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襲撃者と殺意

久しぶりの更新です。

大変お待たせいたしました。

 翌朝、早速俺達は南西への移動を始めた。俺はサクラがいるし、リザルドやゴブも含めて他の皆も足は速い。だから移動はすぐに済むと思っていた。

 なのに、まさかこんなことになるなんて。


「待て!! お前、久瀬 大地だな!!」


「おおっと。見つけたぜ、PK野郎」


「いたぞ!! 久瀬 大地だ!!」


 次から次へと俺達を狙うプレイヤーが現れ襲い掛かってきた。そのたびに足を止められたせいで1日経ってもほとんど移動できていない。


(いいかげんにうざったい。こっちから攻撃したほうが手っ取り早いんじゃないか?)


 いや、それは駄目だ。戦闘が増えると皆に負担がかかってしまう。出来るだけ無駄な戦闘は避けないと。

 しかし翌日、更に襲撃が増えた。新しい奴等だけじゃなく見覚えのある奴等もいる。

 そのせいか仲間達にも危ない場面が増えて、何度か襲撃者の攻撃を食らうようになった。このままだとララビィのように命を落としてしまうのも時間の問題かもしれない。


(あんな奴等に良いようにされる謂れはないんだ。全て殺してしまえ)


(甘沢さえ殺せばこの襲撃も治まるかもしれない。どうにかして甘沢を殺そう)


(町に夜襲をかけて俺達の強さを見せつけよう。そうすればビビッて俺達を襲う奴等も減るはずだ)


 だとゆうのに俺の頭には過激な考えばかりが浮かんでいた。それによって湧き上がる、言いようのないこのモヤモヤしたイラつきを俺は襲撃者に向けることにした。

 移動を一旦中止しあえて人をさがす。そうして待っているとも知らずに襲ってきた奴等を、動きを封じては滅多刺しにしていく。これだけ無残な死に方をすれば俺を恐れてもう襲ってこないはず。そうすればこのイラつきもなくなるかもしれない。

 

 それから3日が経った。最初はイラつきから始めた襲撃者狩りもだんだんと楽しくなってきたし、目論見通り襲撃者の数も減ってきて正に順調だった。

 戦い方も攻め主体のものから撹乱してタランの糸やミツバの毒での無力化に変わり、攻撃を受けることがなくなって安定していた。

 だけど、それは俺の思い違いだったみたいだ。

 この日の襲撃者狩りは今までにないくらい順調だった。一組倒すとそれを待っていたかのように新しい襲撃者が現れる。戦いの途中で怖気づいたのか逃げ出す奴まで現れた。

 そうして次か次へと襲撃者を狩るうちに俺達の前に20人を超える集団がいた。どうやら誘導されていたみたいだ。


「よう、PK野郎。復讐しに来てやったぜ」


 そういって笑ったのは西の門で俺を止めた男だった。よく見れば他の顔も何となく見覚えがある気がする。なるほど、減ってきていると思った襲撃者達は手を組んでいたわけか。

 しかし、西の門の時とは違って囲まれているわけではない。これなら逃げるのは簡単そうだ。


(ここで逃げたら、今まで積み上げてきた恐怖が台無しだぞ。大丈夫、俺達なら殺れるさ)


 そうだな。あんな奴等、逃げる必要はないか。


「復讐? どうせまたやられるだけだろ?」

「テメェ、これだけのプレイヤーを前に強がってんじゃねぇよ!!」


 俺と集団の先頭に立っていた男が共に跳びかかろうとする。


「あおーん」


 それをレイドッグの突然の遠吠えが止めた。と、同時に何者かに後ろから俺の服の襟首を掴まれ、そのまま後ろに引っ張りあげられた。少し円を描きながら放り投げられた先はサクラの背中だった。サクラが俺を掴んだのか?

 それを確認しようとするとサクラが高い嘶きを上げ駆け出す。俺は振り落とされないようにサクラの首にしがみついた。


「お、おい! 逃げるな」


 男の声に気をつけながら後ろを振り返ってみるとレイドッグの背に乗ったタランが糸を放出していた。あいつ等いつの間にあんな連携が出来るようになったんだ?


「くぁぁぁ」


 かと思えば上空でカーが少し先を飛んでいる。……もしかして先導しているのか?

 他にもリザルドが糸に火をつけ切り払おうとした襲撃者の妨害をしたり、糸をかわした襲撃者をいつの間にかサクラの背に乗っていたゴブがこれまたいつの間にか拾っていた石を投げることで、コウ、モリー、ミツバが飛べることを生かし相手の間近を高速で飛ぶことで足止めをしたりしている。

 こうして俺達は無事にその場を逃げ出すことが出来た。



 追っ手がいなくなるまで走った後、サクラが急停止した。サクラの全速力になれ油断していた俺はそのまま前方に投げ出され、冷たい水の中に落ちた。慌てて体を起こすと、俺が落とされたのは川だったみたいだ。多分、前に水浴びをした川だと思う。

 自分の周りの水が赤く染まって、背中のほうへと流れていく。これは、俺の身体にこびりついた血が溶け出しているのか。数日の襲撃者狩りの返り血か……こんなに汚れていたなんて。

 波が収まり川面に移ったのは、あまりにも鋭い自分の目。昔、人殺しのような目つきだなんていわれたことがあったけど、今の目つきだとような・・・なんてつけてもらえないな。


「わんっ」

「うわっ!! やめろって、レイドッグ。べちょべちょになったじゃないか」


 元気な声と共に跳びこんで来たレイドッグを受け止めると、レイドッグが俺の顔を舐めてきた。舐められたところだけ生暖かい。


「くぅ~ん、くぅ~ん」

「どうしたんだ急に……って、んぐっ!!」


 レイドッグの様子を窺おうとすると、我も続けとゴブとリザルドが川へダイブ、釣られて跳んでしまったタランが俺の顔にへばりついた。水柱が高く上がり、俺達の上に降り注ぐ。同じ日に大勢の襲撃者と対峙したとは思えないほど和やかだ。

 ……そういえば、なんであの時あんな勝ち目のない戦いに挑もうと思ったんだろう。途中までは逃げようとしていた気がするのに。


(頭に血が昇っただけだ。無事に移動できたんだし、もう気にすることでもない)


 イライラしてたからかな。なんにしろ今更気にしても仕方ないか。一応次からは冷静に判断できるように心掛けることにしよう。

 レイドッグ達三匹がじゃれついてくる、タランは未だに顔にべったりだ。頭上ではミツバとコウとモリーが飛びまわり、ちょっと離れた川岸では桜やカーが優雅に水浴びをしている。こうゆう景色も久しぶりだ。いろいろ大変だったし、しばらくは魔物を狩りながらゆっくりするのもいいかもしれない。

同シリーズ

【異世界のお節介な道化師】

【小さきマッドエンジニア】

もよろしくお願いします。

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