第四十三章 神殿監察部
ドックを抜けた直後の宇宙空間は、妙に静かに見えた。
もちろん、実際には静かではない。
シェリフ艦が進路を塞ぐように並び、商会保安艇が左右へ散って『青葉』を囲う角度を探っている。
通信回線では停船勧告が繰り返され、ドック周辺の交通網には緊急規制がかかり始めていた。
それでも、僕の目には、一瞬だけ場が止まったように見えた。
原因は一つだった。
神殿監察部の艦隊が来たからだ。
青葉の表示に新しく現れた艦影は、ガナドラのシェリフ艦とも、青獅子族商会の保安艇とも違う。
線が整っていて、艦影は、ゲラバの戦艦にちょっと似ていた。
しかし、装飾が少なかった。そして、ただそこにいるだけで“勝手に動くな”という圧を周囲へかける種類の艦に見えた。
商人の私兵ではなく、市場の治安維持だけを請け負う用心棒でもない。
もっと古くて、もっと面倒で、もっと“上”のものが来たのだと、説明される前から分かる感じの艦だ。
「……ほんとに来た」
僕が呟くと、ギラが羽をたたんだまま、少しだけ低い声で言った。
『せやから言いましたやろ。神殿監察部は動いてるって』
その言い方には、安堵と、まだ気を抜くなという含みが半分ずつあった。
ブライアントは前方表示を睨んだまま、短く聞く。
「どれが旗艦だ」
『中央前列、やや大型の艦です』
青葉が答える。
『外装意匠と識別信号から、神殿監察部所属の監察戦艦と判断します』
「こっちへの通信は?」
『来ます』
その返答の通り、数秒後には高優先回線が開いた。
『こちらは、神殿監察部所属、独立魔女アラージ』
中央表示に映し出されたのは、狐族の女だった。年齢は若く見える。
最初に目へ入ったのは、耳だった。
長く、鋭く、白に近い薄金色の毛並みを持つ耳が、頭の上で静かに立っている。
顔立ちは端正だった。
ただ、綺麗というより、“切れる”という印象が先に来る。
無駄のない目つき。
余計な感情を表に出さない口元。
そして、その整った顔を少しも飾らない、監察部の制服。
彼女は、最初に僕たちではなく、周囲のシェリフ艦と商会保安艇の陣形を見た。
その視線の動きだけで、この人が状況全体を一瞬で把握するタイプだと分かる。
しかし、その顔に、何だか見覚えがある気がした。
「あ」
ナルディアが僕を見る。
「どうしたの?」
「いや……」
僕は、少しだけ間を置いた。
さっき娯楽ステーションで、ブライアントに絡んできた狐族のコンパニオン。
露出の多い、セクシーな装束――地球人は発情期がないのかとか、どんな仕事をしているのかとか、妙に直球で聞いてきたあの女。
顔の輪郭、目、口元、耳の角度――表情の作り方が違っていたから、すぐにはわからなかった。
でも、いま目の前に映っている狐族の女は、どう見ても、その女と同じ人物だった。
「まさか……」
僕が呟くと、アラージの目がわずかにこちらへ向いた。
『どうしましたか、神子弓良』
その声音は平坦だった。
でも、ほんの一瞬だけ、口元にごく薄い、知っている者だけに見える笑みが走った気がした。
ブライアントも、そこでわずかに眉を上げる。
「……あんた?」
アラージは、その反応を否定しなかった。
『娯楽ステーションの現地観察は必要でした』
それだけ言う。
ギラが、横で肩を震わせた。
『あー、アラージはん、いはったんですか……』
ナルディアはきょとんとしている。
「何? 知り合い?」
僕は、少しだけ口を尖らせた。
「さっき、ブライアントに絡んでた狐族のコンパニオン」
「えっ?」
ナルディアが一瞬でブライアントを見る。
「兄さん、何してたの!?」
「何もしてない」
ブライアントが即答する。
でも、その即答の速さが、逆にちょっと怪しい。
僕は、思わず、あの時の自分を思い出した。
