第20話 熱戦っ、ビーチでやる球技の様な何か!
第七位階上位
ビーチで行われたその大会は、全員が全力を出し切った、イイタタカイダッタヨ。
全16チームによるトーナメント式の大会は、地力の差が出たか、強者が1人でもいたチームが第一試合を制した形となった。
初戦を勝ち上がった8チームは、どれも精強だ。
言わずもがな強力な、シャルロッテ率いる『勝利を我が主に』。
ウルル率いるチーム、『ユキと愛狼』は、モンデシウルのウルラナ、それからルーベルとミュリアの狼兄妹を入れた狼軍団。
水精母娘と言う、全員が精霊で構成された最強クラスチーム、『大いなる水の循環』略して『大水循環』。
ルムを筆頭に、リムとその部下2人を加えた『ハーレム作り隊』。
配下の竜種達の中では現状一番強いミルちゃん率いる『ドレニュカ』。
サンディアと吸血鬼娘達で構成されたチーム『剣華天一』……これ、誰の命名だろう? まさかサンディアではない、よね?
それから、ラーベスタとイテアの二枚看板にその使徒を加えたチーム『天上天下』。
そして、白雪チーム『メロンシャーベット』。食べたいのかね?
この内、大水循環は初戦でメロットのチームと当たった。
合理的なメロットは大水循環にこそ勝てただろうが次の試合で負けるだろうと判断したのか、即リタイアした為に大水循環は無傷であった。
……正直補給無し、復活無しと言う消耗戦なルールはあまり良くないと思う。
……ただ、補給するにしたって何処まで回復させるかと言う問題があるけどね。
エヴァとかは自前の魔力貯蓄庫を保有しているので、それらを完全回復してしまうと、ゲームが始まる前から勝者が決定付けられてしまう。
と言うかそもそも、化け物にスポーツをやらせようとした事が間違いなのだ。
まともにスポーツをやらせようとするなら、能力を制限してあげるしかないだろう。
そこら辺は黒霧も理解していると思うので、次やる時はもっと良いスポーツになっている筈だ。
そんな訳で第二試合も終わり、残った4チームは更なる強者達の集団。
シャルロッテチーム。ウルルチーム。ルムチーム。ミルちゃんチーム。
ルムチームの相手は天上天下だった。ルムチームは負けるだろうと多くの者が予想した様だが……やっぱり彼女は類い稀なる天才の1人だったのだ。
ルムは部下2名を使い潰して使徒を撃破し、実の姉を辱めてアホなベスタを無力化し、強大な神性を持つイテアと一騎討ちに持ち込んで……これを見事打ち破った。
手管は置いておいて、結果的にルムは勝利した。1人だが。これで、第二試合を制した事は間違いない。1人だが。
ミルちゃんチームの相手は、白雪率いるチーム『メロンシャーベット』。
白雪と氷白と言う帝王クラスの精霊に加え、強大な力を持つ妖狐2匹を前に、先ず最初にくたばったのはレスタだ。
復活して間もないと言うのにボコボコにされたレスタは、大いに泣いても良い。ただ、弱いから早く復活出来たと言う事でもあるので、この経験が彼女には良い修行になった事だろう。多分。
そして、白雪チームが次に狙ったのは、ニュイゼ。
木の役でもやっているかの様に動かないレイエルを狙えば、ニュイゼを潰すのは容易かっただろう。
ニュイゼは健闘虚しく相性の悪い氷結の力の前に膝を屈っし……しかしてそれが白雪チームの判断ミスであった。
ニュイゼの離脱により正気に戻ったレイエルが、あたかも鬱憤を晴らすかの様に凄まじいコンディションを発揮したのだ。
結論から言うと、レイエルはガス欠で倒れた。
レイエルが倒れる頃には、消耗していた白雪と氷白も戦線離脱しており、貧弱な茉莉花はニュイゼを倒す段階でバタンキュー。
最後はミルちゃんと睡蓮の戦いとなり、呆気なくミルちゃんは勝利した。
ウルルチームが当たったのは、剣華天一。
サンディアチームは、前のゲームで既にポンコツのレミアと吸血鬼メイド代表の子が凶球に倒れており、残るは消耗した様子を一切見せない天真爛漫のサンディアと、疲労を隠して楚々とした姿勢を崩さないリアラのみ。
対するウルルチームは、ウルルの凄まじい反射やミュリア、ウルラナの経験から来るタフさもあってか、疲労も程々であった。
結果……やはりサンディアは強い事が判明し、ミュリアを守ったルーベルと、属性的に相性が良い筈だったミュリアがやられ、ウルラナも大きく消耗したが、ウルルチームが勝利した。
全力で勝ちに行ったシャルロッテチームは、水精母娘と言う地力の上では最強クラスチームとの激闘を制し、大きく消耗しながらも、誰一人欠ける事なく勝ち上がった。
シャルロッテとアウラが『精霊化』で合体する切り札を前にしては、然しものハイネシアさんやアルケレーネさんと言えども苦戦は免れず、使徒を消費して放つ精霊帝一人分にも匹敵する膨大なエネルギーの爆発を受けて、妹2名が離脱した。
結界は僕が補強したし、2名の保護は黒霧がどうにかしたが、何もやっていなかったら夏島が海の藻屑になる所だった。
その後は、膨大な魔力を湯水の如く使うエヴァの猛攻を前に母と姉が敗し、シャルロッテチームの勝利が決まった。
さて、第三試合だ。と言う所で、僕の鶴の一声が響き渡る。
このままだとどう考えてもシャルロッテチームが勝つので、ちょうど良く人数が削れた3つのチームを統合したらどうかと提案した訳だ。
シャルロッテチームに不利益のある提案だったが、シャルロッテはこれを快諾。
『あぁ、主よ。偉大なる我等が主よ。卑小なる我が身に試練を御与えくださるのですね。あぁ……! あぁっ!! 必ずやっ、必ずやシャルロッテは神様のご期待に応えて見せますっ!!』。そう叫ぶ変態の顔は朱色に染まっていた。随分余裕そうである。
その後、暁にはなんたら。おみあしがどうたら。
お子様の手前黒霧運営本部の規制が入っていたのでちゃんと聞こえなかったが、要約すると踏んでくれって言ってた。
…………変態だー! やっぱり聖女は性女だった。いやでもシスターアルメリアは——
そんな訳で行われた第三試合にして決勝戦。
——ウルルとエヴァの神速ラリー。
——ルムとアウラの聖魔大戦。
——ミルちゃんとアトラの球を介した拳のぶつかり合い。
——そんな終末戦争に放り込まれた、ちょっと神性を持つだけのちっぽけなウルラナ。
果たして、勝者は——
——アトラただ1人。
シャルロッテの誤算は、黒霧の奔放さを理解しきれなかった点である。
僕ですら無いだろうと思っていたレベルの事だった。
まさか、このビーチバレー大会が、チーム戦に見せ掛けた個人戦だったとは。
復活無しと言うルールは然もありなんである。
上げて落とされたシャルロッテは『…………こ、これも……試練だと、言うのですか、主よ…………』と茫然自失。アウラはアウラなりにシャルロッテを慰めようと必死であり、そして寡黙な所のあるエヴァはと言うと……何か物騒な事をぶつぶつ言いながら密かにキレていた。
優勝者であるアトラは、何気に部下であるミネロラとアグリールを上手い事調節してミルちゃんパンチに宛てがい始末、いや戦線離脱させていたので、純粋にただ1人の勝者である。
これにて、僕の配下の中で初めて行われた、まともなルールでは無いながらも大きな大会は終幕と相成った。
次やる時はしっかりやろう。僕が監修しよう。





