第18話 ゴーレム専科
第七位階上位
装備の素材集めを手伝いたいと言うチサトに身の程を教えて虐めてあげた後、明日甘やかしてあげる約束をして放流した。
……いやさ、神霊金属とかそれ級の素材を使ってアシスト特化の装備を作る予定だからさ、流石に今の皆じゃ無理なんだよね。僕ですら厳しいし。
最近の僕は、うーたんとか、手間の掛かる白夜とかルムとかエヴァとか、甘え下手なミルちゃんとか、すぐ調子にのる発情狼とか、白雪、桃花、リオン、他沢山のせいか、ついつい甘やかし過ぎてしまう。
その為、セイト達やアラン、センリとあんまり長くいると、彼等の楽しいゲームを、その成長の機会を邪魔してしまい兼ねないので、己を律し、支援するに留める。
幸いにして、改造対象は僕の支配下に未だ沢山いるので、欲求がオーバーフローする事は無い。
転生者には、影を操作する者、万象を模造出来る者、音を武器に出来る者、他多数種の力を持つ者達がいる。
配下の子達にしたって、イェガはまだアダマンタイトの加工をしてないから子機イェガを作れてないし、クリカとディルヴァは装備の調整をしてないし、ゲームから連れ帰った子達は満足な武具を作ってない。
そうこう考えてると、消耗激しい現時点で欲求が噴き上がって来そうなので此処までにしておくが、とにかくやりたい事、やれる事があり過ぎて、僕の演算力が足りないレベルなのだ。
なんだったら他にも、元β島のスノーに放置されている機神もどきも今の僕なら支配出来る筈だし、ルベリオン王国王都近辺にいる筈のウルル似の狼さんも仲間に迎え入れる事が出来るだろうし、流星山脈の頂にいる筈の龍に挨拶にも行けるし、天界にも魔界にも行ける。
……どうして僕はもっと凄くないのだろうか?
この僕を持ってしてここまで色々と滞るなんて……不思議な事もあった物である。
それはそうと、暇つぶしだ。
不思議の世界で戦った子達の幾らかは動き始めているが、午後まで休憩の予定なので放っておくとして……あとやる事があるとすれば……『英霊の集い』の様子見とかかな?
◇
「初めての方も多いかと思いますので、先ずは自己紹介からしたいと思います……本日より、『ゴーレムの創造と運用』についての授業を担当する事になりました、ヤカルナ・プリエールと申します。あくまでも授業の内容は基本ですので、詳しく調べたい方は私の研究室にいらしてください」
そこまで言って、ヤカルナは掌サイズの教科書を取り出した。
場所はオムニメイガスの複数ある講堂の一つ。
ゴーレムの創造と運用の授業は、基本授業を修学した初等部の選択科目の一つだ。
ただし、この授業を受けるには『魔法基礎』『魔法実技』の勉強をして資格試験を受験し、『見習い魔導士』の資格を取得しなければならない。
英霊の集いのメンバーは、そこら辺の基礎を程々に出来ているので、『見習い魔導士』くらいなら余裕で受かる。
それに、専門学科ならともかく、内容はあくまでも基礎なので、学費や受験費はただ。
コトノチャンなどの熱心な学徒は、これ幸いと資格試験を受けまくっている。
コトノチャンに限って言えば、影分身が使いたい! などと言っていたが、僕が言える事は一つ……使えば良いんじゃないでしょうか?
本当にもうっ、コトノチャンは自分の力を全く理解出来てない。……そうだ、所詮は工具だし知能はいらないか。
アホの子コトノチャン放っておこう。そんな事より授業である。
「では、教科書の1ページ目を開いてください」
ペラペラと紙を捲る音がする。
『ゴーレムの創造と運用』の授業以外にも、『操気法実践』や『調薬基礎』、『魔術基礎』、『魔物の生態と従属』等々色々やっているので、講堂にいる人数はざっと70名くらいだ。
現状紙媒体を使って授業をしているが、神血が十分に増殖したら、それを利用した電子媒体……いや、魔力媒体を基本にしていきたいと思う。
「1ページ目は目次です。今後の授業で習う内容を分かりやすく明記してあります。2ページ目はゴーレムの製造過程を可愛らしく描いた絵ですね。では3ページ目を開いてください」
ヤカルナは講師1年生だから、こんな感じになるのは致し方ない。
知識はちゃんと本物だから、皆安心して授業を受けて欲しい。
3ページ目の内容は、ゴーレムの基本構造について。
4ページ目にはその図解が書かれている。
基本構造と言っても、ゴーレムにあるのはコアと体のみだ。
高濃度魔力領域のゴーレムはコアから根の様な物が伸びて体により強く結び付いたり、それとはまた異なる手段で、コアの他にサブコアを四肢等に埋め込んで肉体をより強靭にする等の例外や応用もあるが、基本中の基本はコアと体のみだ。
参考書に曰く、ゴーレムとは一般的には核と体を総称して呼ぶが、本体は核の部分のみ。
人に例えると核は脳と内臓であり、体は四肢と顔と言えるだろう。
との事。尚、著者は黒霧だ。意外とちゃんとしてる。
ヤカルナ先生が内容を読み上げ、黒板に画伯な絵を描いて返って分かりづらい説明をし、講堂へ振り返った。
「——と、この様に、ゴーレムは核が本体であり、野生のゴーレムは自らの核を守る為、四肢や顔と言う鎧を身に纏います。例外はありますが……」
そこで、学徒の1人。ゴーレム生成のユニークスキルを持つ男の子が手を上げた。
「はい、先生」
「どうぞ」
「例外ってなんですか? 詳しく知りたいです」
自分の能力に関わる事なので、目をキラキラさせる少年。
土属性や農業系のユニークスキルからの派生で、ゴーレム生成の力を持つ転生者は多い。
例外とやらについては、多くの学徒が気になっている様だった。
ヤカルナ先生はその視線を受け、困った様に眉を寄せる。
「そうですね……我等が主、ユキ様の作るゴーレムなのですが……」
「「「「「成る程」」」」」
何が成る程なのか。理解を放棄するのはやめろっ、一応ここは学校なんだぞ!
「調べた所、イェガ様が使役するゴーレム達には核となる部分がありませんでした。私の私見ですが、彼のゴーレムには核の代わりに体を操れるだけの強靭な魂が込められているのでしょう。最早ゴーレムと言うよりも精霊の類いと考えて間違いありません」
「成る程……」
「それを作り上げるには別途の高度な知識と特殊な技術が必要になります。世界に例外と言う物はあるのだと記憶して頂ければそれで良いかと」
少年は納得した様で、席についた。
まぁ、基礎で習う内容じゃないしね。分からなくても仕方ないね。
「では次のページ、ゴーレムの創造術式を見てください」





