深き階層
どうも!スキーです!
今回も読んでいただきありがとうございます!
第一幕【深淵の扉】
白き光が俺の視界を奪い、すぐに幻想的な楽園が目の前に浮かんでくる。
「天界到着だな」
俺は下界と天界の門を閉じる。
「ヴィクトニケ、アベルも連れて行きたいのだが」
エルダが辺りを見渡しながら言う。
「もしかしたらバベルが元々居た宮殿に居るかもしれん」
俺は宮殿内にあるオーラを神眼で覗こうとする。
「忘れていた…今はアレスの体で神眼は使えぬのだった」
「そろそろ治ってるか…」
俺は元々の体を自分の魂や根源と再接続する。
「やはり、これが一番しっくりくるな」
自分の体から出ているオーラも以前よりも遥かに上がっている。実はオーラや力を抑えるのが一番大変なのだ。
「おっようやっと元々のヴィクトニケに戻ったね!」
七央が俺に喋りかける。
「あぁ…これでも深淵世界へ適応出来るかは分からんがな…」
深淵世界――どれだけの絶望を持っているのか。
俺は今度こそ神眼で宮殿内を覗き込む。
その中には何人かのオーラが浮かんでいたが明らかに一つだけ格の違うオーラがあった。
「見つけた。行くぞ」
俺達は宮殿内のアベルの前にワープする。
「よぉ」
アベルは俺達に目線を向ける。
「あれ、ヴィクトニケじゃん?それに…」
「俺はエルダだ。前は突然来て悪かったな」
エルダがアベルに自己紹介をする。
「この人がアベルさんなんだね…?」
七央が俺の後ろからアベルをじっと見る。
それをアベルも七央をじっと見返す。
「ただの下界人かと思ったら…お前、JOKERの臭いがするな…?超越存在でもあるようだし…何者だ?」
アベルは少し警戒しつつも七央を見ているようだ。
「この子は訳あってJOKERに身体を奪われ…たまたまその力が自分の身体に残った…残虐性は無いから安心していい」
横からクリスが説明する。
「夢星七央です。よろしくお願いします…」
七央はアベルに向けて自己紹介する。
「アハハ!JOKERじゃないならいーや!俺はアベル。軽く行こーぜ」
アベルは七央に軽く自己紹介をする。
「んーそれで?なんで俺の所に来たんだい?もしかして、深淵世界に行こうって言うんじゃないだろな」
アベルは俺達に鋭い視線を向ける。
「あぁ、行くつもりだ。バベルの深淵世界での目的…それを探るために来た」
俺は目的を語る。
「バベルはもう死んだ。深く探らず、深淵世界には関わらずに放っておくべきだ。大体、行って何をするって言うんだ…?」
アベルは呆れた風に言う。
「なに、深淵世界へ旅をしに行くだけだ」
俺はアベルにそう言う。
「は…?」
アベルはポカンとした顔を浮かべる。
「昔の真似事だ。天界を旅したのなら、次は深淵世界だ」
エルダもアベルにそう言う。
「私も旅に着いていくために来た。どれだけ危険か分かっててもまた手に取りたい思い出がある」
クリスもアベルに行く旨を伝える。
「私は…強いからって理由で連れてこられただけなんだけど…でも、ヴィクトニケの役に立てるならどこへでも着いていく!楽しそうだしね」
七央もアベルに言う。
「と、言うわけだ。アベルも着いてきてくれないか?」
俺はアベルの前に手を差し出す。
「はっ…命知らずな覚悟…嫌いじゃないね」
アベルは俺の手を握る。
「是非、楽しい深淵旅行へ連れて行ってくれ」
アベルも深淵世界へ行くことを決意する。
「よし、では行くとするぞ!」
俺とアベルとエルダで神眼能力を使う。
