表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永平寺はブラック企業!? ――月給3000円、不眠不休の厨房で学んだ「完璧じゃなくてもいい」  作者: 佐藤 堅明


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/8

第7話:禁断の二十歩――深夜の潜入作戦と、絶望の光

運命の境界線まで、わずか二十歩。

煩悩に負けた一人の修行僧が、決死の覚悟で「禁断の自販機」に挑んだ記録です。

前回お話しした、暗闇に浮かび上がる「コーラの自販機」。今回は、そのスリル満点の突撃編です。


 厨房の勝手口から、その自販機へ向かう道のり。永平寺と門前町の境界線まではわずか二十歩。

 普通なら、スキップしても届くような距離です。しかし、その二十歩の間には、永平寺の厳しい「規律」という、目に見えない巨大な壁がそびえ立っていました。


 許可なく敷地を出ることは、文字通りの「ご法度」です。

 もし見つかれば、どのようなお叱りが待っているか分かりません。

「でも、どうしても飲みたい……!」

 渇望が恐怖を上回り、私は一歩、また一歩と、抜き足差し足で自販機へ向かいました。


 十五歩、十六歩……。

 静寂の中で、心臓の音が耳元で鳴り響くような緊張感。

 そしてついに、二十歩目。永平寺の敷地と門前町の「境目」に足をかけた、その瞬間でした。


――ピカッ!!!


 突然、深夜の静寂を切り裂いて、強烈な防犯ライトが私を真っ向から照らし出したのです。


「ひえっ!」


 心臓が止まるかと思いました。見つかった! とパニックになった私は、コーラのことなど一瞬で吹き飛び、転がるように厨房へと逃げ帰りました。


 結局、その日は自販機のボタンに触れることすらできず、冷や汗をかきながら大人しく朝食の準備を始めることに……。

 見えるのに届かない、近くて遠いコーラ。あの光に撃ち抜かれた瞬間の絶望感は、今でも忘れられません。


 世の中には、越えてはいけない一線というものがある。

 それを身をもって学んだ、春の苦い思い出でした。


 明日の話は私の人生で一番思い出に残った日です。ハンカチを用意してお待ちください。


合掌

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

あのライトが光った瞬間、「仏様に見つかった!」と本気で思いました(笑)。結局、あの日の私はコーラを一口も飲むことができませんでしたが、あの恐怖心こそが、規律を守るための最初の試練だったのかもしれません。


明日は、そんな失敗続きの私が、人生で忘れられない感動と出会う話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