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イレギュラー・マリオネット -The Wild Guardian-  作者: 流右京
第一章

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第10話「どこかで会ったことねぇか?」

二人は時折、クチュクチュと水音を立てながら舌を絡ませ合い、互いの唇を愛撫していた。


「んん……っ、ん……はぁ……っ!」


レオンの頬が赤く染まり、体が何度も小さく震える。それでも直立したまま、動きを抑えているようだった。


「ぷはっ! はぁ……っ、はぁ……っ」


濃厚なキスが終わる頃にはレオンの息遣いは荒くなり、その目元はどこか焦点が合っていないような表情だ。

グリオールは慣れた様子でその顔を見ながら「うふふっ♪」と笑うと、呟く。


「ごめんねぇ、レオン。ちょっと吸い過ぎたかしらぁ?」


「い、いえ……。問題、ありません」


レオンは表情を隠すように手の甲で唇を拭くと、必死に息を整える。

その様子を見ていたライガは耳まで真っ赤だ。


「お、おい! あああアイツら、な、な、何やってんだ……っ!?」


「ああ、あれはですね……」


説明しようと口を開いたノクスよりも先に、グリオールの腹の穴がみるみる塞がっていく。


「こ、これって……?」


そして、完全に穴は塞がり跡形もなくなった。


「はぁ~い! OK~! グリオールちゃん、ふっか~つぅ!」


「マジかよ……。本当に跡形も無くなってやがる……」


「これが魂力の力の一旦よ、ライガちゃん。アタシは常に自分の魂力を一定量レオンの中に注ぎ込んでるの♪ で、さっきみたいに必要に応じてレオンから、ちゅ~ちゅ~してるわけ♪」


「~~~~~ッ!」


グリオールは説明の合間にもレオンに投げキッスを送っていた。

レオンは顔を真っ赤にし、頭から湯気でも出そうな勢いだ。


「魂力ってのは、回復にも使えるんだな」


ライガが感心したように呟く。


「ええ、でもこれはあくまで緊急処置です。肉体の再生には魂力を大量に消費しますから。僕たちも少しの怪我では魂力を使ってまで治しません」


「まぁね~? 本当なら毎回レオンにちゅ~で治してもらいたいのは山々なんだけど」


「……ゴホンッ!! あの、グリオール様。あの子が例の……?」


レオンは視線をライガに向けた。


「あぁ、そうそう! この子がライガちゃんよぉ♪ 守護者の先輩として、仲良くしてあげて?」


レオンは頷き、ライガの元へ歩いて行く。


「初めまして、俺はレオン。グリオール様の守護者を担っている。これから宜しく頼む」


「…………?」


ライガはレオンの顔をジッと見つめている。


「……どうした?」


レオンもその視線を感じ取ったらしい。


「いや、なんつーか。俺達、どこかで会ったことねぇか?」


「……………」


ライガの言葉に、レオンは短く息を呑んだように見えた。


「……いや、初対面だ」


「……なぁ、俺たち前からずっと一緒に居なかったか?」


「……………」


疑問を投げかけるライガに、レオンは目線を逸らす。


「……気のせいだ。俺とお前は、今日初めて会った」


「お、おう……? そっか」


挨拶を終えると、レオンはノクスに会釈し、そのまますぐに主人の傍に戻っていった。


「さ、元気モリモリになったところで! さっきの異形の件を報告しないと!」


グリオールはパンッ! と手を叩くと、ノクスに声を掛けた。


「そうですね。そういえばグリオール。防衛結界が異形に反応しなかったという報告は聞いていますか?」


「ああ、そういえばアタシのとこにも報告があったわねぇ? てっきり、奴らがすり抜けられるのは天界(うえ)に張った結界だけだと思ってたから、完全に油断しちゃってたわぁ」


「僕もです。それにさっきアイテムが取り出せなかったことも気になりますし、一度中央大聖堂へ報告に行きましょう。場合によっては本格的に状況を調査する必要がありますね」


「中央大聖堂??」


聞きなれない言葉に、ライガは首を傾げる。


◆◇◆◇


4人はさらに街の中心部へ向かった。

やがて、街の中央にそびえ立つ大きな建物が視界に入る。壮麗(そうれい)で美しい建築様式に、ライガが感嘆の声を漏らした。


「ここが中央大聖堂、僕たちの職場の一つです。他に南聖堂と北聖堂、東聖堂と西聖堂があります」


「アタシとノクスはね、東聖堂の政務官をしてるのよぉ~♪」


「んぁ? 政務官?」


中央大聖堂の内部は広く、高い天井からは荘厳(そうごん)なシャンデリアが輝き、壁や柱には精緻(せいち)な彫像が並んでいた。


「先ほど言った、魂の生まれ変わり。僕たちはそれを管理しているんです」


「ノクス、実際に見てもらったほうが早いんじゃなぁい?」


「そうですね。では、報告の前に“浄化の部屋”に寄って行きましょう」


ノクスの言葉に、ライガは不思議そうに眉をひそめた。


「……浄化の部屋??」


「見れば分かりますよ。さ、僕についてきてください」


そして一行は、中央大聖堂の奥へと進んでいった。

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