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そうしてやってきた学園の入学式の日…!
細かいシナリオはうろ覚えだけど、大好きな旦那様であるアスベル様ことベルさんにイチャラブエスコートされながらだから乙女ゲーあるあるのイベントなんてきっと起こらないよね!
そもそもわたし、ベルさんラブな奥様なんで!!
フォートラン公爵夫人なんで!!
人妻なのです!ばばーん!!
…と言う心の鎧ですねー。
うん、公爵夫人の肩書が精神的支柱になってる。
(表面上はアルカイックスマイル)
さて、という訳でベルさんの腕に抱き着いてイチャイチャしながらの登校ですね。
※馬車内
この数カ月で愛称呼びにも慣れてきた。
登校時間は出勤時間と上手く被ってるから緊急の仕事とか無い限りは毎朝送ってくれるって!最高!!好きッ!!!
あ、到着した。
ベルさんがサッと降りてわたしに手を差し出してエスコートしてくれる……
イケメン!しゅきぃ〜!!
そんなベルさんの手を借りて馬車から降りたわたしは、まだ手は離さないでそのままベルさんと会話をする。
勿論、離れがたいのもあるけど、多大にあるけど!!周りに見せつけるのが目的だよ?
「はぁ…ベルさんが先生だったら良かったのですが。」
「すまないがそればかりは急にはどうしようもできない。」
「あ、いえ。謝らないで下さいベルさん!
こうして送っていただけるだけでわたしは幸せですから!」
「くっ…私の妻が可愛い…。」
(相変わらず笑顔が可愛すぎる…!)
「ふふっ…いってらっしゃいませ、旦那様。」
ちゅっ
そう言ってわたしはベルさんの頬にキスをする。
わたしがしたいのは勿論だけど、こうして見せ付ける事でベルさんとわたしは相思相愛のおしどり夫婦だって周りにアピール出来るんだよねー!
「ああ、シアも行ってらっしゃい。」
ちゅっ
「はぅっ!?」
「…では、また家で会おう。」
ベルさんも照れながらわたしの額にキスを返してくれる……あっ…しゅきぃぃー…♡
「……はい、お帰りをお待ちしております。旦那様…!」
「ああ、行ってくるよ、シア。」
ベルさんがニコリと笑みを浮かべて馬車に乗り込み、仕事場である王城へと去っていった……
うん、周りの新入生達や登校中の先輩達もポカーンって感じだ。
そりゃあね、見た目が厳つい上に【死神卿】とか言われてる“フォートラン公爵”が可憐な見た目をした女性を相手にあんなとろける様な笑顔を浮かべて優しくしてたら驚くよね。
そう、今のわたしは栄養不足もあって儚げな幼女だった見た目を改善(?)する為に、
この数カ月の間たっぷり栄養を摂って適度に……じゃないね、公爵家の私兵騎士団の皆様とガッツリ基礎体力作りの運動してついでに剣術を覚えつつ身体作りをしたお陰か、目論見通りにこのチートな身体は急激に成長してスタイル抜群な妖精姫(騎士の皆様談)な見た目になったお陰で雰囲気が大人に見えるらしい。
まぁ、漫画で悪役令嬢さんの回想シーンに出てきた大人ミーシアってスタイル抜群なバブみ系JKな見た目だったからね、順当な成長だと思うよ?
(イメージを分かりやすく言うなら某青春の物語に出てくる修行部副部長さんみたいな見た目)
……ただし、当然ながら急な成長に比例して身体には急激な負荷がかかってるから何回も気絶したり1日寝込んだりと地獄の様な成長痛も経験したけどね。
その度にベルさんが死にそうな顔で『もう止めろ、急いで成長する必要は無い。』って止めてきたのは申し訳なかったけどそれはわたしの意地だよ。
あと今までの冷遇のせいで身体が欲しがってても与えられなかった栄養をここぞとばかりに貪欲に吸収した結果でもあるから許して……と言うか恨むなら“ミーシアの身体”に今まで十分な栄養を与えてくれなかったクズな父親と義母と義妹にして。
後は、うん。
ヒロインの身体だからか当然の様に使える治癒魔法を併用して耐えたよ、うん。
だってベルさんの為と思えばわたしは頑張れるから!!
……って今にして思えばこれ、ある意味では漫画ミーシアより狂気じみてるかなわたし。
と言うか、ゲームミーシアはともかく、漫画ミーシアってまさかわざとロリっ子のままでいた説があるんだけど??
