30.環境省~だがこれでいい~
しょうもない犯罪をして逃亡生活に入って三日目。地球は交通手段が豊富でいいね。とりあえず電車に乗ればどこでも行けるもの。それはさておき、なんだか外が騒がしいな。
第一話でも使っていた、懐かしのボロボロマントで顔を隠し、人込みの中に入ってみる。信号が赤から青になっても人がなかなか進まない。人が多くてつっかえている事も理由の一つだろうが、何やらほかの理由がある気がする。
『先日都内で発見された犯罪集団にご注意ください。7人グループによる犯行で、それぞれ近くの飲食店やコンビニにアルバイトとして潜入。最低でも一人の日本刀の所持を確認しており、毒ガスの被害にあった飲食店もあるようです。』
不意に、近くのビルの壁に設置された大画面と、その画面でのニュースが耳に入ってきた。アルバイト?犯罪集団?なんだか聞き覚えがあるな・・・?
「王子、不味いです、ここを離れましょう!」
らっきょうマンが走ってきた。僕以外の皆は段ボールの秘密基地にいるはずだが、わざわざそこから走ってきてまでどうしたのだろう。
「ライプニッツの発明、「MHK脱法受信機」で、とんでもないニュースをジャックしました。やはりこんな所へ来るはずじゃなかった・・・。」
らっきょうマンは何を言っているのだろう?
『今、警察から新しい情報が入りました。』
違和感・・・。
『犯人グループの顔写真です。少しお待ちください。』
違和感・・・。
『今表示されました。こちらが七人全員の顔写真です。』
だが、これでいい・・・。
「これでいいわけないだろォ!」
「ライプニッツじゃないか。らっきょうマンに続いてどういしたの?」
「カッシーナを探しに来たんだよ!らっきょうマンも遅い!早くカッシーナ連れて逃げなきゃ!」
二人は何をそんなに慌てているん・・・あれ?あの顔写真、僕たちだ。なるほど、ニュースになってしまったのか。それなら早く逃げなきゃ・・・・。
「ねぇ、君。ちょっと署まで来てくれる?」
近くにいた警察に見つかった。なぜだ?このマントを被っているのだから、余程近づいてこなければ顔は分からないはず・・・。
「渋谷のスクランブル交差点でそのマントは目立ちすぎます!王子!」
「いや、でも・・交通の便がいいから・・・。」
「カッシーナがボクとらっきょうマンの反対を押し切ってまで渋谷にきたりゆうがそれ⁉普通は静かな田舎に逃げるよ!」
「ふむ。それもそうか。」
とりあえず。二人を連れておなら飛行だ。
***
「あ、カッシーナ帰ってきたよ。」
ラッシーナが秘密基地の前で出迎えてくれた。とりあえず、荷物をまとめて逃げなければ・・・。
「ヨシ、どうした?」
「殺気を感じる。ヨリ、どうだ?」
「ふむ。多いな。警察か?」
ヨシとヨリの二人が敵を感知したようだ。警察は仕事が速いな。治安維持組織(笑)から治安維持組織(微笑)に変えてやろう。それはともかく。常識人のラッシーナからは「しょうもない軽犯罪だし、そこまで本気で捜索されることはない」と言われていたのだが、見つかるのが速いな。入り組んだ路地の奥の奥にいるつもりだったのだが。
そのとき、ライプニッツの飛ばしたドローンからの映像が画面に映し出された。それを見たラッシーナが驚きの声を上げる。
「自衛隊・・・!?」
「何?ラッシーナ嬢、自衛隊とはこの前言っていたあの自衛隊か・・・・!?」
「その自衛隊よ!」
「ヨシ、ヨリ、その自衛隊といのはどの自衛隊よ?」
「政子様。もう少しこの地球の常識を学びましょう。」
「画面のこの奴らがあの自衛隊です。」
やたらと こそあど言葉の多い会話だな。
「それどころじゃないわカッシーナ。自衛隊がこんな軽犯罪者に使われるはずがない。一体何が起こっているの・・・・?」
そのとき、画面のなかの自衛隊がスピーカーを構えた。
「カッシーナとその仲間たちよ!環境省の環境大臣より、悪臭で無差別広範囲虐殺を行うテロリストの抹殺命令が出ている!おとなしく出てこい!」
意味が分からない。環境省?虐殺だってしてないぞ。今までの戦いに巻き込まれて気絶した人はいるかもしれないが。ともかく、何か怪しい。僕の勘に言わせれば・・。
「王子、環境大臣は我々に敵意を持っている宇宙人と思われます。」
確かに、物語的にもその方がしっくりくる。そのとき、ラッシーナが何かに気付いたように口を開いた。
「一か月前、特例で環境大臣の入れ替わりのニュースがあったじゃない。何故特例が起きたのかは公表されなかったけど、あの時私たち含め誰も違和感を持ってなかった。おかしいわ。」
よし、決まりだ。環境省にカチコミに行こう。
ギャグが少なめになってしまった




