第47話 おにぎりころりんデース!
第七位階上位
入手したのは、スキルポイント3P。竹製の刀『赫千夜』。それとニコラメダル2枚。
エクストラ評価は、『瞬殺』でスキルポイント1P。
赫千夜の能力はウルルの持つ力と同じで、一定範囲内の太陽属性魔力を喰らって月属性魔力に変換したり、月属性魔力を吸収して力を得る様な武器だ。
また、エネルギー吸収をする事で自在に伸縮可能であり、そして一定以上の長さになると分裂出来る。
星型ブーメランの天道系装備と同じで、劣化武器がどんどん増える仕様の武器であった。
試しにちょっと伸ばしてポキっと増やしてみる。
赫千夜 品質SS レア度7 耐久力S
備考:光を浴びて何処までも伸びる神代の竹を用いて作られた刀。その一太刀は天を斬り裂く。
赫百夜 品質A レア度6 耐久力A
備考:光を吸収して空高くまで伸びる竹を用いて作られた刀。
「ふむふむ」
赫百夜の方は、一般向けにメイキングして売りに出してもギリギリOKなレベルだな。
それにコレ、未だ2段階くらい下がありそうだ。
「その通りデス! ワタシメイクの赫千夜は、赫百夜、赫十夜、赫一夜、赫夜までありマス!」
「成る程」
3段階下まであったのか。
唐突に再起動してナチュラルに心を読んで来たヒメ。
どうやら、クリアしちゃった物はしょうがないと吹っ切れた様で、僕が増やした赫百夜を強奪し、何をするでもなく腰に佩いた。
「さぁっ、行きますヨー!」
ヒメはそう言って元気に空へ拳を突き出すと、僕の手を引いて竹林を進みだす。
……ヒメ付いてくるの? クエスト? …………あぁ、暇なのか。
「失礼な事を言うのはこの口デスカー?」
言ってないし。
◇
引かれるまま、竹林を道なりに進むと、坂道の草原に出た。
「おおー、あんなところにおにぎりありマース」
ヒメは今までの大根とは違い、大分マシな演技で不自然な切り株を指差した。
その上には、竹の皮が敷かれたおにぎりが1つ。
ヒメは僕の手を引きながら、切り株に近付くと、徐におにぎりを拾い上げ——
「落とし物で——おおぅ!?」
——自然な動作でおにぎりを取り落とした。
「おおぉ……すっとんとんデース」
坂を転がるおにぎりを見下ろすヒメ。
僕は勿論、念動力では拾わない。
おにぎりは謎の力で若干の修正を得て、吸い込まれる様に坂に空いた穴へと向かっている。
「ユキ! 追いかけマスヨー!」
多分、穴の近くに行くまでが台本なのだろう。
引かれるままに坂を下り始めた、次の瞬間——
「ア゛ッ」
「お?」
——ヒメが石に躓き、盛大に転んだ。
勢いのまま、ヒメは坂を転がって行く。
「あああ、止まりまセーン!?」
哀れな叫びを上げてコロコロ坂を下るヒメ。
コロコロおにぎりを追い越し、穴の横を転がり、更にその下へと突き進んでいく。
直前に僕の手を離したのは確信犯だからなのかそれとも咄嗟に巻き込まない様にしたのか。
取り敢えず僕は、演技《かもしれない事》を邪魔するのもなんなので、穴の方へ向かう事にした。
僕が宙を滑りながら穴の前に移動すると、ちょうどおにぎりが穴に落ちる。
「……」
「たぁすけてぇくだサァィィ〜〜」
何も起きな——む?
待つ事およそ3秒、穴から間欠泉の様に水が吹き出して来た。
そして——
「はーい! 女神ですよー!」
——残念美女がキラキラ笑顔で現れた。
成る程、確かに……。
「……ネズミの女神」
「違う!!」
女神は両手に金と銀のおにぎりを持ちながら、ムキーッと地団駄を踏んだ。
そんな女神と流れ始めた小川と転がり落ちるヒメを視界に納め、取り敢えず女神のクエストを終わらせる事にした。
◇
《【運命クエスト】『怪力無双の物怪丸』をクリアしました》
《【運命クエスト】『ネズミと女神と穴と米』をクリアしました》
入手したのは、スキルポイント6P。『怪力無双』。『金のオニギリ』『銀のオニギリ』『オニギリ』。ニコラメダル4枚。
エクストラ評価は、『大満足』『女神の祝福』でスキルポイント4P。『熊の手』『聖杖・ユーシィ』。
それぞれ、怪力無双が筋力強化系の魔法を宿したアダマンタイトの巨大な戦斧。
装飾は表面に描かれた龍の様な金細工だけで、質実剛健を形にした様な斧。
各種オニギリは、おにぎりの形をした食品サンプル的金属塊で、魔力を込める事で各種おにぎりが出現する仕様だ。
おにぎりは食べるとなんか凄い補助効果があるらしい。
熊の手は……物怪丸の手かもしれない生肉だ。食べれば良いの? それともアトラ用に用意してくれたのかな?
僕としては戦力強化になるのでアトラにあげる所存だ。名前は魑魅丸か魍魎丸が良いだろう。
聖杖・ユーシィは、聖なる水やそれを発生させる結晶を生成出来る魔法杖だ。
杖の先端には青い宝石があり、それを覆う様に半透明で翼っぽい形をしたヴェールが付いている。
さて……坂の下で目を回しているヒメをさっさと回収して、次に進もうか。





