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The Beginning of the End
天空に刻まれた罅。
それを眺めていた者のなかで最も驚愕していたのは、
「……嘘、でしょう」
伊城木月である。
黒獣が出現してからの10日間、彼女は何をしていたか。
伊城木直樹の調整。
狼男の製造。
これらは片手間の余技に過ぎない。
本腰を入れていたのは、時間軸の支配。
黒獣がおいそれと現代に戻れぬよう高次元領域で“障壁”を張り巡らせていた。
「ありえません。……まだ、わたくしのほうがはるかに優勢のはずですわ」
終神本体ならともかく、そのカケラ以下の存在――黒獣ごときでは伊城木月に遠く及ばない。
時空間の壁を突破できぬまま、愛しい少女たちの最期を見せつけられる。
黒獣にはそのような運命を辿ってもらう心算だった。
だというのに、これはどういうことなのか。
* *
理由は、ある。
実のところ伊城木月の知らぬところでいくつもの綻びが生まれていた。
それを知るためにも、まず、芳人の側からここに至るまでの経緯を追うこととする。




