第35話 栄光へのガラスロード
第七位階上位
リヨンが突然現れた謎の招待状を手に茫然としているのを横目に、改めて戦場を見る。
こちらの頭数は100前後。
対する敵は、兵士100。騎士10。重騎士1の、111体。
若干敵の方が多い計算である。
とは言え、此方側は皆精強であり、そして敵の攻撃力は低い。
……ただ倒せないだけで、十分な戦力差は確かに存在するのだ。
と言うかリヨン、これだけの規模のゴーレム軍団全員に加護を与えるとか…………かなり奮発したね。
それとも、リヨンは神として実はかなり強力な部類に入るのかな? …………随分小物っぽいけど。
そんな奮発加護硝子騎士軍団の中でも特に強い重騎士と戦っているのが、アルフ君である。
最初に遭遇した騎士と比べて一回り程小さいその騎士は、アルフ君とその愛剣レヴァンティン、鞘のセラナトゥスの猛攻を受け、その加護によって多くの力を受け流しつつも、明らかに劣勢である。
しかし、そこはリヨンの傑作とあり、確かなダメージは蓄積しているものの、そう易々と倒れはしない様だ。
だがまぁ、最初の騎士よりは弱いので、直に砕け散る事だろう。
設計図の回収準備は既に完了している。
一方、10体の騎士それぞれと戦っているのは、ラース。ルーベル。アッセリア。キース。リオン。紅花&白夜。ルクス君。氷白。蟹三兄妹。アニス。の13人。
内、確実に勝てそうなのは、プロメテウスを装備したアッセリア。ヴァルゴ一式を装備したルクス君。戦闘に天賦の才を持つリオン。二鬼セット。三蟹セット。
ギリギリ勝てそうなのは、限界突破が出来るラースとルーベル。あと、さり気なくミスティを利用している氷白。
キースとアニスの物理型2人は、今のままでは勝てないだろうね。
◇
魔力を使って肉体を強化するスキル、『能力増強』。
半自動的に気を練成して肉体を強化するスキル、『身体強化』。
本来誰しもが練成可能な筈の、闘気や仙気を強制的に錬成し、肉体を強化するスキル、『潜在覚醒』。
持ち得る限界を越えて気を錬成し、肉体を強化するスキル、『限界突破』。
英雄、又は神霊への信仰を吸収し、存在を強化するスキル、『絶対強者』。
己への信仰を解放し、存在を爆発的に強化するスキル、『亜神化』。
この6つが身体強化系と呼ばれるスキル群らしい。
その内、『能力増強』。『潜在覚醒』。『絶対強者』の3つは、自力習得されるタイプのスキルでは無いとの事。
なんでも、プラスパワーが補助魔法。アウェイクン・ソウルが強制覚醒。オーバーロードが加護。
これらの、スキル様に用意された名称であり、本来は誰かに強化される物であって自分でやる物では無いとかなんとか。ある神がメイキングしたスキルだとかなんとか。
やけを起こしたリヨンから追加で幾らかの情報を取得できた。
では、それらのスキル。とりわけ限界突破の本来の習得方法とは何だろうか?
言葉にすれば、簡単である。
——限界を越える事だ。
言うに易しとは言った物で、限界を越えると言うのは容易ならざる偉業だ。
全力の更に先へ至ると言うのは、やろうと思ってもそうそう出来る事では無い。
……はて? 限界を越えるとは果たしてどう言う事だろうか?
此方も、言うに易しである。
限界とは即ち精神力の限界であり、それを越えると言う事は、限界時点で起きる防御反応。失神を越えて精神力を行使する事だ。
実際にそれをすると、魂魄が焼き切れる。
例えば、僕は限界を越えて神力を行使した結果、神力を宿した腕の魂魄が弾けて消滅し、しばらく腕が動かなくなった。
まぁ、僕の場合は使った力が力なので、その反動も凄まじい物になった訳だが、本来は魂魄の力をもりもり使って最悪死に至るのが限界を越えると言う事だ。
さて、改めて戦闘の戦果を確認しよう。
先ずは、キース。アニス。ナーヤの3人が限界突破を習得した。
全員が示し合わせたかの様に前のめりに倒れ込んだのは、それだけ敵を討つ為に頑張ったと言う事だろう。
それに加え、先達3名の勇姿に奮い立ったか、アッセリアはプロメテウスを鞘に仕舞い、蟹兄は妹達を下がらせ、全力のその先、限界を越えると言う事を学ぶに至った。
更に、アッセリアファンの50名も、全霊で輝くアッセリアに続き、魂を燃やしてぶつかり合い、若干弱めとは言え加護を宿す硝子兵達を撃破した。
戦闘に参加した全員が、大きな消耗の代わりに素晴らしい経験を得るに至ったのである。
それと、敵の大将のコアを撃ち抜いて、金と銀で装飾された煌びやかなドレスを入手した。
まぁ入手したと言っても、発生したキラキラした光がリヨンに纏わり付き、その貧弱な革装備をドレスに変えたと言う形であり、僕がゲットした訳では無いみたいだが。
そして次の戦場である。
◇
先の戦場で、送り出した子達の多くが戦闘不能に陥った。
十分な地力があり、気を失わなかった子達も、その殆どは満身創痍であり、平然としてる子は両手の指で数えられる程度である。
具体的には、戦ってない白雪。連戦でも平然としてるアルフ君。ルクス君。氷白。ミスティ。ルメール。
まだ戦えそうな子は、リオン。紅花&白夜。ララ。熊君達からは鬼獄熊大王さん。鹿君達からは重力鹿君と雷鹿さん。猪からは猪竜君。狼からはフローズヴィトニル夫妻。
やはり、地力が高い者や一芸に秀でる者が生き残った形となった。
それに対する敵は、兵士60。騎士30。重騎士10。そして最初の騎士。守護騎士1の軍団である。
その総合戦闘力は、優に前の5倍を超える。正確には7.8倍くらいだ。
だがまぁ、攻撃力が低いのは相変わらずなので、まず敗北は無い。ただただ硬くて倒せないだけである。
と言う訳で、今回も敵を倒すのに十分な戦力を送り出そう。
召喚したのは、ルーレン麾下のアンデット50名。ネロ。ワンワン軍団85匹。アスフィン。吸血鬼メイド70名。
合計頭数は、敵101に対し……白雪とレーベを除いて、222名。
戦力の具体的な評価は……。
内10名が先の戦闘で疲弊しており、氷白、ミスティ、ルメールの3名はそこそこの消耗。アルフ君、ルクス君は殆ど消耗無し。
現戦場トップクラス戦力は、ネロ、アスフィン、アルフ君、ルクス君の4名。次点でワンワン軍団のリーダー7匹。
この戦力で想定される戦法は……ワンワン軍団の雷わんこ部隊が兵士を41体撃破し撤退。
メイド部隊がその俊敏性と再生力を武器に前衛を受け持ち、アンデット魔法師隊が後衛となって兵士19体を直ちに撃破、騎士30体との戦闘に移る。
その騎士30体との戦闘に、先の戦場で戦ったアルフ君とルクス君を除く13名とワンワン軍団の大聖天狗達37匹が参戦し、騎士隊を討つ。
そして、ワンワン軍団七天王とネロ、アスフィン、ルクス君がそれぞれの重騎士を受け持ち、アルフ君が守護騎士と戦う。
彼我の戦力と敵の隊列から合理的に考えるとこうなるだろうが……果たして——





