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目を覚ますと体がめっちゃ痛かった。
「……うわ、全身バキバキだ」
筋肉痛とかの痛みじゃなく全身が寝違えたように痛い。
原因はすぐにわかった。
「なんだよこのベッド、板の上に布敷いただけなのか」
寝ていたベッドがバカみたいに固かったので驚いた。
マットレスなんてこの世界に無いだろうけどこれは酷い。
だが、体の惨状とは裏腹に頭はスッキリしてた。
こんなベッドでも野宿より遥かに快適な睡眠が得られるのに感動さえ覚える。
頭が冴えてきたことで昨夜のことも段々と思い出してきた。
「そうだ、桜花が部屋を取ってくれて……それから」
重い話しで精神的に疲れて、久しぶりの満腹感、ここに蓄積した疲労も重なって用意して貰った部屋に入りベッドに腰掛けた途端に爆睡したんだ。
「全部夢でした。とはいかないんだな」
目覚めれば自分の部屋のベッド。全ては長い悪夢だったで片付けばどれだけ良かっただろう。
しかし、現実は非情にもここはいまだ異世界なんだと突きつけてくる。
「うん、まぁ森の中よりはだいぶマシになったか」
気持ちを切り替える。
頭にうっすら残る甘い微睡みは顔を叩いて追い払った。
「やれることをやるしかない……まずは生きるんだ」
昨日の野盗の件が思い出される。
野盗に襲われたあの時を、襲ってきた野盗その末路を。
「生き残って俺は元の世界に帰るんだ」