「クリス、七央。俺の手に掴まれ」
「うん…」
七央とクリスが俺の手に掴まる。
「天界の限界を越えた…深淵の世界へ!」
無限の加速で俺達は天界を駆け抜ける。これだけなら天界の限界を越えることは到底出来ないが。
「「「無限法!!神限!」」」
俺とエルダとアベルがそう叫び無限に加速しながら天界へと進み続ける。天界の無限の広さの壁に適応し、越え続ける。するとやがて天界とは思えない一面が黒いところへと辿り着いた。
「ん…?なんだ…?これが深淵世界…?」
ぱっと見た感じは黒い模様が前に立てられてるだけの場所だ。天界の景色もあるにはあるが、バグが発生したように黒い模様が所々にある。
「無理やり天界を越えたわけだからな。機械のように想定外のことが起こると天界の新たな景色が読み込まれなくなってやがて読み込みが停止するんだ…」
エルダがそう言う。
「じゃ、早速入るか?」
アベルが聞いてきた。
「もちろんだ」
俺達は黒い板に触れる。その瞬間、存在や意識、その他のこと全てが置き去りにされた感覚で深淵世界へと送り込まれた――
第二幕【断絶すべきもの】
目を開ければ、黒き、天界が反転したような世界が目の前に広がっている。
あらゆる秩序も、概念も、因果律も、なにもかもが本質として認められず、介入出来ない世界。
「皆、無事か?」
俺は他の皆へ安否を確認する。
「だ…大丈夫だけど…」
七央が辺りを見回す。
「異質だな…黒い天界…か」
エルダも周りを見る。
「場所としての本質ではないんですよ。この形も」
ここに居る誰でもない声が響く。
「誰だ?」
俺達は声のした方へと向く。
「失礼、私は深淵世界の案内人…シードです」
執事のような服装を纏っているその者は白い髪に赤紫の目と異様な雰囲気を放つ男だ。片手に本を持っている。
「案内人…?いつからここに居る者なんだ」
シードは本を読みながら答える。
「いつから…そうですね。産まれた時からですかね…」
シードは淡々と語る。
「産まれた時から?」
クリスが聞き返す。
「はい、私は深淵世界の王から産まされた存在なのです。故に、私は産まれた時からここに居ます。だからこそ、知らないことはあまり無いですよ」
シードは少し浮いたかと思えば体の向きが変わり、空を歩き始める。
「ようこそ、深淵世界へ…ここはあらゆる法則も秩序も、なにもかもが意味をなさない深淵の場です…最も、深淵世界の王ですら、本質に近付けないような世界なのです…」
そう言いながらシードは鎌を手から産み出す。その鎌からは圧倒的な"恐怖"が産み出されていた。
俺ですら冷や汗をかいていた。
「なん…だ…これは…?」
俺は恐怖という感情に驚く。いや、感情じゃない。根源から身に沁みて渡る――既視感。
前にもこの感覚を味わっていたような、そんな恐怖感にかられる。
「これが…"深淵"です。深淵とは、全ての概念や存在、意味、本質や性質、次元や階層、無限を産み出し続ける存在です。そこには深淵から産まれる恐怖が関係しており、私達は深淵から産まれた恐怖の産物なのです。深淵世界に適応出来ない者は自らが産まれた恐怖に戦慄し、戦うことすら出来なくなります」
シードは本を服の中にしまい、鎌を構える。
「さぁ、ここは深淵世界のまだ入り口…能力は使えますよ。私に実力を見せてください。そうすれば、深淵能力も認めてくれるはずです」
シードは一気に距離を詰めてくる。
防げない速度ではないが、恐怖の力に俺の反応は鈍る。
「……!」
――ガキィン!!