まぁ何にせよベルさんにロリコンのレッテル貼られないのは大歓迎だよ。
とは言え、それでもあくまで女子高生に見える程度だから、広義でのロリコン、の範囲で言うと微妙ではある。
そこっ!【ロリコン】の定義的には実年齢13歳くらいのわたしを妻にしてるベルさんも当てはまるとか言うなよ?お姉さんとの約束だぜっ!!
…とは言え知ってるかい?見た目は大人のレディー(※この国の基準では。)だけど、日本で言うなら中学生なんだぜわたし。
でもわたし、それでもベルさんの妻ですからぁー?
相思相愛だしこの世界、この国の法律的には問題ありませんからぁぁー?
※ただしブロッサム伯爵家本家の最後の一人という特例
※2既成事実婚の制度をこんな風に使う夫婦は見たこと無いとか城では言われてる
(心のどや顔、実際には淑女らしくアルカイックスマイルでアスベルに小さく手を振ってる、その様は見た目年齢的にはアスベルと釣り合ってるように見える)
(さて、ではわたしも行きますか。)
「君!ちょっといいかい?」
―はい?」
え、あれだけわたしが
ベルさんの妻だよ!
既婚者だよー!!
公爵夫人だよー!!!
身分的には王族を除けば此処にいる誰よりも高いから男は不躾に話しかけないでね〜!?(震え声)
女の子は家同士の繋がりをつくりたいから大歓迎ですはい。
アピールしたのに初日から話しかけてくる男がおりゅぅ〜??
嘘でしょ……?それとも、皆がみんな見てた訳じゃ無いだろうから、わたしが軍務卿と仲良く話してたのが見えてなかったとか??
まぁいいや。とにかく無視はよくない。
わたしは内心渋々、顔は満面のアルカイックスマイルで対応するよ!
正直、周りに誤解されたくないからベルさん以外の男は基本的にノーセンキューなんだけどさ。(がくがくぶるぶる)
「初めまして、僕はライトリークだ。
君の名前を聞いても?」
「……ナンパならお断りですわたしには夫がおりますので。」(早口震え声)
え、ナニソレコワイ。
逃 走 一 択 。
にべもなし!!
なに!?なんなのこの爆速トラブル!!
ベルさんが側に居なくなった途端にコレなの??
止めてよヒロイン体質!?
なんなら婚約者もしくは夫が居ますアピールとしてベルさんの瞳の色であるアメジストのイヤリング(もちろんベルさんからのプレゼント)を着けて、
“公爵夫人の指輪”だって分かりやすい既婚者アピールとして左手薬指に着けてるのに!!
※この世界でも結婚指輪は左手薬指なのは共通
あ、ちなみにサイズは魔法で自動調整したりします、更にベルさんに頼んでGPS的な魔法も付与してもらいました!
イヤリングには通信魔法付き!やったね!!
…なにせ万が一のヒロイン体質でベルさんに誤解されるのが怖いんでねわたし。
魔法ばんざい!!
とりあえず早速。
『ベルさんベルさん、学園怖いです。ベルさんと離れた途端に男子生徒に声掛けられました。』
『…は?イヤリングと指輪を着けて登校してる様なあからさまな既婚者アピールをしているシアに声を掛ける猛者がいるのか??』
『はい、居ました。わたし逃げました。もうベルさんにあいたいです。たしけてベルしゃん』(震え声)
『…やはり計画を早めるか。もうしばらくの辛抱だぞ、シア。』
『は、はい。お願いしますねベルさん。』
それにしても今話しかけてきた人、まるで王子様の様な金髪碧眼だった様な気が…?
それに、あからさまな既婚者アピールしてても話しかけてきたって事は、まさか、王族…?
……。
まぁ良いや、ホールへゴー!!
入学式が行われるホールに行くと、待ち構えていた教師陣に別の場所…舞台袖に案内されました。
うん、まぁアレだよ、よくあるやつね。
首席合格者として新入生代表の挨拶ってやつ。
勿論セリフは考えてきてるから問題なし。
でも挨拶って王族が居たら普通、そっちが優先じゃないんですか?って聞いたら、『優秀な者から挨拶の機会を奪うのはしのびない、と王太子自らが断りました』だってさ……あぁ、うん、面倒事から逃げたね?