狐族の女にうまくあしらわれているブライアントを見て、ちょっとだけ唇を尖らせて、「モテ男め」と思ったこと。
それがまさか、神殿監察部の独立魔女本人だったとは。
「……情報抜かれてたんじゃないの?」
僕が言うと、ブライアントは少しだけ顔をしかめた。
「抜かせてない」
『ええ』
アラージが平然と継いだ。
『少なくとも、あなたは余計な情報を出しませんでした。そこは評価しています』
その言い方に、ギラがとうとう吹き出した。
『いやあ、兄さん、試されとったんですなあ』
「笑うな」
ブライアントが低く返す。
でも、僕はちょっとだけ、さっきの“モテ男め”という感情が別の意味で恥ずかしくなった。
アラージは、そんなこちらの空気を気にする様子もなく、本題へ入る。
『現時点をもって、青獅子族グィルディ商会関連事案について、神殿監察部が優先調査権を行使します』
その言葉が出た瞬間、シェリフ艦隊側の通信ノイズがわずかに増えた。
動揺しているのが、回線の乱れだけで分かる。
アラージはそれを気にした様子もなく続ける。
『ガナドラ星系シェリフ各位へ通達。神殿監察部より拘束、差押え、航路制限に関する暫定停止命令を発出しました。繰り返します。暫定停止命令です』
その口調に怒鳴りはない。
でも、反論を前提にしていない強さがあった。
シェリフ側から、少し遅れて応答が返る。
さっき『青葉』へ逮捕を告げてきた狸族の中年男だった。
ただ、その時より声がだいぶ低くなっている。
『こちらガナドラ星系シェリフ、保安執行班。現時点では、グィルディ商会からの正式な告発に基づき、商業保安規定――』
『把握しています』
アラージは、途中で切った。
『そして、その告発自体に重大な瑕疵がある可能性を、監察部は既に認識しています』
その一言で、空気が変わる。
僕は、無意識に身体を起こした。
ギラは、予想通りという顔をしている。
ブライアントは、まだ楽観していない。
ナルディアだけが、少し目を丸くしていた。
「監察部って、こんなに強いの?」
小声でそう言うので、僕も小さく返した。
「たぶん、そういう人たちなんだと思う」
実際、その通りなのだろう。
白兎族の神殿が地方行政と信仰の中核だったように、グラブール人の神殿は単なる宗教施設ではない。
その神殿の監察部ともなれば、その連合機関の中でも相当上位だ。少なくとも、シェリフが商会の告発を受けて動くのとは、権威の階層が違う。
アラージは、今度はこちらを見た。
『神殿監察部について、簡単に共有します』
その口調は事務的だが、分かりやすかった。
『大集会は、グラブール人諸部族における議会、行政上位機構です。一方、商人組合は世俗の流通、資本、保安に強い影響力を持ちます。そのため、公共性を欠く利害行動を抑制するために、各部族神殿の連合機構たる神殿監察部が置かれています』
「商人を、神殿が監督するってこと?」
僕が、言うと、ギラが横から補う。
『ざっくり言うとそうですわ。商人は金を回すけど、たまに“金が回るなら何でもええ”になりますやろ。そういう時に、大集会の直轄で首根っこ押さえる役が要るんです』
アラージは、その言い換えを否定しなかった。
『巡洋艦『青葉』』
『はい』
青葉が即座に応じる。
『神子弓良』
「……はい」
僕も遅れて返事をする。
『あなたたちの現時点での拘束は停止します。ただし、完全な免責を意味するものではありません。事情聴取と記録照合の対象ではあります』
「それは……分かっています」
正直に言えば、少しほっとしていた。
潔白が“一応は”認められたとしても、ナルディア救出のためにショー会場でやったことまで全部が綺麗になるわけではない。
でも、それでいい。
少なくとも話を聞く余地があるなら、さっきまでよりずっとましだ。