鎌と剣が衝突する音がその場に響く。
「《恐怖断絶》…」
七央がJOKER化し、シードの鎌を《ラグナロク・ビヨンド》で防ぐ。
「恐怖から産まれた存在なら…恐怖を切ればいい!」
相変わらずJOKERの適応能力は俺でも目を疑うくらい高い。
「すまない七央…俺がやる」
俺もアベルもエルダもクリスも既に恐怖に適応し、反撃する準備は万端だった。
「待って!ここは私にやらせて…私の成長を見せる!」
そう言い七央はシードを剣で吹き飛ばす。
シードはふわっと浮いて着地する。
「なるほど…能力ありだとこんなもんですね…」
その瞬間、シードの瞳からは涙がこぼれ落ちる。
「こんなに強い人達とは初めて会いました…!本当に…感動です…。今までも深淵世界にやって来た者達は何人か居ます…ですが、その殆どが私に殺られる始末…さぁ…もっと…その力を見せて…私に殺されなさい!!」
シードは再び鎌を持って七央に急接近する。
「七央ちゃん!シードの能力を見抜いて!」
クリスが七央にアドバイスする。
「さっきやった!でも…何も見えない…」
どうやらJOKERの能力でも深淵の力を見抜くことは出来ないようだった。
「なら冥土の土産に私の能力を一つ教えて差し上げます…私の深淵能力は恐怖の濃度を無限に高めるというもの…恐怖の力が強くなればなるほど、耐性の無い者は元々の恐怖へと回帰します。七央さん。貴方を恐怖へと戻してあげましょう」
シードの鎌から溢れる恐怖はさらに力を強める。
「私自身が深淵から産まれた者なので、深淵の濃度を高めれば身体能力も上がります…!」
七央の剣は後ろへと押されていく。
「うぐぅ…私は…夢星七央!恐怖から産まれたとしても、夢星七央は…夢星七央なの!!」
七央はそう叫んで《ラグナロク・ビヨンド》で鎌を押し返し、シードの首に斬りつける。
「なんと…!恐怖を乗り越えるとは…!いや、恐怖を…逆に受け入れ、それすらも自身の存在証明の一部にしてしまう…!」
「《恐怖断絶》!!」
七央は叫んで《ラグナロク・ビヨンド》で完全にシードの首を切り飛ばす。血すらも飛ばずにゴロゴロとシードの頭だけが転がった。
「深淵能力はあなた達を受け入れました…おめでとうございます。あなた達は深淵の一部です」
シードは頭だけで喋りつつ、体が首を回収して首をつけ直す。
「深淵…能力…」
新たな存在に俺達は身を固めた――
第三幕【深淵能力】
「結局、深淵能力ってなんなの?」
七央はシードに聞く。
「深淵能力は深淵から恐怖の力を一部借り、深淵世界に適応した状態で能力を使えるようになることです。あなた達の世界では能力の通用する強度があったはずですが…その強度や能力という概念を捨て去り、本質の無い力を行使するというものです。あなた達の世界でも使えるでしょう」
シードは続けて語る。
「そして、深淵能力は自分の元々持っていた能力どれか一つに与えることしか出来ません。要するに深淵能力は切り札みたいなものなのですが…七央さんのように断絶を扱う能力だけならそれが深淵化するだけで切り札を連続して使える強力な攻撃になるでしょう…逆に、ヴィクトニケ様のような無数の数の能力というのは単純に深淵化させるのに意味が薄いです…」
「深淵能力にする能力というのは自分が選べるのか?」
エルダがシードに聞く。
「えぇ、ご自身の能力を一つだけ、なんでもどうぞ…。それと…」
シードは再び語る。
「深淵世界の王になれば、全ての能力を深淵能力化させることができます…」
「ほう…深淵世界の王か…どうすればなれる?」
俺はシードに聞く。
「深淵世界の王を…倒すことです」
シードは本を再び開き読みながら答える。
「なるほど…単純だが、難しいことだな」
アベルが言う。
「えぇ、深淵世界の王に会ったことのある人は居ないですから…」
