01 初心者の森
俺は、ロングソードを鞘の中に納める。
たった今倒した魔物は、跡形もなく消えて、小さな光る石だけがその場に残っていた。
ダンジョンに生成された魔物は、倒されると魔石になるのだ。
魔石の大きさは魔物の強さに比例する。
今倒した一角ウサギだと、米粒のサイズである。
俺は、魔石をしっかり拾って、腰につけている革袋に入れる。
その革袋の中には、今日倒した魔物から集めた米粒魔石が、十数個入っている。
こんな小さな魔石でも、魔道具の燃料となるため売れるのである。
(タイムリミットだな)
辺りは夜中だというのに明るく照らされていた。
それは、光魔法により俺が作り出した光球によるものである。
周囲の木々は、周りに浮かぶそれらの光球により照らされ、不規則に影をつくっていた。
ここは普通の森に見えるが、『初心者の森』というダンジョンの中である。
ダンジョンというのは、特殊な結界が張られた領域である。
その領域は、魔の者が作成し、その作成者が死しても、ダンジョンのどこかにあるコアが破壊されるまでは残るという。
『初心者の森』の作成者は既に死んでいるらしい。
だが、この森のコアはあえて破壊されていないのだ。
コアの場所はわかっているのだが、ここら辺一帯を管理する白の神殿が、保護しているのだ。
その理由は、この『初心者の森』というダンジョンが、名前の通り、初心者向けのダンジョンであるからである。
今の俺の様に、まだスキルを貰っていない人が、訓練をする場所として、丁度よいのである。
俺は、今日中のレベルアップを目指して、用事を済ませた夕方から森に入った。
だが、敵が弱すぎて全然経験値が入らなかった為、レベルアップは無理そうである。
改めて自己紹介すると、俺は、エルク。15歳、聖アルタイン学園中等部に通う学生である。
と言っても、今日は大晦日であり、中等部の授業はもうないので、学生というのもおかしいかもしれない。
後は、明日、女神の祝福を受けて、スキルを貰い、休みに入るだけなのである。
スキルを貰った後は、3カ月間の休みに入り、4月に高等部に入学するという流れになる。
ついでに、スキルに関しても説明する。
この世界では、すべての人が、8歳でステータスを開けるようになり、その時に初めて、自分の真名、レベル、ステータス等を知ることが出来る。
そして、15歳になった翌年に女神の祝福を受け、スキルを3つ授かるのである。
そのスキルがどうかによって今後の人生が変わる。
そのため、15歳の俺にとって明日が人生で一番大事な日と言って過言ではない。
あと、聖アルタイン学園についても説明しておく。
聖アルタイン学園は優秀な人材を育てることを目的とした教育機関である。
運営は、セルトラント王国と白の女神の教会が行っており、場所は、セルトラント王国のアルタインにある。
この学園は、各地からステータスが優秀な子供を集めて、教育を行い、将来、国や教会の役に立つ人材を育てているのである。
幸いにも俺はステータスに恵まれ、学園に入学できた。
それから、約6年間、初等部、中等部と学んできた。
来年からは高等部に入る予定である。
聖アルタイン学園の良いところは、授業料や寮費が全くかからないところにある。
食事に関しても学食があり、そこで無料で食べられる。
その為、特に贅沢して学園の外で食べなければ、全くお金がかからないのである。
俺は孤児院にいたため、学園から入学要請が来たとき、断る理由は全くなかったのである。
「ステータスオープン」
俺の声に反応して目の前にステータスボックスという枠が、現れる。
これは許可しなければ原則として他人からは見ることが出来ない。
エルク 15歳 Lv15 next23EXP
HP S MP A
力S 体力A 器用S 速さA 知力B 精神力A 魔力A
祝福 なし
その枠内には、現在の俺のステータスが表示されている。
知力がBという事で、少し残念な感じもするが、各ステータスは一番下がEなので、Bでもかなり良い方である。
なぜ、俺が大晦日なのに『初心者の森』に籠っているのかというと、あと経験値が23でレベルが16に上がるからである。
4時間前に森に入ったときは、あと45であったから、4時間で22稼いだわけだが、いくらなんでも効率が悪すぎた。
もう既に23時を回っており、さすがにそろそろ時間がやばい。
新年をみんなでむかえようとクラスメイト達と約束しているのである。
また、明日は朝からスキルを貰いに神殿まで行かなくてはいけない。
別に忙しい元旦に神殿まで出向いてスキルを貰う必要はないと思うのだが、学園では、行事として元旦にみんなで神殿に行き、スキルを貰うことになっている。
もちろん寝過ごしたからと言って、休んだり遅刻するわけには行かないのである。
(あれ、こんなところに穴あったか?)
バックパックを下ろして帰る準備をしようとした時、俺は、樹齢何百年といいた大樹の根元に、人が入れる程の穴があることに気づいたのだった。
勢いで投稿してしまいました…
頑張って完成させますので、よろしくお願いしますm(_ _)m




