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終淵

どうも!スキーです!とりあえず最終回です!今まで追ってきてくださりありがとうございます!

第一幕【終わりと終わりの先】


「お前は誰だ」

俺の前には白い髪をした男。その男はどこか見覚えのあるような奴だった。

「お前…顔は似るものだな…零矢の父親か」

その男は目を見開いてすぐに俺達を睨みなおす。

「あぁ…あぁそうだ!俺はカノム・ハリエース。零矢の父親。そして、七央の叔父だ」

「会ったことも無いのに、叔父を名乗るなどおかしな奴だな」

俺はカノムを見下げる。

「父親のほうが天界人だったか…。ということは夢星の姓は婿入りのお陰か?」

エルダがカノムに聞く。

「あぁそうだ。俺は天界人だ。というか…俺になんの用だ?今更…零矢と話すつもりなんて無いぞ…」

「別に聞きたいことがあるわけでもない。零矢に親の存在を聞かせるだけだ。お前が存在しているのなら、もうそれでいい。お前に用はないぞ」

「お前は…俺と戦う運命だ」

カノムが俺に言う。

「ほう…今の俺に勝てる奴は誰一人として居ないと思うが…」

「戦う…というよりも、ヴィクトニケ・アレクレル。お前には今から様々な世界を観てもらいたいと思っている。その中でとあるものを観てもらう」

カノムは何かを伝えたそうに俺を見る。

「今更か。俺は世界なんて無限以上の数、見てきた…今更見る世界なんて無いぞ」

「違う。お前には、深淵世界の最終極地である。終淵世界へと到達させる」

「なんだそりゃ?」

アベルは難しい顔をする。

「終淵世界は…事実を書き写さない場所…。つまり、深淵世界の性質である、真実と偽り…全てを内包と全てを映す力の唯一の対象外というわけだ。つまり、全ての世界に存在し得ない。無を越えた…記録を失ったものと言ったところか…。そして、終淵世界を終わらせたその先である。開淵世界。マルチバースとはまた意味も概念も違う、新しい世界を創る力だ」

「新たな世界っていうのはどういうこと?」

七央はカノムに聞く。

「それを語るにはまずはこれを語っておかんといけんな…終わりというものは。その先を創ることも観ることも出来ない。終わったものは新しい世界に入り込むことは出来ない」

「それは変な話だな。それじゃあ転生や、創り直す力と言ったものはどうなる?」

エルダが問いただす。

「それはあくまで別の形として変わっただけに過ぎない。転生も、新しく姿を変えたから、新たな世界を観て、入り込むことが出来る。創り直す力というのも、元あったものを再構築しているだけにすぎない。真に新しい世界とは言えない。そしてその力を利用し、深淵世界を終わらせてほしい」

