カオスドラゴン
「学園近辺にSSS級ドラゴン反応確認。形状未確定。出撃可能な部隊はただちに出動してください!」
警報と放送が入ってから上級生が動き出すのは早かった。
すぐさま瑠璃が全員に指令を出した。
「黒式くんと九頭竜さんはこの場で待機。万が一のために戦闘準備はしといて! 他の人はすぐに戦闘準備をし、フォグ・ディフィートに搭乗し確認地点まで急行する!」
その指示にそれぞれ返事をし、準備に取り掛かった。
寮の前には瑠璃たちが操縦する6体のフォグ・ディフィートがまず出現し、それと同じく学園の周辺から現れ一斉に警告場所に向け出動した。
「私たちはどうしよう」
先輩たちが出動した後残された真琴がそわそわとしながら問いかけてきた。
まだ訓練すら受けていない状態での待機命令として不安な気持ちでいっぱいなのだろう。
「とりあえず戦闘用の服装に着替えて、すぐに出動できるようにしよう。訓練も受けていない状態だからいきなり実践なんてこともないだろうし」
「そうだね、じゃあ準備だけしておこう」
そういうと真琴は先に部屋に戻り交代で着替えることにした。
戦闘準備が終わった龍二たちは、一度学園へと向かうことにした。
他の寮の生徒もすでに学園へと来ているようだ。
「全員静かに!! この中に零式部隊の1年はいますか?」
そういうのはここのフォグ・ディフィート総合作戦指揮官の桜刀あやねだ。
彼女は、学生の身分でありながらも教員などより戦闘技術などが優れているため総合指揮官としてやっているようだ。
「いるのならすぐに私のもとに来なさい!」
龍二たちは急いで1年生の間をすり抜け、桜刀指揮官のもとへと向かった。
「「ここにいます」」
「私についてきてください。確認してほしいことがあります」
そういうと彼女はすぐさま建物へと向かって歩き出した。
龍二たちも遅れないようそのあとを追うと、そこにはたくさんのパソコンが並んでおり、一つ一つにフォグ・ディフィートの損傷具合、結合率、パイロットの心拍数などが表示されている。
そんな中部屋の一番奥に巨大なモニターが今の戦闘している映像を映し出していた。
「状況を説明している暇はありませんので単刀直入に聞きます、あの映像のドラゴン見覚えはありませんか?黒式龍二くん」
巨大なモニターに大きく映し出された1体のドラゴンと評されたそれを見て、龍二は目を見開いた。
そこに移っていたのは、鉄優衣香とドラゴンが混ざり合ったような姿をしたものだったのだ。
「なっ! あれは姉の体を乗っ取ったドラゴンです」
龍二は腰を抜かしたようにその場で座り込み、そう呟いた。
「全戦闘部隊に通達! 対象のドラゴンを最上位ランクカオスドラゴンと確認。能力解放ができない生徒は全員退避! その他は全能力解放したのちに総攻撃に当たれ!」
『『『了解!』』』
直後ミサイルなど破裂音、鉄同士がぶつかり合う音など多くの音が聞こえてきた。しかしその衝撃に耐えかねて一旦映像と音声が乱れ、状況がわからなくなってしまう。
「映像・音声回復します」
その一言に指令室にいる全員が画面に注目し、全員が驚愕することになった。
ドラゴンは無傷なのに対しこちら側は零式部隊のメンバーしか残っていなかったのだ。
〈その程度か? 人間ども。所詮は我らのコアを体に埋め込んだ機体で我に傷をつけれるとでも思ったか!〉
(このままじゃ先輩たちも危ない、何とかできないのか!)
まるでその思いに呼応するように龍二のデバイスに蒼く紋章が刻まれた。
その紋章は、デバイスだけにとどまらず龍二の体へと広がり始めた。
「龍二くん! どうしたの」
真琴はいち早くその異変に気が付いた。そのとき龍二の右腕はまるでドラゴンの腕のように固くなっていたのだ。
「このままじゃ先輩たちが危ないです! 俺も行きます」
そういうなり龍二は走り出した。
その後ろで桜刀あやねが何かを言っていたようだが龍二の耳には届かなかった。
「姉がそうなら弟まで一緒の性格なのね」
まるで昔を懐かしむような声色であやねはつぶやいた。
「九頭竜さん、今すぐフォグディフィートと契約して! 私と出るわよ」
あやねは九頭竜家の家紋が彫られたデバイスを渡しながら言い放った。
「はい!」
二人はすぐさま龍二を追って出撃した。




