4章 ー05
「あの、透子さん、僕もう大丈夫ですから」
快が透子の着物から顔を上げた。
「なんだ快は泣かされていたのか」
「どうしてそうなるのよ」
キッと透子は白拓を睨む。
「じゃあなんだよ」
快の反対隣に白拓がしゃがみ、透子を見つめる。
「……慰めてるのよ」
別にやましい事をした訳でもないのに、責めるような白拓の目から透子は逃れるように視線を反らす。
「まぁ、別に良いが」
白拓は立ち上がり、着物の裾を払う。
「濁、俺は先に戻る」
ひらりと身を翻して白拓は屋敷へと戻って行った。
「なんだったのよ」
透子は見えなくなった白拓の背中に呟く。
「快、透子さんに甘えすぎない」
濁は快の隣にくると、未だに透子にくっついている弟を窘めた。
「うん……」
離れがたいが、快は仕方なしに透子から離れた。
「……あの透子さん、もしかして、白拓様から加護を頂きましたか?」
違うなら違うでーと、言葉を濁す濁の言葉に透子が答える前に快が「えぇ?!」と、驚きの声を上げた。
「加護ってあの加護?しかも白拓様の?」
快は目を丸くして透子に食い付く。
心なしか目が輝いている。
「そうらしいけど、結局加護って何なの?」
朱奈から守ってもらった事はあるが、あれ以来変わった事はない。
「加護は簡単に言えば、加護を与えた者が、その与えた側を、自分の妖力で守る事です」
透子は自分が思っていたような返答が快から返ってきて、ふ~んと頷く。
「そっかぁ、でも白拓様の加護を……あ!だから僕、怒られたの?」
快が濁を振り返り、澄んだ瞳で見つめる。
「他にも何か意味、あるんだ?」
快の反応を見て、透子も濁を見つめる。
「……普通、力の強い妖かしが、自分より弱い妖かしを伴侶とする時に与えるんです」
濁は頬を染め、透子から目を反らして答えた。