アラージは、ほんの少しだけ目を細めた。
それが肯定なのか、単なる確認なのかはよく分からない。
その時、別回線が割り込んできた。
短い。
でも、妙に懐かしい圧がある。
『アラージ、私も入る』
その声に、ジェプラの耳がぴくりと立った。
僕も、すぐに分かった。
「ゲラバ」
表示の脇に、小さく通信ウィンドウが開く。
そこに映ったのは、白兎族の第三十五魔女ゲラバだった。
ナヴーピで会った時と同じく、静かで威厳がある。
ただ、今はその静けさの下に、明らかな後ろ盾としての力が見えていた。
『神子弓良殿は、白兎族の客人であり、我らが神殿の保護対象でもあります』
ゲラバは、短く、しかしはっきりと言った。
『ガナドラ側においても、その扱いが軽んじられることは望みません』
それは外交文句としては穏やかだ。
だが、意味は穏やかではない。
白兎族は、ここを注視している、という宣言だった。
アラージは、それに対して、わずかに顎を引いた。
『承知しています、第三十五魔女』
ゲラバはそこで一度だけ、こちらを見た。
『弓良殿、無事で何よりですじゃ』
「……ありがとうございます」
僕が、返すと、ゲラバは、それ以上情緒的なことは言わなかった。
そこが、あの人らしい。
『以降の判断は、神殿監察部を信頼します』
その一言を残して、ゲラバの回線は少し後ろへ下がった。
完全に切れたわけではない。
ただ、“私は見ている”という位置へ戻ったのだ。
ジェプラが、小さく息を吐く。
その顔に、ほんの少しだけ安堵が浮かんだ。
故郷側の権威が、ちゃんとこちらを見てくれている。
それだけでも、彼女には大きいのだろう。
***
アラージは、そこから一気に実務へ入った。
『ラギ・ギラ』
「はいな」
ギラが軽く羽を上げる。
『取得物を開示してください』
「もう『青葉』側に渡しとります」
『青葉、共有を』
『可能です』
青葉が即答する。
中央表示の一角に、ギラが持ち出した記録媒体の内容の一部が展開された。
商会内取引コード。
違法債務の一覧。
契約対象と称された個体群の移送記録。
正規会計とは別系統の資金流れ。
そして、いくつかの項目には匿名化された対外接触の痕跡。
それを見た瞬間、シェリフ側の狸族の顔色が変わった。
『これは……』
『裏帳簿です』
アラージの声は冷たかった。
『少なくとも、正規記録と照合不能な裏帳簿に相当するものと見ます』
僕は、その画面を見ながら少しだけ背中が冷えるのを感じた。
ナルディアが“売られた”と言っていたこと。
人身売買まがいではなく、ほとんどそのものだと思っていたこと。
それが、いまこうして記録の形で並んでいる。
ナルディア本人も、それを見て歯を食いしばった。
「ほんとに、商品扱いじゃん……」
小さく漏れたその声に、ブライアントの表情がまた一段だけ固くなる。
でも、彼は言葉を挟まなかった。
いまは怒るより、見せるべきものを見せる時間だと分かっているのだろう。
アラージは画面の一部を拡大した。
『こちら。債務契約対象、地球人女性個体。表向きは自主契約とされていますが、前段の身柄移送経路と照合すると、法的整合性に重大な疑義があります』
その一節だけで十分だった。
ナルディアが、法的にもかなり危うい形で囲われていたことが、第三者にも見える。
シェリフ側の狸族は、さっきまでの“事情聴取のために拘束する”という顔ではいられなくなっていた。
『し、しかし、現時点では、まだ真贋照合が、ですな――』
『行います』
アラージはぴしゃりと言い切る。
『だからこそ、あなた方の暫定拘束措置を停止しました。もし、ここで先に『青葉』側を制圧していた場合、証拠隠滅の幇助に近い結果となっていた可能性があります』