「そもそも会えない…?」
クリスが言う。
「いや…どこかには居るだろう」
エルダがクリスに言う。
「あ!良ければ…他の深淵能力を扱うものを召集し、ゲームをしてみませんでしょうか?」
シードが本を閉じ、提案する。
「ゲーム?」
「はい、1グループ5人で…深淵世界の王を先に倒したものを…深淵世界の王とする…グループ同士で妨害をするのもオーケーということで…」
「そもそも…グループを作るだけの人数が居るのか?それに、全員を呼べるのか?」
アベルがシードに言う。
「はい、私は深淵世界のナビゲーターですから…いつでも呼べますよ。それでは、早速呼ばせていただきます…」
シードは一呼吸置いて喋る。
『深淵世界の住民にお知らせです。これより、深淵世界の入り口から参加表明を開始し、深淵世界の王を倒せた者に深淵世界の王になる権利を与えるゲームを開始します。1グループ5人…皆様の参加を心待ちにしております」
そう言った瞬間、俺達の前に数十人の影が現れる。
「はや!」
七央が驚きの声をあげる。
「ふむ…新しい深淵世界への介入者か…それにしても、そのゲームは本当なのか…?」
黒フードの男がシードに聞く。
「えぇ、深淵世界へ歓迎された方々達です。喜ばしいことですね」
「戦うのは嫌なんだけどなぁ…平和的に王になろうよ?」
白髮の少年が言う。その少年は俺達に気付いて近付いてくる。
「こんにちは、僕は夢幻犬次郎です。よろしく」
「あぁ、よろしく。他の奴らことは知ってるのか?」
俺は犬次郎に聞く。
「うん、知ってるには知ってる…」
他の奴らのことを聞こうとするが、ルール説明が入る。
「ルール説明をします。これより、深淵世界王選手権を開始します。ルールは、この会場にいる20人をランダムで5チーム分けし、ゲームを開始します。深淵王になるためには手段は選ばない…他のチームの選手への妨害もありです。あっ仲間内で妨害があった場合は不正と見なし、即死しますのでそこだけは注意を…それでは、チームを発表します!」
かなり意外なやり方だった。七央達と敵になるのだけは避けたいところだが、ランダムな以上それは出来ないだろう…
「Aチーム!ヴィクトニケ様、犬次郎様、氏走様、フメイ様!」
シードは2つ目のチームを発表する。
「Bチーム!七央様、レア様、メフィスト様、面白郎様!」
シードは3つ目のチームを発表する。
「Cチーム!アベル様、ブス様、コハク様、ガクレオン様!」
シードは4つ目のチームを発表する。
「Dチーム!クリス様、ライト様、緋理様、ミール様!」
シードは最後のチームを発表する。
「Eチーム!エルダ様、ハイド様、ドローク様、ナラティブ様! 以上、5つのチームでゲームを開始させていただきます!」
俺とアベルとエルダと七央とクリス。全員が目を合わせた。シードは狙ったのかと思うくらい俺達を完全に分けてきた。チームワークも試しているのだろうが、味方同士で打ち合うのが一番まずい。俺はテレパシーで七央達にメッセージを伝える。
『七央達、俺達が会った場合は、人目のつかない所へ移動し、勝負を終わらせた風に装え。それなら攻撃する必要がなくなる』
俺達は目で分かったと合図する。
「それでは、ゲームスタートです!」
シードの宣言は俺達を光の速度で深淵の最深部へと駆り出させた――
第四幕【ゾンビパニック】
――夜中のデルゲ・セントラル。
明るい街は光を消し、静寂だけが街を覆っていた。
そんな漆黒の夜に、青い霧がかかる。
学院の皆は、今…
「雰囲気あって怖いねー」
結弦がランタンを持って喋る。
「うおおお!!」
野郎が急に叫ぶ。
「きゃぁ!?なによ!?野郎!?」
アスガはビクッと飛び上がり野郎に言う。
「ナメクジ踏んじまったぁ…!」
野郎は靴の裏を地面に擦り付けて拭く。
