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6話

「少し休むか?疲れただろう?それとも何か食べるものを持ってこさせようか?腹が減っているんじゃないか?それか・・・風呂はどうだ?!手伝いのメイドを呼ぼうか?それか・・・う~ん・・・と」

城のもといた部屋に戻れば落ち込んでいる私を励ましたいのか、必死にあれこれ提案してくれている。おかしな話だ。巫女姫なんて崇められても、支配下に置かれ管理された自分の生活は奴隷かそれ以下のようだったというのに魔界に来て初めて普通に心配されて労わられていると感じるなんて。


「ん?今少し笑ったのか?何か気に入ることがあったのか?」

今笑ったのは飼い主を心配する献身的なわんこのような周りをちょこちょこと動き回っているのとあなたの言動に和んだからよと思ったが、もちろんそんなことは言えないので、とりあえずお言葉に甘えてみることにする。自分でも精神がじりじりと疲弊しているのを感じるし。




『少し休んでもいいですか?』

「もちろんだ!すぐ寝るか?それとも」

『横になりたいです』

「わかった!衣類は適当にそこのクローゼットに入れてある。寝巻も入っていると思うがメイドを呼ぼう!」



え?自分でそれくらいできると思ったが紙に書く前に彼がベッド脇のサイドテーブルに置かれた小さなベルを鳴らした。とほぼ同時のタイミングだっただろうか。



コンコンッ


「失礼いたします。お呼びでしょうか?」

突然部屋の前に気配が出現したことにびっくりだ。これも転移というやつだろうか。

「あぁ、ルクレシアが少し休む」

「わかりました。ルクレシア様、お世話をさせていただきます。イレーナと申します。すぐに入浴の準備を整えますわ」

「ルクレシアはすぐに寝たいと言っているんだ。だから・・・」

「あら?陛下。まだいらっしゃいましたの?」

「うぐっ」

「ルクレシア様はお疲れなのですね。ではこちらに着替えてお楽になさってください」

さっさとクローゼットから目的の寝巻を取り出すと、見えるように軽く広げてくれる。柔らかそうな締め付けのないゆったりとした寝巻だった。


そんなものにわざわざ着替えて寝たことなどないのだけど、別にこのままでも・・・と思ったが優しげな笑顔でお手伝いしますといってくれるメイドさんの様子にとてもNOとは言えなかった。



「陛下?」

「わかっている!そんなに急かさないでくれっ!」

声から逃げるように大慌てで魔王は部屋から出て行った。魔王とメイドの力関係おかしくないかな?

「さぁリボンを緩めますわ」

でも私には優しげな笑顔で親切に接してくれるイレーナさんにとてもそんなことは言えなかった。



「ではわたくしは念のため扉の前に控えさせていただきます。何か御用があればすぐにベルでお呼びください」

声では答えられないので、感謝の意を示すべくできるだけ優しそうな笑顔を浮かべてからコクリとうなずく。そっと手を伸ばし彼女の手を握ると不思議そうに少し小首をかしげる。


「(あ・り・が・と・う)」

声にはもちろんならないのだけど、ゆっくりとわかりやすい様に口をはっきり動かすときちんと読み取ってくれたイリーナはすぐに嬉しそうな笑顔を浮かべてくれた。

「とんでもありません。声が出ないことは承知しておりますからご無理はなさらないでくださいね。ゆっくりお休みくださいませ」

またしっかりうなずく。


静かに退室の挨拶をして、控えてくれるという扉を開けたところで予想外の大声が上がった。


「まぁ?!陛下、婦女子の部屋の前で気配をひそめているなんて!なんて破廉恥な!眠りについたルクレシア様に不埒なことでもされるおつもりでしたの?」

「な?!ち、違う!万が一にもないとは思うが誰かがルクレシアに危害を与えようと来るかもしれないだろう?だから私は、ここに・・・」

「だからルクレシア様に無許可で気配を殺して潜んでいたと」

「いや、その・・・」

「わたくしがついていますから指一本触れさせることなど万が一にもありません。さっさと自室にでもお戻りになってはいかがです?私の強さは陛下もよくご存じでしょう」

「いや・・・でも・・・」

「陛下?」

「はい!も、戻ります!」


最後の言葉が涙交じりに聞こえたのは気のせいだと思いたい。


「お騒がせいたしました。ここは私がきっちりとお守りいたしますから、安心してゆっくりとお休みください」

もう一度丁寧に頭を下げるとゆっくりと扉が閉まった。

力を抑えているのか魔力の気配をあまりはっきりととらえることのできない、優しげでドレスを着ればどう見ても完璧な貴婦人ができあがりそうな優雅な雰囲気を持つイリーナさんはいったいどれほどお強いんでしょうか?



もちろん聞きたいけどそんな恐ろしいことを聞く度胸はない。


完全に習慣となっているベッドにつくなりお休み1秒を発揮し疑問は落ちていく意識に溶けた。





1日お休み&短くてすみません!キリのいいところで切るとここでした(>△<;)明日はもう少し長く上げます。ブックマークありがとうございます。評価や感想をいただけると励みになります!お待ちしてますw

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