「深淵世界を終わらせることが出来る…か。だがそれをしてしまえば、内包する外殻が無くなり、鏡淵世界で写すものが無くなり、全てが終わってしまうんじゃ?」

エルダが言う。

「それもそうだ。だが、深淵世界という概念を、ヴィクトニケ・アレクレル。お前に役割を持たせる」

「俺にか?」

「そう。そうすれば、深淵世界の無くなったあとでも、全てが終わることはない」

「なるほど…その話承った」

俺はニヤリと笑う。

「それでは、開くぞ」

「あぁ、エルダ達はそこに居ててくれ。ちゃちゃっと終わらせる」

「あぁ、頑張れよ」

「もちろんだ」


第二幕【終淵世界】


カノムが静かに手を掲げる。

深淵世界の空間が裂けるように歪み、黒でも白でもない空間が現れる。

そこには――

何も無い。

光も闇も、概念すら存在しない。

「ここが…終淵世界だ」

七央が周囲を見回す。

「何も感じない…怖いとか…そういう感情すら…」

エルダも眉をひそめる。

「魔力も、因果も…何も無いな」

俺は静かに空間を見つめる。

「なるほど…」

珍しく、少し考えるような表情になる。

「俺でも…ここは把握出来ない」

カノムが頷く。

「ここはな、深淵世界が記録できない唯一の場所だ」

「つまり――」

「深淵世界の外側というわけか」

カノムはさらに続ける。

「深淵世界は、観測されることで存在している」

「真実も偽りも、全ては記録の中にある」

「だが終淵世界は違う」

「何も記録されない。終わったものだけが辿り着く場所だ」

七央が小さく呟く。

「終わった…世界…」

カノムは俺を見据える。

「だからお前に頼む」

「深淵世界を…終わらせてくれ」


第三幕【深淵の終わり】


その瞬間。

深淵世界全体が揺れ始める。

空が歪み、空間がひび割れていく。

深淵世界そのものが

俺を拒絶する。

巨大な声が響く。

『我ハ深淵』

『全テノ真実ト偽リヲ映ス世界』

『観測サレル限リ、我ハ終ワラナイ』

俺の体が震える。

「これが…深淵世界…!」

世界中の

時間

因果

記録

すべてが暴走する。

だが俺は静かに笑う。

「ふむ…」

「なるほど」

「つまりお前は…」

「観測されることをやめられない世界か」

深淵の声が響く。

『我ハ物語』

『終ワリハ存在シナイ』

俺は肩をすくめる。

「それは困るな」

「俺は終わりも好きなんだ」


第四幕【最後の力】


俺は深淵世界の一歩前へ出る。

能力でも

技でもない。

ただ静かに言う。

「深淵よ」

「お前は面白い世界だった」

「だが」

「もう十分だ」

俺は手を掲げる。

「終われ」

その瞬間。

深淵世界の全てが静止する。

時間も

因果も

物語も

止まる。

深淵の声が最後に響く。

『観測ガ…終ワル…』

世界が

静かに崩壊する。

光が消え

空間が消え

深淵世界は完全に消滅した。

残ったのは――

静かな宇宙だけだった。


第五幕【深淵の無い世界】


深淵世界が消えた後。

そこに残ったのは、静かな空間だった。

空はどこまでも澄んでいて、見たこともない星々が輝いている。

七央がぽつりと呟く。

「……終わった?」

アベルが腕を組みながら空を見上げる。

「どうやらな。深淵世界は完全に消えたみたいだ」

エルダはため息をつく。

「まったく…とんでもないことをしてくれたな」

クリスが笑う。

「でも、これで争いは終わりだね」

その時だった。

遠くから聞き慣れた声が響く。

「おーい!!」

七央が振り向く。

「この声って…」

瓦礫の向こうから走ってきたのは――

野郎だった。

「お前ら無事か!!」

その後ろからアスガが腕を組んで歩いてくる。

「まさか世界ごと消すとはな…」

結弦は苦笑する。

「さすがヴィクトニケって感じだね」

無羽飛は辺りを見回しながら言う。

「でもよぉ、ここどこなんだ?」

そして最後に

零矢がゆっくり歩いてくる。

「……終わったんだな」

七央が笑う。

「うん。全部終わったよ」

ヴィクトニケはその様子を少し離れた場所で見ていた。

騒がしい声が響く。

「おい野郎!勝手に走るなよ!」

「うるせぇ!心配だったんだよ!」

「それより腹減った!」

「結弦それさっきも言ってたぞ」

「いやほんとに減ったんだって!」

無羽飛が笑う。

「世界が終わったのにいつも通りだな!」

アスガが肩をすくめる。

「まぁ、こいつららしい」

その様子を見てヴィクトニケは小さく笑う。

「ふはは…」

七央が近づく。

「何笑ってるの?」

俺は空を見上げる。

そこには

今まで存在しなかった無数の星が広がっていた。

「新しい世界だ」

俺は静かに言う。

「深淵の無い世界…か」

エルダが聞く。

「お前でも知らないのか?」

俺は笑う。

「当然だ」

「俺も初めて見る」

少し沈黙が流れる。

そして俺は仲間達の方を見る。

「さて」

「次は何をする?」

野郎が笑う。

「決まってんだろ!」

無羽飛が拳を握る。

「新しい世界なら!」

結弦が言う。

「冒険だろ!」

零矢が静かに頷く。

「……あぁ」

七央も笑う。

「うん、きっと楽しいよ」

ヴィクトニケは満足そうに笑う。

「ふはは」

「なら決まりだ」

俺は歩く。

その背中を

仲間達が追いかける。

まだ誰も知らない

新しい世界へ。

スキーです!

改めて、ご愛読いただき、ありがとうございます!

とりあえずはここで最終回かなと言った感じです。続編は一応あるかもですが、正直、ヴィクトニケをチートにし過ぎて、他のチート系の奴よりも『もう全部コイツでいいじゃん』の感じになってしまいそうなので、続編を作るのは少し難しいかなってのと、続編を作るにしても、ヴィクトニケ主人公とかは無いかもしれませんね…。これからもスキーの作品を楽しみにしててください!

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