その言い方に、狸族のシェリフは完全に押された。
反論はできるかもしれない。
でも、ここで無理に押し返すと、自分たちまでグィルディ側に近い位置へ置かれかねない。
ガナドラのシェリフは商人組合と距離が近い。
だからこそ、こういう時は“近すぎる”のが弱みになるのだろう。
ギラが、小さく僕たちのほうへ囁いた。
『ここまではええ流れです』
「ここまでは、ってことは?」
僕が、小声で返すと、ギラは口の端だけで笑った。
『ここからが本番ですわ。帳簿出ても、相手が素直に諦めるとは限らへん』
その言葉どおりだった。
***
青獅子族商会側の保安艇群が、シェリフ側の動揺を見て、逆に前へ出ようとしたのだ。
『商会の名誉を著しく傷つける虚偽情報に基づく介入は、正式抗議の対象となる』
新しい回線で、グィルディ側の代理人らしき男がそう言ってくる。
声だけ聞いても、商会の人間らしい艶のある言い方だった。
だが、その言い回しの奥にあるのは、要するに“押し切れるならまだ押し切りたい”という意志だ。
アラージは、その声にも揺れなかった。
『抗議は、受理します』
冷たく返してから、続ける。
『その上で、商会側保安艇へ命じます。即時停止しなさい。現在は神殿監察部の優先調査下にあります』
代理人は、そこで少しだけ声を強くした。
『グィルディ商会は――』
『止まりなさい』
今度のアラージの言い方には、明らかな威圧があった。
狐族の顔立ちはほとんど変わっていない。
だが、その目だけが鋭くなる。
それだけで、商会側の回線が一瞬詰まるのだから、相当なものだ。
僕は、そこではじめて理解した。
この人は、単に切れる官僚ではない。
力を使う必要がある場では、そのまま使える種類の権力者なのだ。
青葉が、静かに補足する。
『監察部艦隊が、商会保安艇群へ射線だけを通しました』
表示を見ると、確かにそうだった。
撃ってはいない。
でも、撃てる位置にぴたりと入っている。
“止まれ”という言葉の重さが、これで一気に変わる。
保安艇群は、それ以上前へ出なかった。
代わりに、周囲の艦同士の通信量が増える。
商会本体と、シェリフと、たぶん神殿筋。
いろいろなところで、誰がどこまで責任を取るのか、急いで調整が始まっているのだろう。
その一方で、『青葉』の内部では別の緊張があった。
僕は、接続席に座ったまま、青葉の場を少しだけ深く感じていた。
今は、まだ撃っていないし、光輪も使っていない。
でも、必要になれば、すぐ使える位置にある。
そのことを、アラージたちはどこまで知っているのだろう。
そう思った瞬間、まるでそれを読んだみたいに、アラージがこちらを見た。
『神子弓良』
「はい」
『現時点で、あなたの力の行使は不要です。こちらが抑えます』
僕は、一瞬だけ黙った。
それから、小さく頷く。
「……分かりました」
まだ求めない。
つまり、必要になれば求めるつもりだ。
しかも、“何の力”かを説明しなくても通じる前提で言っている。
ギラが、ひどく小さな声で言う。
『あんさんの魔法……共有済みですわ』
「やっぱり」
僕も小さく返す。
ナウーピでの光輪――黒狼族艦隊を止めた、あの魔法拘束は、もう神殿監察部には知られているのだ。
ジェプラも、同じことを理解したらしく、ほんの少しだけ耳を伏せた。
『もう、隠せないのですね……』
「たぶん」
僕が、そう返すと、青葉が静かに補った。
『隠匿段階は、既に過ぎている可能性があります』
そう言われると、否定できない。
ナウーピでは、あれは局地的な秘儀のような扱いで済んでいた。
白兎族の神殿と、黒狼族とのあいだの、一種の神話の再現みたいなものとして。
でも、ガナドラは違う。
ここは商業の中枢で、無数の目があり、情報が流通し、記録が残る。
