第6話 奈落の世界を蹂躙せよ 四
第七位階上位
北西エリアは、一度共に冒険したからこそその厄介さが分かる、強い連中の集まりだ。
グンハは言わずもがな、ヒメとまめちゃんは有能だし、釣竿法師はおちゃらけた感じだがその実力は並大抵では無い。シャオロンは水中だと無類の強さを発揮する
一方金剛ちゃんは完全なパワータイプで比較的御し易く、ちゅんこは……少なくとも近接戦闘の心得は殆ど無さそうなので問題ない。
一部問題ないのがいるが、その実他のどのエリアよりも厄介な敵が多い。
先ずは、グンハと白羅の戦い。
この2人は、普段の温厚そうな雰囲気から戦う時の鋭く研ぎ澄まされた刃の様な姿まで、実にそっくりだ。
僕の見た所、剣術や体捌きの腕はグンハに軍配が上がるが……グンハよりも白羅の方がレベルが上なので、単純な出力。基礎スペックで白羅が上回っている。
白羅自身も己の未熟を痛感している様子で、少しでも多く技を盗まんと、全力でぶつかり合っている。
まぁ、白羅なら勝つだろうし、何も心配していない。
一方、ヒメとシャルロッテの戦いは……言わずもがな。
幾らヒメが優秀とは言え、限られたスペックで、僕の足元に及ぶシャルロッテを相手にするには荷が重いらしく、苦戦を余儀なくされていた。
僕と遭遇して間も無い頃は、シャルロッテには武術の心得など無かった筈だが……必要と判断して身に付けたらしい。
立ち回りは完璧。体術は僕には及ばないが出来てる方。魔力コントロールにおいては理想的な領域だ。
シャルロッテなら、十分な装備さえ与えれば、機神クラスも単独で撃破出来るだろう。
金剛丸&物怪丸vsメロットの方も……特に気になる部分は無い。メロットはやはり強かったとしか言えない。
ちゅんこ軍団vsディルヴァ軍団も……妖怪の群れがディルヴァ軍団によって駆逐されている。
シャオロンと水棲魔物&魚人軍団も、クリカの軍勢を前にしては霞む。
幾らまめちゃんが強くて有能とは言え、ベスタとその使徒をベスタの領域で撃破出来るレベルでは無い。
唯一問題だと思っていた釣竿法師とアラビスさんの戦場は、思いの外善戦していた。
釣竿法師の実力は、北西エリアではグンハに次ぐが、アラビスの地力もかなりの物。
巧みな魔力操作で防御し、その巨体を活かした攻撃で着実に釣竿法師の魔力を削っている。
勝てるかどうかは……肉体の質や技量から見て正直無理だと思うが、今暫くは手助け無しで戦わせるのが良いだろう。
そうこうやってる内に他も終わるだろうし、その時に援軍に行かせればちょうど良い筈だ。
…………そして最後に、鬼ヶ島から沸いて出た鬼達の群れだ。
さっきいなかったしピンも刺さっていないが、それはつまりこの迷宮を管理する神がGOサインを出したと言う事で……喧嘩祭りの再来が起きている。
もはや戦力過多である。
流石にあの無数の童子達が他の援軍に来たら勝てない所も出て来る。
仕方ないので、彼女等を解き放つ事にした。
軍団には軍団を。彼女等はもはや天災とかそう言うレベルの存在だが、敵がそう来るのなら僕もそう手札を切るしか無い。
もし誰かを恨むなら自分達を恨んで欲しい。
他所へ援軍に向かう為に船を出そうと動きだしている鬼ヶ島に、僕は白いキノコを投下した。
南無。
◇
ボタン1つで世界を白く染め上げる、恐怖の細菌兵器パフィニョンが鬼ヶ島を白き死で埋め尽くした頃、各地での戦いが無事終わった。
一部、と言うか半分以上が無事と言い切れない状態だが、魂に別状は無いので問題ない。
十分な余力を残しているのは、ウルルとメロットとシャルロッテとディルヴァ。
実際の所は、ウルルが相手したのは夢想神筆頭候補のベルベルで、4人の中では一番消耗が大きい。
2番目は、軍団を相手にしたディルヴァ。先はディルヴァ軍団などと言ったが、実際にはディルヴァが身を削って作り出した眷属なので、相応に消耗している。
メロットとシャルロッテは、方や脳筋2体、方やそこそこやりての有能戦士ヒメ、消耗がない訳では無いが、連戦が可能なレベルである。
他、各六精帝は、イテア、グリドア、ベスタの3名が連戦可能だが、消耗率が6割を超えている。
アウラは堅守のダイヤの王を削り切るのに全力を出し切って昏倒。
ハイネシアさんは意外にも強かった泉の女神との激戦で精神力切れ。
ヴェルガノンはアホみたいに正面衝突していたせいで無駄に消耗した……が、まぁ、成長には繋がった様なので良しとする。
イェガは主砲やメイン武装が光線系だったので、ガラスの騎士やリヨン達とは若干相性が悪く、結構な消耗を強いられていた。
クリカも、水中のシャオロンとその軍勢を相手に激戦を繰り広げてまぁまぁ消耗しているので補給に努めて貰う。
ルメール&アルナンペアは、格上である植物を操る花の小人さんとその軍勢と戦い、巧みな支配と魔力操作で、大きく消耗しながらも危なげなく勝利した。
アラビスさんは、あらゆる面に置いて格上の釣竿法師の猛攻を耐え忍び、その巨体を用いて着実にダメージを与えて行った。
しかし流石にレベル差、技量差もあって削り切れず、援軍としてやって来たクリカの助力を得て釣竿法師を撃破した。
セバスチャンも白羅もちょうど良い相手と戦えたし、ポンコツ姉妹も大分成長した様だし、なんか水精三姉妹は協力技の開発をしていたし、全体的な評価としては、とてもうまうまと言えるだろう。
何よりうまうまなのは、経験値が結構ごっそり配給された点だ。
クエストにはなっていないが、何らかの討伐報酬的な物として配布されたのかもしれない。
では敵も滅んで灰色の世界が虹色に輝き出した所で、早速ジャヴァウォックを仕留めに行こうか。





