消失
カオスドラゴンと蒼いドラゴンは、お互いに接近し火花を散らしあう。
地面をえぐり、辺りに突風が吹き荒れる。
「なんて速度なの! 私たちの機体じゃあんなことできないわよ」
その光景を見ながら、零式部隊のメンバーはつぶやく。
「今は見とれてる場合ではないわ。とりあえず後援部隊と合流するわよ」
瑠璃は、全員に言い聞かせると後ろを気にしつつ、後退を始める。
そのころ龍二を追うようにカオスドラゴンの方向に向かっていたあやねと真琴は、フォグディフィートの調整ができ次第猛スピードで彼を追いかけていた。
「なんていう速さだ。こちらの機体の全力を出していても姿を追うこともできないのか」
あやねは早々に準備を終え、監視モニターより戦況を確認しながらつぶやく。
真琴は初期登録が済んでいなかった分出遅れたが、なるべく早く準備しあやねのもとへと急ぐ。
「準備できたみたいだね。悪いけどすぐに出発するよ」
「はい! 戦況はどうなっているんですか!」
オロチ型の機体がまだ動きが鈍いのをあやねは確認した。
「戦況は向かいながら話す。まずはゆっくり進むから、その中で関節部部などの調整を済ませて」
そういうとあやねはさっそく走り始めた。彼女の期待は狼型でスピード重視の機体だが、まだ機体に慣れていない真琴に合わせて走ってくれている。
真琴も最初のうちは、進みが遅かったが徐々に関節も滑らかに動くようになっていき10分もたつと期待の動きも滑らかになり、あやねの機体に追いつていった。
「遅くなってすみません! 機体もなじんできたのでスピード上げてもらって大丈夫です」
「わかったわ。じゃあ状況も伝えていくわね」
スピードを上げた二人は、状況を整理していった。
「まず龍二君は、現在カオスドラゴンと戦闘状態にあり、零式部隊のメンバーは、一時後退して隊列を立て直そうとしているわ」
「じゃあ龍二くんは今一人で戦っているんですか。 前方にフォグディフィート反応があります」
真琴はちゃんとレーダーを確認しながら状況を確認していたのだ。
「あれは零式部隊のメンバーよ。一旦停止して彼女たちと合流しましょう」
そのころ傷を負った零式部隊のメンバーは速度を落としながらも、援軍を探そうとできる限り急ぎ機体を動かしていた。
「みんなレーダーを見て! フォグディフィート反応よ!」
レーダーを見た後全員がホット一息つけると思った。
しかし機体の反応数は2機。それも見たことがない機体名だった。
「念のため、警戒して。味方か敵かわからないから」
「でもあのオロチ型の機体って九頭竜家の機体じゃないかしら」
「ていうことは、真琴さんたちなの?」
そう話している間にも2機のフォグ・ディフィートは近づいてきて、零式部隊のすぐそばで停止した。
「皆さん大丈夫ですか?」
オロチ型のフォグ・ディフィートから出てきたのはやはり真琴だった。
「ええ、私たちは大丈夫です」
「ですが黒式くんが!!」
「わかっています。まずは落ち着いてください」
そういいながらあやねがフォグ・ディフィートから出てきた。
あやねは司令官の立場にあるので零式部隊の面々は敬礼しようとした。しかしそれを遮るようにあやねは話し始めた。
「今は立場を気にしないでいいわ。まずは鉄姉弟の援軍に向かわないとね」
「優衣香のことを知ってましたの!?」
「こちらでも観測はできてましたので。とりあえずふぉぐ・ディフィートの再生を大至急行ってください」
「大丈夫です。黒式くんたちが衝撃を緩和してくれたおかげでほぼ完治してます」
その言葉にうなづくあやねは、全員に戦場へと向かうことを告げた。
零式部隊の面々が戦場へ戻ってくるとそこは、焼け野原と化していた。
あらゆる食物は枯れ、地面はえぐれ溶岩が噴き出ていた。
「なんでこんなことになってるの!」
「鉄姉弟は!」
そう叫ぶ声に反応したかのように、何かがぶつかり合う音が聞こえた。
音が聞こえる方向に見えたのは、カオスドラゴンと蒼翼のドラゴン。
お互いがぶつかり合うたびに、時空のゆがみが観測された。
「このままあの2体を戦わせるのはまずいわ。時空のゆがみが広がれば彼らも時空のはざまに捕らわれかねない」
瑠璃の言葉につられるように戦闘を止めようと、一斉に走らせようとした。
しかしすでに遅すぎた。
零式部隊の面々が、動き出そうとしたのと同時に時空のゆがみは臨界点を超え、大きな口を広げ2体のドラゴンを飲み込んでしまった。
瑠璃たちはその光景に絶句する。
そしてついにはフォグ・ディフィートを刀へと収め、その場で泣き崩れてしまうものがほとんどだった。
彼らは死んだ、誰もが思った。だが龍二たちが時空に飲まれてしまったところから眩しいほどの蒼い光の柱が突如現れた。