そうゆう所だぞ王太子。
入学式が始まり、先生の挨拶やらなんやらが続いて、出番が来たわたしが舞台袖から現れると新入生達がシーンとなり、息を呑む音が聞こえてきた…気がする。
公爵夫人としての矜持で空気を無視して笑顔を意識して挨拶を終えると新入生達どころか先生達までシーンとなってしまった。
え、何この空気。
とりあえず壇上から降りて舞台袖に控えていた教師にこの後どうするかを聞こうとすると、真っ赤になってフリーズしてた。
え、何これ。
「あの…どうかなさいました?」
「………はっ!?し、失礼しました!教室へご案内します夫人!!」
「よろしくお願いします…?」
この学園、例の如くクラス分けは能力別なのでわたしは当然の様にSクラスですね、はい。
ちなみに悪役令嬢さんが次席だから原作通り優秀だね?
王太子?まぁ彼は王族だからね、成績に関係なくSクラス確定ですね〜。
おバカさんだけど。
でもわたし、勉強会イベントなんて起こさないよー。
あ。でも悪役令嬢さん……【エリカ・バルディア】さんと仲良く出来るならそれはそれで良いかもなぁ……
今のわたしは公爵夫人、公爵令嬢のエリカさんより身分は上になっちゃうけどさ。
ちなみに、【既婚者なのは伝家の宝刀】作戦は続行中なのであくまで【ミーシア・ブロッサム】伯爵令嬢として学園に入学したよ。
でも分かる人はイヤリングと指輪を着けて通ってる時点で学園にいる限りでは人妻が生家の家名を名乗って登校してるって分かるはず。
さて、悪役令嬢さんことバルディア公爵令嬢さんはこの露骨な見た目の変わりように加えて既婚者アピールなファッションに気付くかな??
案内に従って教室につくと、元々の交流があったらしい家の子達で集まって話していた人達の内、廊下側に向いて話していた人達が一斉にコチラを見た。
え、なんで??
続いて、急に相手が黙り込んでボーっとしだしたことを訝しんで振り向いた人達も固まった。
え、なんで???
と、とりあえず淑女ムーブを……
「皆様、おはようございます。」
サラッとカーテシーを1つ。
注目されても動じないのは公爵夫人の心得だ。
まぁ、今は伯爵令嬢に擬態してるんだけど…うん、何故か皆ボーっとしてる。
「あの…皆様、わたしに何か…?」
何故かフリーズしちゃった皆に困惑していると、眼鏡をかけた女の子…うん、見た目が茶髪で三つ編みツインテールで委員長キャラっぽいね?がハッとした様に動き出した…?
「はっ…!いえ、座席に名前の書いた紙がありますのでそれで席を探してください!」
うーん…それにしても本当に、日本の学校みたいな教室だなぁ………世界観チグハグぅ……
とりあえず【ミーシア・ブロッサム】、【ミーシア・ブロッサム】っと。
あ、あった。ひとまず着席ーっと。
……空気が重いというかなんなのこの静けさ。
既に心が折れそう、たしけてベルしゃん。(震え声)
あ…指輪を撫でたら落ち着いてきた……ふわぁ〜♪この指輪すごぉい♪
ふにゃり
『!?!?!?』
ガタガタガターン!!
「えっ!?」
なになに!?
指輪撫でて少し落ち着いたなぁと思ったら周りの何人かが倒れたんだけど!?
「あ、あの、皆様大丈夫ですか…?医療班を呼びましょうか??」
「いえ…!いえ…!!姫様の手を煩わせるまでもありませんので!!」
「姫…?わたしはただの伯爵令嬢ですよ??」
「はわわ……尊い…!」
「え、限界オタクですか??」
それにしてもこの委員長ちゃん(仮)、オタクっぽい。
この空気の中、唯一行動してるしわたしに話しかけてくれた点も評価できるね?
友達になれそう。
よし、なろう。
「あの、わたしはミーシア・ブロッサム。
伯爵家の者です、貴女のお名前は?」
「え。ぼ、ボクですかぁ!?」
ま さ か の ボ ク っ 娘 。
流石(?)乙女ゲー。いや乙女ゲーで女の子に属性付与は無いね。
もしや、男の娘…??
「ふふっ…そんなに緊張なさらないで?
とって食いやしませんよ。」
「え…そのぅ……はぃぃ…!
