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巴と翔  作者: 千夜
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巴の学生真面目論その他

「私ねぇ、頭良かったのよ」

「は」

「小学校の頃校区悪くてすごいあほな子ばっかりだったんだけど…そういう子と私の授業料って一緒じゃない」

「お前めちゃくちゃ言うな。」

「事実だもん。それである日思ったのよ、一回で理解できてる私と何回も質問してるやつと比べたら私の方が圧倒的に先生の拘束時間短いじゃない。それなのに同じ授業料払って私損してるって」

「それは…しょうがないんじゃねえのか。普通そういうもんだろう」

「私普通になる気ないのよ。だから理科の実験のとき理科室にあったカバーガラス10枚ぐらい割ってやったわ」

「…」

「ガラスとは思えない割れ心地なのよ」

「俺は割ったことないから知らん」

「一枚ぐらい割ったことないの」

「ねえよ」

「やってみたらよかったのよ」

「俺は真面目だったんだよ」

「真面目って自慢されても…」

「自慢はしてない」

「でも俺はお前と違って真面目だった、っていうことでしょ。わざわざ差別化するってことは少なくとも真面目じゃないことに何らかの嫌悪感を抱いて自分はそれとは違うって言いたいってことでしょ」

「そこまで考えて喋ってねえよ」

「それはわかってるわよ!でも言ってみればそういうことでしょ」

「…まあそうかな」

「真面目なのがそんなに良いのかっていう疑問はずっとあるのよねー」

「…」

「なんていうか世間的に良いとされてるものというか、遊び心がないというか、やることやってりゃ別に真面目じゃなくてもいいじゃないの?」

「俺はそんなに遊び心もないほど真面目じゃないぞ」

「うーん、あんたは先生の前でならおとなしくはするわよね。無理に逆らったりしない」

「普通無理には逆らわねえだろ」

「そうそう!そう、普通なのよ。めちゃくちゃ日本人らしいというか」

「日本人だからな」

「でも授業中ちゃんとノート取っておとなしくて提出物出してテストで平均ぐらいとる子って真面目って言われるのよ」

「まぁ、真面目じゃないか」

「でも私は授業中は寝るし喋るし提出物なんか出したことないけど…テストはもっといいわよ」

「知ってるよ」

「で、こういうことあると真面目と言われる子たちは何故か私に反感持つのよ」

「うーん…持つ気持ちが全く分からないでもないんだが」

「でもこっちとしては持たれても困るし、あんたは私に反感なんか持ってないでしょ」

「あぁ、それは家でお前がちゃんと勉強してるの知ってるからだ」

「知ってなくても自分より何かがうまくできてるやつが自分よりサボってるわけはないことになんで気付かないのかが不思議」

「それは…アホなんだろ」

「勉強的じゃない意味でね」

「勉強的じゃない意味で」

「でも同じ時間勉強したからって同じように成績上がるわけじゃないと思うのよ」

「お前は勉強時間少ないもんな」

「少ないと思うわ。というか先生のいいなりになって膨大な量の宿題を片付け仕事でやっても意味ないのよ、自分が分かるまでやりゃいいのよ」

「そりゃそうなんだが…」

「なんであんたは意味なさそうな宿題までやるの」

「なんでって言われてもなぁ…やるかどうかはともかく普通やらなきゃならんと思うもんだろ、宿題は」

「普通、って要はなんとなくってことよね」

「あー…まぁ」

「またそこまで考えてないってやつね。真面目っていうのは先生の言うなりになることじゃなくて自分の習った範囲を本当に理解するために努めることだと思うんだけど」

「お前の言ってることは間違ってはないけどな」

「でも私みたいなのは真面目って言わないでしょう」

「言わねえ」

「だから本来の意味じゃなくて普段真面目っていうのは長いものには巻かれろというか、上に立つ人が管理しやすいようにこういうのがいいことだよ、って刷り込んだ結果な気がするのよね」

「納得できなくはないが…やっぱり普段そこまで考えてねえよ」

「私もこう考えててもあんた以外に喋ろうとは思わないけどね」

「へぇ、そうか」

「こんなん表に出して生きてたらしんどいわよ。敵作るばっかりで」

「確かに敵は作りそうだな」

「半出しぐらいよ。あんたみたいに全部隠しては生きてけないから」

「半出しって…」

「まぁ出せるのも若いうちだけだろうし」

「冷めてるな」

「冷静なの。あ」

「何」

「さっき同じ勉強したって一緒に成績あがるわけじゃないし、私は勉強時間少ないって言ったけど別に周りを馬鹿にしてるわけじゃないのよ」

「あぁ、そう。まぁお前は頭いいとは思うよ」

「だからってそんな良いわけでもないから天才でもなんでもないわ。勉強のコツを心得てるだけというか…」

「勉強のコツを心得られるのが頭いいんだよ」

「うーん…そうなってくるとやっぱり何らかの才能はあったのかなとも思うんだけど」

「だけど…何」

「人それぞれだと思うのよ」

「何が」

「私は勉強のコツを心得られる才能があったけど音楽とか料理とかは全然駄目。あんたは料理上手じゃない」

「やったらできるよ、あの程度なら」

「自分のことはみんなそういうのよ!やろうと思っても私はあの程度ができないのよ」

「うーん…そうかあ?」

「そりゃあめちゃくちゃ努力したらできるようになるかも知れないけど、あんたと同じ経験値であそこまで料理できないわ」

「ふーん…じゃあお前は俺と同じ経験値でも勉強なら俺よりいい成績出るってことか」

「そういうことよ」

「でもやっぱり成績いいと地位は高い気はするな」

「学校行ってると成績がいい奴がなんでもできるような気がしてくるのよ、学校は勉強するところ、っていうぐらいだから」

「あー、なるほどな」

「学生のうちはともかく社会に出たら勉強なんかできなくても一人前の仕事できる人いっぱいいるんじゃないかしら」

「だろうな」

「社会でたら他の何が色々できても学校の勉強と同じように金を稼げるやつが一番偉くなるんじゃないの」

「もうちょっと夢持てよ」

「社会のそういうもの全部諦めて受け入れるタイプのあんたに言われたくないわ」

「…これもやっぱりそこまで考えてねえな」

「まぁ…それもあんたの良いとこと繋がってるから直せとも思わないけど」

「良いとこと繋がってるか?あんまり考えないのは自分でも悪いところだと思わなくはないんだが」

「良いところと悪いところはセットだと思うんだけど。八犬伝に出てきた誰かも世の中のすべてには陰陽があって…みたいなこと言ってた気がするわ」

「八犬伝?」

「南総里見八犬伝」

「あぁ…日本史で習ったな」

「とにかくそこにそう書いてたから、あんたはそのままで良いと思うのよ」

「あぁ、そりゃあありがとう」

また次ぐらいに巴と翔の関係の説明も…できたらよいなと思います。

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