4章 ー07
(そうだわ。妖かし同士の話だものね)
透子はちょっと気を取り直した。
「夢みたって良いじゃん!おにいのケチ!」
快は濁に口を尖らせる。
「それに加護を貰ったって事は白拓様と口づけしたんでしょ?」
無垢な顔をした快がくるりと透子に顔を向けた。
「え……」
気を取り直したのも束の間、もう一度透子は動きを止めた。
「ほらぁ、やっぱり意味は同じだよぉ」
快は赤面している濁の袂を引っ張る。
漸く透子は先程から濁が頬を染めている理由が分かった。
二人ともどうやって加護を渡すのか知っているし、また、あれが普通のやり方なのだと透子は頭が痛くなるのだった。
まだ幼い快は二人の気も知らず
「僕の言った通りだよね?」
と、濁から同意を得たくて仕方ないようであった。
「種蒔きは終わったかいね?」
二人が固まっていると丁度、ナツが白拓が後から増築したと思われる土間の扉を開け、畑に顔を出した。
寒が戻って雪が降るかもしれないと深沓を作っていたナツのもんぺには藁が付いていた。
白拓の結界の中であるこの屋敷の周辺の雪は溶けているが、結界の外は雪深い。
ナツはその事を知らないが、昔からの習慣で寒さに備えようとしていた。
「僕の分も出来た?」
快がひょいと畝を飛び越え、ナツに駆けていった。
「あぁ、出来たよ。履くかい?」
活発で子供らしい快にナツは目を細め、体を今来た方へと向ける。
快は自然とナツと並んで歩き出した。
その横顔は笑顔であった。




