07 邪神と使用人の会話
一週間後。
聖都! ちょっとした事件で、人々が大避難する。
という新聞記事を読んだ俺はため息をついた。
この屋敷の使用人をやっているが、ちょっとした問題が。
お嬢様がひきこもって部屋から出てこない。
いい加減、機嫌をなおせばいいのに。ガラでもない悪役のふりなんてするからだ。
いつだってお嬢様はそうだ。
自分にできない事ばっかりしようとする。
前世の記憶を思い出したとか訳の分からない事を言い出して、猛勉強をして体調を崩しかけたこともあるし。
「お嬢様ーごはんです。入りますよー」
部屋に入ると、お嬢様はベッドの上で寝ている所だった。
いつごろからか分からないが、このお嬢様の体にすみついてしまった邪神が、俺に話しかけてくる。
おとぎ話で聞いていた邪神は、もっと怖いものだと思っていたが、案外そうでもないから、慣れてしまった。
「まったく、人の心をのっとらなかった邪神なんて、聞いた事ないですよ」
「たわけ、のっとろうとしたわ。この娘の心が想像以上に阿呆だったから、依り代にしたくなかっただけだわ」
「はいはい。ツンデレですね。ぐふっ」
お嬢様が時々使っている言葉でちゃかしたら、邪神がツッコミをいれてきた。
寝ているお嬢様の足だけ操ったようだ。
「こんなお嬢様ですが、これからもよろしくお願いします」
「よろしくされる道理などないわ。小僧。このたわけめが」