ここで使うかどうかを迷った時点で、たぶんもう、僕はそれを“誰にも知られない切り札”として持ち続けることはできなくなっていたのだ。
この先、光輪は“偶然使えた力”ではなく、期待され、要請され、戦術として数えられる力になる。
それは便利さであると同時に、ひどく重い。
***
事態がさらに動いたのは、その少しあとだった。
神殿監察部の後続艦が、ガナドラの別ルートから到着したのだ。
数は多くないけど、十分だった。
商会保安艇が完全に押し返され、シェリフ艦も今度は明確に“監察部優先”の布陣へ組み直される。さっきまで『青葉』を囲っていた艦が、今度は少しずつ、グィルディ商会側の艇を隔離する向きへ変わっていく。
盤面がひっくり返る、というのはたぶんこういうことを言うのだろう。
「……すごいな」
ナルディアがぽつりと呟いた。
「なにが」
僕が、聞くと、彼女はまだ表示を見たまま答える。
「ほんの少し前まで、あたしたち、普通に捕まる側だったじゃん」
「うん」
「なのに、いま、向こうが詰められてる」
その言葉は、分かりやすかった。
たしかに、そうだ。
そして、それをひっくり返したのは、力だけではない。
帳簿、後ろ盾、監察部、神殿――そういう“仕組み”の力だ。
ナヴーピでは、光輪と『青葉』の力で押し返した。
ガナドラでは、それだけでは足りない。
だからこそ、ギラやゲラバやアラージの線が必要だった。
ブライアントが、そこでようやく少しだけ息を吐いた。
「ギラ」
『はいな』
「借りは覚えとく」
『高くつきますで?』
軽口の形をしているが、その声には本気が混じっていた。
ギラは続けて、アラージ側の回線へ向き直る。
『監察部さん、押収と拘束、いけそうですか』
アラージは短く答えた。
『可能です。ただし、グィルディ本人とその私設軍艦隊が抵抗の構えを見せています』
「……まだ抵抗するのか」
ブライアントが低く言う。
アラージは言った。
『だからこそ、ここで中途半端に終わらせません』
その一言で、また空気が引き締まる。
『青葉』は、いまや単なる被害者として包囲を解かれたのではない。
次の局面――グィルディ商会そのものを押さえにいく局面の、当事者に近い位置へ立たされているのだ。
僕は、接続席の上でそっと指を握った。
ここから先は、もう市場で静かに物を探す旅ではない。
願いの星の噂も、イハァトパー機関も、ブライアントの願いも、ナルディア救出も、全部が一つの流れへ吸い込まれていく。
そして、その中心に、僕と青葉の“力”も置かれつつある。
神殿監察部は来た。
ゲラバも見ている。
ギラの裏取りも通った。
なのに、安心しきれないのは、ここから先でたぶん僕自身がまた何かを選ばされると分かっているからだった。
アラージは最後に、ひどく実務的な声で言った。
『これより、グィルディ商会関連施設への強制捜査を開始します。『青葉』は監察部の指示に従い、現位置を維持してください』
僕は、小さく息を吐き、それから答える。
「……了解しました」
たぶん、本当の意味での“次”は、ここからだ。
『警告』
青葉の声が、再び低くなる。
『グィルディ商会私設軍艦隊の一部に、武装系出力の上昇を確認しました』
前方表示の一角に、赤いマーカーが増えた。
さっきまで控えめだった商会側の護衛艦群が、神殿監察部の包囲に対して、一歩も引かない形で陣形を整え始めている。
ナルディアが、顔をしかめる。
「往生際悪いっていうか、もう開き直ってない?」
「大商会がここでそのまま首を差し出したら、ガナドラでの顔が死ぬ」
ブライアントは言った。
「抵抗してでも、時間を稼ぎたいんだろうな」
『私設軍まで持っとる商人は、負ける時ほど面倒ですわ』
ギラも、やれやれというふうに翼を広げた。




