5章 ー07
「白拓!」
透子は逆に白拓に詰め寄った。
「耳元で叫ぶな。うるせぇ。九尾の瘴気を吸い過ぎたんだろ」
肺がいかれてやがると、もう一度咳をした後、口元の血を腕で拭った。
「私、効くか分かりませんが薬草を取ってきます」
麗華が方向を変えると、
「人の足では遅いでしょう」
と、朱奈は大きな猫になり麗華を背に乗せ、駆け出した。
その様子を目で追っていた透子に、白拓がおいと呼び掛けた。
「俺が万が一、死んだら結界が消える。そうなったらあいつらの村で暮らすと良い。快や濁には好きにしろと言っておけ」
ヒューヒューと白拓の喉が鳴る。
「そんな……私は白拓に助けてもらったのに……私じゃ白拓を助けられないの?」
チラッと白拓は顔を上げたが、また咳き込む。
はぁと息を吐くと地面に寝転んだ。
透子は無造作に土の上に寝転んだ白拓の頭を自分の膝の上に乗せる。
白拓は気だるそうに傷だらけの腕で目を覆った。
「あと、契約も無しな。好きに生きろよ」
(好きに……)
そう言われてもちっとも嬉しくはなかった。
むしろもう一度契約しても良いから、いつもの調子の白拓に戻って欲しいくらいであった。
「下手に俺の加護が残ると良くねぇかな。はぁ、面倒くせぇ……」
血の拭った跡の残る口元で気だるそうに白拓が呟く。
(加護……)
「ねぇ、白拓。加護を返したら少しは妖力戻る?」




