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永平寺はブラック企業!? ――月給3000円、不眠不休の厨房で学んだ「完璧じゃなくてもいい」  作者: 佐藤 堅明


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第11話:使徒襲来!?――永平寺最大行事開幕!!

修行生活三ヶ月目。ようやく仕事に慣れてきた私を待っていたのは、お山が最も熱く、そして過酷になる「授戒会」という大行事でした。

修行が始まって三ヶ月。少しは慣れてきたかな……と思った矢先、お山は「授戒会じゅかいえ」という十日間ほどの大行事に突入します。


 この時期になると、全国から「お山のOB」である現役の住職さんたちが、行事への参列と後輩の指導……という名目のもとに、ひっきりなしにやってきます。

 そうなると、お山の人口は一気に倍増! さらにOBが連れてくる檀家さんの参拝団が、毎日とんでもない人数で宿泊していきます。


 当然、その全員分の食事を作るのは、私たち小庫院(厨房)の役目です。


 ただでさえ死に物狂いなのに、そこに「小庫院出身のOB和尚」が助っ人に加わります。

「おっ、頑張ってるな!」「俺たちの頃はもっとこうだったぞ」

 ……ありがたいのですが、正直なところ、忙しすぎて気を遣う余裕なんて一ミリもありません。手伝ってくれているのか、それとも「邪魔」しに来たのか分からないほどの喧騒の中、私たちは毎日ひたすら巨大な鍋を振り続けました。


 作っても作っても、空にならないお釜。

 次々と運び込まれる山のような食材。

 終わりの見えない食器の山。


 この「授戒会」を経験すると、もはやそれ以降の「忙しい」事なんて、全てが生ぬるく感じてしまいます。

 極限の忙しさの中で、いかに自分を失わずに、与えられた役割(任)を全うするか。


 今の私が、どれほど多忙になっても動じずにいられるのは、あの「倍増した参拝団」を相手に戦い抜いた十日間があったからこそです。

(……とはいえ、もう二度と味わいたくない思い出でもありますが)


合掌

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

「OBの来山」というのは、修行僧にとっては非常に神経を使うイベントでもあります。厳しい指導と、時折混じる昔話。そんな喧騒の中で鍋を振り続けた日々が、私の根性を一番鍛えてくれたのかもしれません。


次回は、そんな嵐のような日々の中でも日夜繰り広げられる頭脳戦のお話です。もしかしたら、これが一番きつかったかもしれません。

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