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カインズファミリー  作者: ジオサイト
2/3

宴には愛すべき親類たちが沢山集まってくれて


 そこにまたインターフォンが鳴って、ドアマンが不思議そうにしている。


 ボンと煙と共に現われたのは、魔女のシィ。


「はーい、ジーク・・・私との甘い・・・わぁお、ワンダー・・・久しぶりね」


「ああ、シィ。久しぶり。やっぱりふたりは昔・・・」


「しっ、妻には秘密にしているんだ」


「「ふぅん」」とアンビーとグラッティ。


「しょうがない・・・子供達、今月のお小遣い1万ウッチカヒ、プラスしよう」


「「やっりぃー」」


 ハイタッチするふたりをよそに、ホウキに乗ったシィが窓まで飛ぶ。


「すまないなぁ」


「この節操なし!」とシィ。


 はたくように落とされた先で、ジャックはまた子供達のボールになる。


 その様子を見ていて、ワンダーがぼやく。


「シィ・・・あの女の前では、俺は男だった・・・」


「元の鞘に戻らないのかい?」


「あやふやが濃くなった原因は、あの女だぜ・・・」


「はぁ・・・」


 大きなため息を吐いてかぶりを振るジーク。


 ワンダーに向き直ると、「一杯どうだい?」と言う。


「あら~、そう言えばお菓子を作って来たのよ?」


「「なに、なに?」」


「毒リンゴのコンポートと、ウイスキー入りのチーズケーキよ~」


「それはうまそうだなっ。さぁさ、客間にどうぞ。シィもねぇ」


「わたしはしばらくここに座っていたい」


「まぁ、それならそれでもいいが・・・シィ、どうして早めに来たんだい?」


「遅刻魔の君が」とワンダー。


「親戚じゃないのさ。新入りを素直に祝福したくてねぇ」


「嬉しいなぁ・・・なぁ、アンビーとグラッティ?」


「「うん」」


「あら、まぁ~。なんて可愛いんでしょう?お小遣いあげましょうか?」


「「うん!!」」


 猫なで声の魔女が降りて来て、唇を妖艶に舐める。


「あ。うっかり、していたぁ」とジ―ク。


「なんだ、認めたのかと思った」とワンダー。


「そんなわけはないだろう。子供達よ~、シィと変な遊びをしたら孕むぞ~」


「「分かった~」」


「なんで言うのよっ?」


「俺はあいつの前では・・・男だったのに・・・」とワンダーがぼやく。


 その背中をさすりながら、客室へと向かうジーク。


 それとすれ違いに、玄関前にやって来たアゲハ。


「子供達~、着替えは済んだの~?」


「「まだ~~っ」」


 シィも混じって『首だけジャックのM遊び』をしている子供達。


 その首が飛んできて、ヘディングで迎えるアゲハ。


「子供達っ」


「「・・・分かったよ~。おじさん、おばさん、ありがとうね」」


「いい、いい。鳥かごに戻しておくれ」


「私がやろう」


 子供達から投げてよこされたジャックを、鳥かごに戻すシィ。


 黒づくめの服に、黒い造花飾りのついた帽子、編み上げのブーツも黒。


 


「あれ?今わたしは、何かをうっかりしている?」とジークがぼやく。




 そこは屋敷の中にある聖堂で、そこに親戚や親しい友人たちが集まっている。


 不安そうに妻を見ると、「大丈夫よ」とウインクされる。


「うっかり、して、しまって・・・」


「パーティー」


「誰の?」


「この子の生誕歓迎パーティーよ」


 妻が腕に抱く赤子を見て、「ああ、そなのか」と言うジーク。


 周りにはドレスやスーツを着た親類たちばかり。


 そして妻は、隣。


 少し遅れて登場した立食会に、アンビーとグラッティはおしゃれをしていた。



「おめでとう」


「おめでとう」



 そんな言葉がかかる中、わいわいと賑わうパーティー。


 主催は家長のジークであるが、なんのことだったのか『うっかり』している。


 そしてはっとして、「あ。思い出した」と言って、グラスをスプーンで鳴らした。



「今日は皆、集まってくれてありがとう。


 またカインズファミリーは人数を増やすかもしれないけど、よろしくね!」


「「よろしく~」」


「新入りの名はラーシュ、どうか祝福してくれ~」



 そこにワンダーとシィが声を透した。


「「純血種の君、生誕おめでとうっ」」



 言葉が分かったのか、赤子が笑う。



「ほら、アンビー。ちょとは自分でだっこをして」とアゲハ。


「僕がするよ」とグラッティ。


「危なっかしいよ」とアンビー。


「俺たちの子供だろう?」とグラッティ。


「まぁ、そうだけど」とアンビー。



 アンビーがだっこをしてその肩に片手を置くグラッティは写真に映る。


 皆が歓声をあげた。



「「純血の君、生誕おめでとうっ」」




 ジークはアンビーとグラッティに言った。


「ふたりももう、子供ができたんだ、落ち着きなさいね」


「「・・・はい」」


「ほう、いきなり素直じゃないか?」



 顔を見合わせ、にっと笑い会う夫婦のはずの姉弟。


 父を見て、「うっそだっぴょーん」と嬉しそうに言う。



「はっはっは。まーた、だまされてしまったぁ」


「あ・な・た」


「ん?どうしたんだい?ハニー?」


 アゲハが言った。


「昔を思い出したのよ、私とあなたが結婚した頃を」


「嗚呼、なんてことだ・・・」


「そしたらね、気づいたことがあるの」


「どうしたんだい?」


「もしかしたら、宿っているわ」


「もしかして、僕たちの赤ちゃんが?」


「そうなの」


「いつの?」


「もうすぐ生まれるわ」


「いつっ?」



「もう、頭が出てきている」



 会場は盛り上がりを増して、持っていたグラスをかかげた。


「「チンチーン」」


 ジークはかかげたグラスの中身を、高い位置から浴びるように自分にかけて飲んだ。


 


 ーおわりー

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