第5話 可愛いのがお好き
リュックを背負っていると、なんとなく身体がだるくなってきたので、そのことを2人に伝えるとリビングのクッションの上に連れて行かれた。
少しずつ魔力を持って行かれてるみたいで身体から卵に移動する何かを感じた。
これが魔力というものか。
もう少しゆっくりと魔力を取って欲しい、3歳児にはキツイと思っていると私の思いが通じたのか身体のだるさがなくなった。
だるさがなくなったとカリン婆には言ったが、もう少し休みなさいと言われ素直に従った。
休んでいる間に2人の事を観察していると、ドラクは大きな音をたてながら木で何かを作っているみたいだ。
楽しそうに鼻歌をうたってる。
トンカントンカンさせていたが段々と出来てくる。
どうやらベットを作っているようだが、大きさからいえば私のもののようだ。
カリン婆も何かを作っていた。
私の足の辺りをじっと見たかと思うと、何かの皮を取り出しナイフでカットしたかと思うと、針と糸の手仕事でまるでミシンをかけているように、出来上がっていく。
どうやらこれも私のもののようで、皮の靴だった。
小さなサイズで左右揃って可愛くリボンも付けていた。
ビックリまなこで見ていると、カリン婆が気付いて言ってきた。
「桃子にもいつか作り方を教えてあげるよ。女の子の物を作るのも楽しいねぇ、リボンもフリルも付けられるからねぇ。息子も孫も男ばっかりでちっとも楽しい物作りが出来なかったし、今いる一番小さな孫でも5歳でリボンは嫌だって泣いて怒るのよ。ちょっとぐらいお婆ちゃんを喜ばせてくれてもいいじゃない」
(いや、それは嫌がるでしょ)苦笑いしながら聞いていた。
他にも服やバック等、可愛いデザインの物ばかりいくつも作っていた。
見ているといつの間にか眠くなって、眠ってしまったようだ。
気がつくとドラク爺が作っていたベットに寝かされていた。
ベットには何かの毛皮が敷いてあり、とても柔らかく肌触りがよかった。
ベットの柱に綺麗な花の彫刻がされた、素晴らしい逸品に見える。
ベットの横には可愛いチェストもあり、その上に可愛いバックと靴が置いてある。
夫婦して可愛いもの好きのようだ。
背中に背負っていたリュックは前向きに抱っこさせるようにセットさせれていた。
リュックを背中に移動させ、ベットを降りようとしたところで、ドラク爺が現れた。
「どうじゃ、ベットの寝心地は良かったじゃろ?柱も可愛くしてくれとカリン婆に頼まれての、いい出来じゃと思わんか?」
「とっても可愛くて綺麗でしゅ、凄いでしゅ。」
「そうじゃろ、そうじゃろ」
嬉しそうにウンウンうなずいていた。
「チェストの中にはカリン婆が作った服が入れてあるから気にいったのを着ればいいぞ」
「ありがとう、嬉しいでしゅ」
ベットの下に置いてあった小さなリボン付きサンダルを履いて、ドラク爺にてを引かれリビングに行きそこにいたカリン婆にもお礼を言っておいた。
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