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第19話:姉妹 下

 なんと言いますか、白ヒゲ的な? そんなお話。

 フィロップ・ディック・アーシュラ・ルグレインから思いついた話だったんですけどねぇ~。


 追記:運営様よりR18指定を受けたため、修正いたしました。(2019年3月5日)


 元の小説は修正作業が終わり次第、『ノクターン』に掲載予定です。


 昔話をしよう。

 ほんの数年前の話だが、ある所にとても仲の良い姉妹がいた。

 そして両親は共に名の知れた科学者であった。


 当時、まだ戦時中において敵国同士の科学者というものだが。


 二人の科学者は周囲から反対どころか軍法会議にまでかけられたが、天才的頭脳の持ち主であったため、お互いに殺されることは無かった。


 だからこそ、軟禁状態から発明品を利用して国外逃亡することも出来た訳だが。


 そうして二人の科学者はお互いの祖国とは無縁の未開の地にて、自給自足の生活を送る。


 すぐに子宝にも恵まれ、生まれてきた双子は両親の愛情を受けてすくすくと成長する。


 そしてある日、両親が死に、二人だけで平和に暮らしていた姉妹だったが、姉の方は一人家を飛び出すこととなったのだ。


 それは遠い異国の地に、自分の惚れるべき愛しい存在が居る気がするという勘による行動なのだが、その勘に従った姉はそのまま家を出た。


 残された妹は酷く悲しみ、怒り、姉を憎んだ。


 さて、それではこの問題は一体誰が悪いのだろうか?



 ◆ ◆ ◆



 ドレバス・シティの歓楽エリアは広く、イングリッドの脚力を以てしても目的地までは30分ばかりかかる。


 単に人が多くて道が入り組んでいるというだけなら家屋の屋根を飛び渡っていけば済むが、

 浮浪者などの掘立小屋も多いため、屋根の上を走れば彼らの家の天井に穴を開けてしまう。


 そのため、時間はかかるが地に足を付けて行くしかないのだ。


「(まっ、悪いことばかりじゃないけどな)」


 別段、急ぎの用でもないため、イングリッドは周囲の店で買い食いをしたり絡んでくるナンパ野郎をぶっ飛ばしたり、気ままに進んで行く。


 この街でも有名人のイングリッドだが、酒に酔った連中は見境なく絡んでくるため口で言っても分からない。だから殴る。

 決して、イングリッドが暴力こそ一番スマートに問題を解決する方法と思っている短絡的な女性ではないことをご理解いただきたい。


 イングリッドが暴力を行使する理由は、悪漢を殴り倒すことで周囲の女の子たちの視線を集められるからだ!

 助けられた女の子というのはイングリッド自身の魅力だけでなく、つり橋効果がオマケとして付いてくる。素の魅力とつり橋効果をかけて100倍!


 そうしてキスマークを沢山つけたイングリッドは、時間はかかったが目的の場所へとたどり着いた。

 自身のファン達が作った店<イングリッド様へ愛を>を襲ってきた黒幕の屋敷に。



「邪魔するぜ~」

「邪魔するなら帰って~」


 中に入ったイングリッドの挨拶に、お約束を返してくる声。


 このような当たり前すぎるお約束を瞬時に返せるなど、これはこの黒幕が生まれながらのエンターテイナーであるという確固たる証拠!


 いくらイングリッドと言えど、これはそう易々と倒せるような敵ではない。


 気を引き締めてそのまま中を進み続けるイングリッド。

 はて、イングリッドにここまで緊張感を抱かせる相手など、一体どのような人物なのか?



「ふふふ……、来たな?」


 入ってすぐの廊下の突き当たり。そこには御簾みすで隠され、シルエットしか見えないが一連の騒動の黒幕がいた。

 座っているようだが、それでもイングリッドの腰までしかなさそうだ。どうやら背は低いのだろう。


「ふふふ……、来たぜ!」


 イングリッドも相手に倣って「ふふふ……」から始まる返し。

 これは「てめぇの土俵で相手をする覚悟があるが、それでもワタシに勝てるのか?」という意図の挑発であり、高度な知略が今この場で展開されている。


 おそらくこういった頭脳戦に不慣れな者がこの場に現れたなら、不敬を重ねて首チョンパのバーラバラになるだろう。

 イングリッドはそうした礼儀作法に置おいても頂点に立つ女なので問題はないが。



「ここに来たということは<イングリッド様へ愛を>への迷惑行為を咎めに来たってところじゃろ?」


「ああ、そうだ。

 ワタシに惚れた女の子たちが気分を害してるんでね。

 片をつけさせてもらおうかと思って来た」



 相手の素顔は見えないが、イングリッドの類稀なる触手ハーフ眼力は黒幕の情報を見抜く。

 背は低く声も鈴を転がしたように可愛らしい。だが、雰囲気から察するに、年はフィリーとそう変わらないだろう。


「ワシの年を初見で見抜くなど、大した百合力の持ち主じゃ。

 お主はワシを殺しに来たんかもしれんが、ワシは弱さに関しては大したものじゃけぇ一瞬で殺される自信があるぞ?」


「ワタシは女を殺しはしないさ。ただ愛するだけだ」


「愛するだけ……ふん!」


 どうやら黒幕は気分を害したようだが、イングリッドにそんな事は関係ない。


 ここからは事件のあらましを語る、推理小説で言うとまとめに入る部分なのだからスピードを上げていく。



「なぁ、黒幕。

 お前の本名はディクシー・アルグレイン。フィリーの妹。

 姉が故郷を捨ててまで惚れた相手がどんな奴か見にきた。

 そして複数の恋人とイチャコラするスケコマシだから腹が立って嫌がらせをしている。そんなとこか?」


「その通りじゃ」



 そう、フィリーの店に迷惑行為をしていた雇われの悪漢たちの黒幕はフィリーの実の妹であったのだ!