「どうでもいいことで叫ばないでくれる…?」
アスガは無羽飛の後ろへと身を隠す。
「アスガ、怖がってるのか?ただの夜のお墓じゃないか。よく霊が出るとは言われてるが」
無羽飛はアスガをおちょくる。
「そんなことないわよ…」
そう、学園の仲間は肝試しへと来ていたのだ。少し季節外れだが、雰囲気は確かにあった。
「ヴィクトニケと七央が居たらまた雰囲気違うんだろーな」
野郎が喋る。
「アハハ、ヴィクトニケ居たら怖くなくっちゃうじゃん?」
結弦が笑いながら喋る。
「霊に能力は通じなさそうだしな…ヴィクトニケは絶対、霊や呪いを成仏させる能力があるらしいが…」
「もはや霊にですら何でもありなのね…」
すると、野郎は結弦の先頭を抜いて歩き始まる。
「野郎、ランタン持ってるの僕しか居ないから前ちゃんと見ないと転ぶよ?」
結弦は野郎を心配しつつ歩く。
「なはは!大丈夫だって!それより、前に人が居るぜ、もしかしたら他にも肝試しに来てる奴が居るかもしれねーぜ」
野郎は人影に近寄って喋りかける。
「なぁなぁ、霊ってほんとにいんのか?」
「ちょ…野郎ったら…ほんとに霊だったらどうするの…」
「影があるなら大丈夫だ…」
「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」
野郎の叫び声が墓場に響く。
「の…野郎…!?」
結弦が野郎に近付く。
「うぅ…あぁ」
野郎の肌はひどく変色し、目は赤色になっていた。
「ぞ…ゾンビ!?」
結弦は驚きでランタンを落とす。
「すまんな、野郎。少しの間閉じ込められておけ、《シャッター・ショット》!」
無羽飛は野郎を空間に貼り付ける。
「まっ…まさか…野郎が見た人ってのは…」
アスガがそう言うと既に周りには野郎と同じ状態の人…ゾンビが結弦達を囲っていた。
「これはマズイね…」
「殺すわけにもいかないわよね…」
結弦とアスガは構えるが攻撃する勇気がない。
「――《ゴッド・ボイス》!動きよ止まれ!」
そう誰かが言った瞬間、ゾンビ達の動きは止まる。
「やれやれ…お前たちはなにをしている…」
零矢が結弦達を助けたのだ。
「校長先生…!」
「早く逃げるぞ!とりあえず…校長室へだ!」
「はい! くっ…野郎…」
《ゴッド・ボイス》の能力で結弦達は校長室の地下へと飛ぶ。
「先生…あのゾンビ達は一体?」
無羽飛が零矢に聞く。
「あれは…"エデン"のせいだろう」
「エデン…って?誰かしら?」
アスガが零矢に聞く。
「天界の歴史書に載ってたんだ…エデンはな…天界の極悪犯罪者として天界の官房へと収監させられていた天界人と吸血鬼の半天半血鬼なんだ…。詳しい詳細は書かれては無かったが、全ての世界を統一するため、全ての者をゾンビに変え、独裁世界を作ろうとしていたと…天界人を何人かゾンビに変えたところで、捕まったのだが、JOKERとヴィクトニケの戦いで監獄が破壊され、他の受刑者達は回収出来たものの…エデンだけは捕まえられずに何処かへさまよってるようだ…」
「自由神やJOKER、バベルとは無関係なんですね?」
結弦が聞く。
「あぁ、そのようだ」
「ただのゾンビなら別に怖くなくないか?この世界は強い能力しか居ないんだ」
無羽飛はそう言う。
「いや…俺達の想像しているゾンビとは全く違う。不死で力が強まるところは大体一緒なのだが、頭がいい…ということなんだ。あいつらは集団行動をしたり、能力をそのまま使ってくる」
「えぇ…そんなの勝てないじゃない」
アスガは頭を抱える。
「それに、エデンの来る夜には…"蒼い夜"が来る――」
第五幕【蒼い夜】
「蒼い夜ってなんですか?」
結弦は聞く。
「残念だが、そこまでは分からないな…ただ、『エデンの来たる夜の時、世界は青に染まり、蒼い夜となるだろう』と。歴史書には書いてあった」
