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【書籍化】錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜  作者: 白兎 龍
第一章 Another World Online 第十二節 楽園の守護者の攻略

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第37話 ユキ、故障する

第七位階上位

 



 魔覚にシフトした。



 広がるのは灰色の世界。


 より強い力を持つ者のみが色付いて見える世界。



 僕はしばし、それ(・・)に見惚れていた。



 世界は灰色の筈だった(・・・・)


 それ(・・)は世界を虹色に染めていた。



 ——白い円盤。



 ただの光源装置だと思っていたそれは、内部に無数の、そして大量の神気を蓄えた、何らかの神器の様であった。


 漏れ出る僅かな神気が、この大広間を虹色に染め上げているのだ。



 これ程までに強大なエネルギーを感じ取れていなかったなんて、己の無能が恥ずかしいくらいである。


 ……と言うか、ベルツェリーアがニヤニヤしてたのはこれか。禁酒刑に処してやる……のは可哀想だからちょっとだけ苛めるに留めてあげよう。



 おそらく、僕が神気の色をはっきりと感じ取れている理由は、魔覚の中でも飛び抜けて何かを見る感覚、もとい瞳が優れているからだろう。



 円盤から視線を下ろし、次に見たのは4つの玉座。


 そこには、4人の人形が座していた。


 物質体(マテリアルボディ)は存在しないので、魂魄だけがそこにあるのだろうけど……戦っている4人のゴーレム達にもちゃんと魂魄があるので、肉体を遠隔操作している訳では無い。

 はっきり言って原因不明だ。


 或いは連戦の可能性も無きにしも非ず。


 また、その人形の魂魄には、3色の大きな存在がくっ付いているのも見て取れる。


 僕の目の前にいる少女の魂魄には、水色、深緑、黒の3色に幾らか蒼銀やピンクが混じっているのに対し、人形にくっ付いている色は赤と紫にかなり薄い水色、勿忘草色だけだ。

 これを見るに、多分次に此方側から来た人は火、毒、氷の使徒と戦う事になるとかそう言う感じなのだろう。


 つまり連戦は無い。筈。



 ここまで観測した所で、そろそろ思考速度を落とすとしよう。

 大事なのは神気の流れを読み取る事。


 集中力を下げつつ神気を感じ取るのは……骨が折れる作業になりそうだ。





 ベルツェリーア、キット、シュフォールの三重防壁により、少女の攻撃は僕に届かない。

 神核に匹敵する膨大なエネルギーを前にしては、流石のオリジン・ゴーレムと言えども易々と突破する事は叶わないのだ。


 3人に守られつつ僕は神気と向かい合う。



 円盤から漏れ出る神気。


 敵が偶に放つ攻撃性の神気。


 加護(アルカナム)で操作する僕の保有神気。



 ベルツェリーアは言っていた。


 僕は未だ慣れていないだけだと。



 感じる事は出来る。操作する事も出来る。なれば後は練習あるのみ。


 神と言うのは神気を操る事が出来る者の事を言うのだろう。

 つまり、僕が幼神と呼ばれるのは、神気を操作出来るが不慣れだからだと考えられる。



 最初から、僕は神気を操れたのだ。



 感覚は掴んだ。


 大気中には微量の神気があり、大気中を彷徨う種精霊にはそれより濃い神気があり、床や壁等の質量が大きい物にはより多く神気が宿っている。


 オドを操るのと同じ様に、僕の紺碧(しんき)を操作し、オドでマナを操るのと同じ様に、紺碧(しんき)で大気中の神気を搔き集める。


 神気による物質の生成は、今の僕には難しい。


 であればやる事は1つ。



 集めた神気を僕の右手へ——





「——はっぁぁぁああっ!!」



 拳を振り抜いた。



 刹那、激痛が走り右手が粉々に弾け飛ぶ。



 同時に、放たれた攻撃性を持つ神気の塊が、大きく拡散しながら少女に迫る。


 魔覚が解けたからか僕にはそれが良く見えないが、何かしらの異常を感じ取ったらしい少女は、おそらく神気を宿していると思わしき3属性の防壁を張り、回避行動をとった。



 次の瞬間——パリパリパリッとガラスが砕ける様な音が鳴り、小柄な少女の胴体が半分程弾け飛んだ。



 そんな光景を、朦朧とする意識の中見送り、少女が倒れ、僕の放った神気がフィールド制限の壁にヒビを入れた様な気がした後、意識が飛んだ。





 白が冷たい瞳で見下ろす。



 ——あぁ、なんと愚かなのでしょう。碌に扱えもしない力を己が手に宿すとは……彼女の右手は二度と元には戻らないでしょう。



 赤が呆れた様に肩を竦めた。



 ——なんであんたはそうも悲観的なんだ。ただの手(・・・・)だぞ? 直ぐに生えてくるだろうよ。



 青が慈しむ様に目を細める。



 ——そうですわね。瞳に宿さなかったのが幸いでしたわ。あれ(・・)だけは唯一無二ですもの。



 緑が腕を組み微笑む。



 ——目を回してますわー。可愛らしい。食べちゃいたいですわー。



 黄が険のある声で呟いた。



 ——……黄金の力を感じる。この状況下で神々で争うのは無意味。手を出すな。



 黒は震えながら告げる。



 ——我、知ってるぞ。……金の神、な、十二位階らしい。



 沈黙する六色の人型を、道化は嘲笑う。



 ——ハーハッハッハッ!! ……我輩より百倍以上強いぞ。 アレ(・・)は最早原初の万色(・・・・・)にも匹敵するだろうよ! 知らんが、なっ!



 青は愛おしげに口ずさむ。



 ——彼女が彼の愛し子だと言うのなら、何も心配は要りませんわね。



 黒はぼそりと呟いた。



 ——……義姉いっぱいいるものな。



 道化は高らかに嗤う。



『さぁっ! 次のショーは間も無く開演だぞっ、さ・ゆ・き・ちゃん♡』





「ふわぁっ!?」

「きゃんっ」



 何か嫌な奴に仲間が増えた様な悪夢を見た気がして飛び起きると、何か柔らかい物に顔が包まれた。


 女性の小さい悲鳴が聞こえ、半ばパニックでそれを押し上げる。



「ひぅぅ」

「やんっ……だ、駄目ぇ……そんな強くしたらぁ……」

「ちょっとシキナ、どいてやー」



 大きくて柔らかい物が退けられ、褐色が覗く壁が現れた事で、床にパタリと倒れこみ、放心。



「…………」

「あれ? ユキさん? おーい……」

「……ユキちゃん? ユキちゃーん?」



 …………。



 

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永遠未完『魔物解説』……ネタバレ含む。

よろしければ『黒き金糸雀は空を仰ぐ』此方も如何?
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