 流石はハルカトーゼの情報収集能力。イングリッドも最初に聞いた時は「フィリーの妹ってことは姉妹丼が楽しめそうだ♪」などと呑気に構えていたほどだ。


 御簾がぶち破られ、姿を現した少女はイングリッドの予想以上に可愛らしい少女であったことがますます彼女を高ぶらせるのだった。



「それでどうする?

 姉上はワシを殺すのじゃろ? お主を使って」


「フィリーはその覚悟があるみたいだけどさ。

 ワタシは姉妹の仲が悪いってのはどーにも好かねぇんだよ。

 だからちょっと曲解してワタシらしく解決してやろうとおもってよ♪」


「何をするつもりじゃ? ……んむッ!?」


 何時の間にやら触手状に伸ばした両腕で複雑にディクシーを抱きしめるイングリッド。


 肉裂け骨が折れるのではないかという圧力だが、決して潰さず折らず。

 しかし心が張り裂けそうなほどに心地よい鼓動の高鳴り。


 イングリッドは触手を縮め、顔を近づける。


「お前の姉は、遠く離れた土地からワタシの百合力を感知し、それだけを頼りにワタシを探してくれたんだ。

 確かにワタシは恋人を複数作るし、初対面でも可愛らしい女の子と出会えばすぐに頬にチュッとするエロエロな思考だ。

 だけどフィリーを愛しているのは紛れもない事実だ」


「ふ、ふん! ……じゃからと言ってワシから大好きな姉を奪ったのはお主じゃ!

 そればかりはどう言葉を取り繕うと変わらぬわ!!」


 イングリッドの触手に絞められながらも強情なディクシー。

 触手の表面には愛に溢れた液体がヌラヌラとあふれ出ているのだが、抵抗力が強いのだろう。効果はいま一つのようだ。



「ならば言おう!

 ワタシは百合であり、ハーレム願望があり、それでいて世界を滅茶苦茶にした触手王の父を探して殺そうとしている!

 だが、いまこの瞬間は、お前を愛したい!」


 ――トクン。

 ディクシーの小さな胸は躍った。


 ここまで熱い気持ちは、かつて姉と二人で暮らしていたとき以来だ。


「(姉上……)」


 姉と一緒に寝たこと。姉と一緒にお風呂に入ったこと。おねしょした布団を姉に干してもらったこと。

 ディクシーは走馬灯のように過去の思い出を浮かべるが、そのどれもが姉との記憶。


 姉や、その恋人であるイングリッドへの怒りと憎しみは、今や反転して愛情へと傾いている。


 イングリッドはその事を見逃さず、再度言葉を続ける。



「お前もワタシの恋人になれ」



 この一言は、頑なだったディクシーの心を結果いさせるのに十分すぎる破壊力であった。


 破壊と表現したが、これは新たな感情の芽生えでもある。


 すなわち、「愛」だ。


「(いいのかのぉ……、姉上やそのイングリッドにも迷惑をかけたワシが幸せになっても……)」


 迷い。自分は悪であるという考えが甘い誘惑を否定する。


 こんな上手い話があるはずがない。自分を捨てた姉が許せないから嫌われてでも姉の心に留まりたい。

 その一心で迷惑行為に励んでいたディクシー。


「お前が何を考えているかなんてワタシには丸分かりだ。

 それでも愛するから愛してほしいんだ!」


「アッハイ……」


 思わず、だが本音が漏れた。


 そこからの事は覚えていない。

 しかしイングリッドの触手拘束が激しさを増し、彼女の女の部分に激しすぎる快感を与えていった。


 そうしてイングリッドに連れられて<イングリッド様へ愛を>に向かったディクシーは姉と和解し、

 三人揃ってベッドに飛び込んだそうな。



「来いよフィリー、ディクシー。

 服なんか脱いで掛かって来な♪」



 イングリッドの挑発的な愛の囁きに、ディクシーはそこから先の記憶も失ったそうだ。


 ところどころ覚えている事と言えば、イングリッドの唇が頬に触れた瞬間に燃え上がるような高揚感を覚えたこと、触手状に延びたイングリッドの手で包まれた温もりに姉を思い出したこと。


 頭ではなく、体で愛される喜びを一生消えないほどに染み込まされたディクシーは、姉と共にこの奇妙で強い愛に溢れるイングリッドに一生添い遂げようと心に決めるのだった。


 翌朝、ベッドの乱れと頬に就いたキスマークが、姉を恨んでいた時よりも心地よく感じたのだから、許しあって仲良くすればこの気持ちがずっと味わえるのだろう。


 そのことを当たり前に考えられる自分のことも、ディクシー自身、初めて好きになることが出来た。


 昨日の後書きにも投稿後に追記しましたが、「ノクターン」にこの作品の小話(R18)の短編を投稿しました。

 こっちはテーマが『あんまりエロくない触手作品』としているので、とにかく直球のエロ作品に仕上がっております。


 百合で、R18で、触手なジャンルに抵抗がなければ読んでいただければ幸いです。

 タイトルは「愛しき人」。マイページにも書いていますが、『ノクターン』での私のペンネームは「ヨイヤサ・リングマスター・X」です。



 追記:そして今作までもR18指定を受けたために描写を以前にもましてさらにボカしまくっております。(2019年3月5日)

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