智は一人紙袋を抱えて山の方に向かっていた。冥界への入り口は、その地の海や山という特徴的な地形にあるという。智は、一人白部山に向かって行った。
智が歩いていると、偶然玲奈達三人に出会った。玲奈達も出掛けている最中だったらしく、リュックを持って歩いている。
「あれ?智君どうしたの?」
「母さんにお使いを頼まれてな」
「それでどこまで行くの?」
「冥界…、お前達が言う、“あの世”にだよ」
それを聞いて一同は驚いていたが、玲奈だけは目を輝かせてこう言った。
「冥界…、行ってみたい!付いていってもいい?」
智は玲奈が冥界と聞いて怖がらない事に戸惑った。
「待て、あの世だって行って怖がらないのか?!」
「冥界って死神達が居るんだろ?智が行けるなら、俺達だって行けるんじゃないのか?」
智はしばらく渋い顔をしていたが、三人が楽しそうに話しているのを聞いて智は、頭を抱えてこう言った。
「一人で行くの心細かったから、付いていってもいいけど…、でも俺の目の前から離れるなよ?!冥界がどんなに危険な場所なのか、お前らは分かってなさそうだからな」
三人は智に付いていき、山の方へ向かっていった。
智は山の中に入って行く。手には青い炎が宿ったランタンを持ち、登山道から離れた道を歩いていく。
しばらく歩いていると、不自然な形の靄が見えた。智が鎌でそれを斬ると、靄が消えて、木でできた古い扉が現れた。
「死んだ者達が通る道以外に、死神達が使う冥界への勝手口が幾つもあるんだ。」
智はポケットの中から古い鍵を取り出した。そして、扉の鍵を開く。
四人がそこを通ると、眩しい光に包まれて、気がついた時には景色が変わっていた。目の前には、見たこともないような色とりどりな花が咲く花畑がどこまでも続いていて、朝焼けと夕焼けと青空が入り混じったような空が広がっている。
「ここが、冥界…?」
「あれ、三途の川じゃない?」
花畑の向こうには川が流れ、舟が行き交っている。川には橋が掛かっていて、その向こうには江戸時代の城下町のような町が見えた。栄えた町なのか、死神と思わしき人が集まっている。
「俺がお使いを頼まれたのは『糸屋』っていう服屋さんだ。この商店街にある。とりあえず、用事を済ませたらすぐ帰るからな!」
「分かったよ」
智は玲奈達の前を歩いて橋を渡り、商店街に入って行った。