ボクはビビアン、【ビビアン・アーデルハイド】。
アーデルハイド侯爵家の嫡男…じゃなくて長女ですぅ…!!」
「あらあら…?」
え、まさかの本当に男の娘なの??
女子用の白い制服なのに!?ネクタイじゃなくてリボンタイなのに!?
いやでも今、長女って言い直したよね??
えっと…………?
ともかく、一旦落ち着こう。
その為にも制服について説明するね?
この学園が変わってるのは制服は男女で違うこと。
男子はブレザータイプでトップはベージュが基調になっていてズボンは緑色が基調のチェック柄。
女子は白い修道服の様なデザインになっている。
フードが無いなんちゃって修道服だからコスプレ感がすごい。
本当に、漫画の作者さんのセンスェ……
そこにミーシア達の学年の場合、男子は赤いネクタイで女子は赤いリボンタイが付く。
そんな分かりやすく男女分けしてる学園でシスター風の白い制服を着てる男子生徒?(見た目は委員長♀)っぽいビビアンちゃん君。
…… 情 報 量 が 多 い な こ の 子 !?
「…あ、今ボクのこと男だと思いました…?」
「え?まぁ、(女装なんて)すごく男らしいと思いますよ…?」
(何せ“女装”は男しか出来ないからね!
女の子が女の子の服を着てもそれはファッション、普通の事だから!!)
「あー……。」
あ、でも男の娘とは言え男子には変わりないから友達にはなれないかなぁ………残念。
精神的女性だったとしてもこの世界ではあくまで男性扱いだし。
と思っていたら逆に落ち込んでる…?え、なんで??
「あの、ですね、変に気を使わないで下さらなくて結構ですよ…?
さっきは言い間違えただけで、ボク、女装でもなんでもなくて、見ての通り本当に女の子なんですよぅ……
「…なんですって??」
本当に情報量多いなこの子!?
って、あれ…?ビビアン・アーデルハイド…?
アーデルハイド侯爵家って、確か……?
「えっと…要するにですね、
ボクの家は騎士の家系なんです、父様も騎士団長ですし。
それで、子供が女の子であるボクしか産まれなかったので、ボクは男として育てられていたんですよぅ……
「あ…はい。
よくある話ですね??」
「え、よくあるんですか??」
「いえ…なんでもないです、続けてください。」
「はい…?
ですが、この学園に入学する前に、弟が…待望の本物の嫡男が産まれたのでボクが嫡男のフリをする必要がなくなったんです……。」
「はい…?」
そう言えば、攻略対象の騎士団長の息子って確かビビアンって名前じゃなかった??
「なので、男として育てられていた時のクセが抜けない以外、ボクは正真正銘女の子ですぅ…改めてよろしくお願いします、ブロッサム伯爵令嬢様。」
「あ、(表面上の)爵位はそちらが上なのでどうぞミーシア、とお呼びください。」
「で、ではボクの事もどうぞビビアン、と。
ぼ、ボクはナヨナヨしてるし、そもそも女の子なのもあって結局、アーデルハイド家の者らしく成れなかったので…えへへ………
「そうですか?
騎士団には女性騎士もいらっしゃいますよね??」
「ぴっ…!?ぼぼぼボクがあんな凛々しい女騎士様になれる訳ないじゃないですかぁ〜!!」
あー…うん。
どっちかというと小動物だよね、ビビアンちゃん。
おかしいなぁ…?
ゲームや漫画だともっとイケメンと言うか、騎士らしく紳士的な……浮気クズ野郎だったはず。
間違ってもこんな撫でくり回したくなる様な小動物系の可愛い女の子ではなかったはず。
というかさ。
「あの、ビビアンさん?」
「はぃ〜…?」
「撫でていいですか?いえ、撫でます。」
「ぴぃぃっ!?はわ…あ…きもち…ぃ………おちつきますぅ〜………♪」
「……可愛すぎる。」
え、なにこの人懐っこいウサギみたいな女の子。
嘘でしょ??これがゲームや漫画だとエセ紳士の浮気クズ野郎だったんだよ??
けど、性別どころか性格も違うこの世界の【ビビアンちゃん】なら庇護対s…コホン、お友達になれそうなんだけど!?
しかも正真正銘の女の子なら仲良くしても問題なし。
こうして、わたしはお友達第一号のビビアンちゃんと知り合ったのでした。
うん、ところでエリカさんは??




