第25話 レア度高めで可愛い僕
第七位階上位
ドウテイサン? ドウテイサ——
「驚くのも致し方なしですわ! お父様が致さないのには理由があるんですの! ですがそれはともかく」
「ともかくなのか」
ともかくなのか? センシティブな内容だった気がするんだけども……。
「大事な情報は、お父様の正妃の座が空位と言う事ですわ」
「……ふーん」
まぁ、でもそれ——
「——僕には関係ないよね」
だって……僕より有用な者。高位の者は幾らでもいる筈だし。
「それがそうでも無いんですのよ。なにせユキちゃん程の純度の銀を持つ者は神群でも片手の指で数えられるくらいですし、何よりユキちゃんは両目に希少な青系統の、それも相当に純度の高い魔眼を開眼してますわ。希少価値で言えば大神級にも見劣りしない有望株ですの」
「な、成る程」
殆ど分からないけど、要するに僕はレア度が高いらしい。
だから遊技神とかがちょっかいを掛けて来たのだろう。
「正妃の座も向こう百年は空位の予定ですし、ユキちゃんなら十分視野に入れられると思いますわ!」
「……百年」
百年あれば……確かに……。
「……いやまぁ、興味ないけど」
「ふふ、そう言う事にしておきますわね」
ダイヤの王は、ニコリと生暖かい笑顔で微笑んだ。
しておくってなんだ。
本当に興味無いからな!
…………スタート地点にすら立てて無いんだから。
◇
ダイヤの王は、僕の興味のツボを的確に突いてくる。
例えば、鑑定で確認出来るレベルと言う物と、位階とやらの相関関係について。
どうやら、レベルと言うのは魂の年輪の様な物らしい。
なんでも、十分なエネルギーを吸収する事で一回りずつ大きくなって行くのだそうだ。
それによって魂は肥大化して行き、より多くの力を蓄えられる様になったり、より多く、より強いスキルを習得出来る様になる。
ただし、所謂精神力、演算力の部分はそれ専門のスキルを芽生えさせ無い限り特別に強化される事は無い様だ。
宝珠等を魂に取り込むと言う事は、その魂のコア部分に相当する物を2つ分くらい得ると言う事で、自力で鍛え上げるしかない所を楽にブースト出来るのである。
位階の方は、正式名称を『神霊階梯』と呼び、古い神々が定めたランク付けらしい。
ここまでは遊技神が言っていた事と同じだ。
更に詳しく言うと、第一位階から第三位階まで、レベルにしておおよそ1から30までを『獣身』。
第四位階から第六位階まで、レベルにして30前後から300後半〜400少々くらいを『霊身』。
第七位階から第九位階まで、おおよそレベル400前後から……多分1000以上を『天身』。
そして、それ等を越えた存在、第十位階から第十二位階を『光身』と呼ぶ。
途中憶測が入ったのは、『天身』と『光身』を分ける指標がレベルでは無いからだ。
そこら辺、憎むべき規制が入ったので詳しく分からなかったが、多分先の予想通り、多くの信仰を得る事が必要なプロセスの1つなのだろう。
また、『獣身』『霊身』『天身』には、それぞれ明確な壁が存在するらしい。
『獣身』の壁は、『魔滅』と呼ばれ、主に魔力不活性化世界の住人の限界値とされている。壁だけでなく、壁の原因となる世界其の物も『魔滅』と呼ばれるとか。
つまり、僕がいる世界とかリベリオンメンバーがいた世界とかは、基本的に『獣身』以上には至れない『魔滅』の世界と言う事だ。
次に、おおよそレベル300代で当たる壁を『生体限界』と呼び、多くの生物が200後半から400前半まででレベル限界に至る。
これを越える為の明確な条件が、所謂『闘気法』。即ち肉体外にまで及ぶ強力な魔力操作能力だ。
……ダイヤの王が迂遠な表現で教えてくれたのを訳すと、精神力の活性を起こす事が必須条件……っぽい?
そして、レベル600で次の壁だ。これは僕の配下達が現在進行形でぶち当たっている壁である。
正式名称を『霊験門』と呼び、これを越える具体的な方法は……魂だけでほいほい行動出来る様なポテンシャルを持つ事。もっと言えば、肉体が消し飛んでも何らかの手段で完全復活出来る事だ。
肉体を脱ぎ捨てて精神体のみで活動出来る事。それが『霊験門』、神霊への第一歩を越える条件となる。
……まぁ要するに、僕の部下達のレベル限界を解放するには、冗談抜きで死ぬ気で生きたいと思わせる事が必須条件な訳である。
結果的には、死ぬ事すら必要な経験の1つと言う…………いや、死ぬ事、死を越えて転生を繰り返す事が必要なのか。
そして最後の壁が、『天身』から『光身』へ至るのに必要な壁『生誕せし者』。
条件が主に多数の信仰を得る事だとして……瞳神が言っていた『誕生の試練』と言うのは、それ等を統合しなければ勝てない様な存在に勝利する事を指すのだろう。
……仮に幼神の事を誕生の試練を越えている者を指すのだとしたら……僕はそれ等を結構無駄にしてしまったと言う事では無いだろうか?
瞳神が態々注意しに来る訳である。
思えば遊技神も、誕生の試練のあるアナザーの大地から僕を遠ざける様な言い方をしていた。
…………色んな意味で、僕はもはや恥ずかしい人だった。
レベルの次は、瞳について。
此方はざっとした説明しか受けれなかったが、なんでも緑系統が物質体に大きな影響を与える魔眼で、赤系統が星辰体に大きな影響を与える魔眼。青系統が精神体に大きな影響を与える魔眼らしい。
一見すると緑系統が劣っている様に見えるが、実際にそれぞれの魔眼を極めた存在が殺しあった場合、赤と緑はほぼ同格で、青は勝てはしないが決して負けないらしい。
……勝つまで死なない事が出来るのが青の魔眼持ちなのだとか。
…………僕、知ってる。そう言うの不条理って言うんだよね。
それぞれの魔眼の別名は、緑が、開眼すれば余程の事がない限り確実に神に至るらしい『神成りの魔眼』。又は『真化の瞳』。
赤が、開眼すれば余程の事がない限りやがては大神へ至るらしい『神下ろしの魔眼』。又は『捕食者の瞳』。
そして青が、決して心折れる事なければ如何なる大敵をも滅ぼす事が出来るらしい『神殺しの魔眼』。別名『英傑の瞳』。
琴乃ちゃんとか風に言えば、赤と緑が成長チートで青が主人公補正と言った所か。
……思ったんだけど……感情爆発により無敵化するらしい青の魔眼と感情を殺す銀の因子って……相性悪過ぎなんじゃ……? それぞれがレア度高めと言うだけで、僕自身は却って不良品みたいな感じなの?
……いや、まさか……神々が僕の事を可愛い可愛い言うのは……可哀想だから……?
いやいや……まさかね……。
……ま、まぁ、僕は可愛くて美人だしね? 神をも魅了する罪深い美貌なんだよ。そうに決まってる。多分。きっと。おそらく……。