「やっぱり何かしらの効果はあるんでしょうね…わざわざ青くするくらいだし」
「それもそうだな。他の生徒の救出もしたいところだが…この状態じゃちょっとばかし難しいな…どうやらゾンビ共の能力強度は高いようだしな」
「とにもかくにも、エデンって奴を倒さければな…」
無羽飛は言う。
「あっそうだ。またアースさんとかアトゥムさんとかの天界組を呼んでなんとかしてもらわない!?それならゾンビ共を鎮められるでしょ?特にハデスさんとかは死者の魂を操れるからゾンビにも有効なはずよ」
アスガが結弦に言う。
「確かに…それなら簡単だね。この前、天界の人達に通信機を貰ったし、連絡も出来る」
結弦はアトゥムに通信を送る。
「繋がらない…みたいだね…」
「えぇ…まぁこういう時って大体繋がらないけど…」
「電波は要らないはずだがな…そもそもの繋がりを絶っているみたいだな…」
シーンとその場の空気が静まる。
「ちょっと…この4人じゃ到底勝てなさそうだね…」
結弦は少し苦笑いして言う。
「笑ってる場合じゃないでしょ…ヴィクトニケー!七央ー!早く帰ってきなさいよー!」
「もしかしたら、天界の人達が前のJOKERの時みたい異変に気付いて来てくれるかもしれないぞ」
無羽飛がそう言って地面へ寝転がる。
「お…歴史書を見てたらこんなことが書いてあったぞ?」
零矢が言う。
「どうやら、ゾンビは朝になると体の腐食が滅されて元の体に戻るそうな…」
「今は2時36分…あと数時間すればそのまま朝だな」
無羽飛が時間を確認して言う。
「じゃあ、このまま寝ればもうこの騒ぎも収まるわね?」
アスガが言う。
「いや…頭がいいなら物陰に隠れたりして朝になっても日を防ぐんじゃないかな…でも、活動はしやすくなると思う」
「それじゃあとりあえず朝になるまで寝ましょうか…」
全員は地面に転がり眠る。
――5時間後。
「はぁ…少し寝れたわ…外を見てみましょうか」
アスガが地下から顔を出して校長室の窓を見る。
「あれ…?ちょ、ちょっと…まだ外が暗いわよ!?」
その言葉に全員が固まる。
「蒼い夜の永久か…」
零矢が拳を握る。
「蒼い夜になってる間は時間も進まなければ外部との連絡も絶たれるの!?」
アスガは椅子に座ってため息をつく。
「かなりヤバい状況だな…ここがバレることは無いだろうが…どうしようか…」
無羽飛はその場にへたり込む。
「蘇生なら…ヴィクトニケがしてくれるから、もう倒しちゃっても大丈夫なんじゃない?」
結弦が提案する。
「え?まぁ…別に…そう…かもだけど。勝てるのかしら…」
アスガは落ち込んで話す。
「僕達はヴィクトニケの訓練を何回も越えてきたんだ…今更、ゾンビ相手なんて怖くもないよ」
結弦はアースから貰ったカイゼルリボルバーに弾を込めながら外に出る準備をする。
「ここに居てもしょうがないしな。行くとしよう」
無羽飛も立ち上がる。
「それも…そうね…!私達なら大丈夫…!」
アスガも立ち上がる。
「よし、皆準備万端のようだな…!それじゃあ行ってこい!」
校長は結弦達を地下室から送り出そうとする。
「校長も行くのよ!!」
アスガは零矢を引っ張り出して地下から校長室へ出る。
「死にたくないんだよ!!」
零矢はバタつきながらも出てきた。
「よし…外に出るぞ!」
結弦の掛け声と共に、結弦達は外へ出た。青い霧が夜とデルゲ・セントラルを囲う、その力を解くために――
今回から天界への決着がつき、深淵世界編が始まりました!これからも応援してほしいです!今回の能力紹介はクリスの能力です!
クリスの能力
《想像顕現》
想像したことを顕現し、扱う。特に制限は無い。さらに、オムニバース内であれば全てのものを取り出したり消し飛ばしたり出来るほどの力を持つ。全ての創作物とそれに繋がる世界を消し去る。




