047 「再開」
一話1000字程度の短編連作です。3分もあれば読めるかと。
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なんとか合流を果たすことが出来た錬金術士一行は、山登りを再開していた。しかし足を負傷していた錬金術士はなかなか動けるようにはならなかったため、お手伝いさんが背負って移動している。
「重くないー?」
「全然……余裕っすよ! むしろ……軽いくらいです!」
と、またしても強がりを言う。
体調が万全であるならば、錬金術士くらいの華奢な女の子一人背負った程度は何の問題もない。だが、すでに満身創痍であるお手伝いさんにとっては坂道ということも手伝ってかなり重く感じてしまう。
だからと言って女の子に向かってバカ正直に「重いです辛いです」と物申せるほどお手伝いさんの性根は腐ってはいなかった訳だが。
ちなみにいぬねこには自力で歩いてもらっている。洞窟の中ではほとんどがお手伝いさんに運んでもらっていたんだから、今更文句も言えまい。
「ほんとゴメンねー。今度からは運動もするよー」
「そうしてくれると助かります……! けど、錬金術の仕事も……しっかりお願いしますね……!」
抜け目がないというか、しっかりしているというのか、むしろしっかりしすぎているくらいだった。錬金術士にちゃっかり仕事もするように促していた。
さすがお手伝いさんである。
「ゼェ……ハァ……」
正直な所を言ってしまうと、今にも死にそうだ。息が荒くなるにつれ、冷たい空気が喉を通り過ぎる度に痛みが増していく。唾を飲み込んでも収まる気配はなく、悪化していくばかり。喉が乾燥しているのか、冷えているから痛みを感じるのか、それさえもよく分からない。
とにかく暖かい飲み物が早く飲みたい。
それだけを考えて歩を進めていた。
「あと……どれくらいで……すか?」
カッサカサの声でお手伝いさんは聞く。
錬金術士といぬねこは目的地である師匠の家の場所を知っているはずだが、お手伝いさんは知らない。ただ闇雲に歩いているだけである。
「ここまで来れば小生でも分かる。案内しよう。ついてきたまえ」
いぬねこが先導してくれるようだ。
なるべく起伏の少ない歩きやすい道を通ってくれているので、実に歩きやすかった。いぬねこの密かな心遣いを感じてしまって、不覚にも少し感動した。
「――っとと……」
その時、しっかり掴まっていた錬金術士の腕の力がフッと抜けた。
危うく落としそうになったため慌ててバランスを取る。
見てみると、スヤスヤと小さな寝息を立てていた。
(ここまで一人で登ってきたんですもんね……疲れちゃったのかな)
まるで子供みたいな錬金術士を見て、お手伝いさんは小さく笑った。
しかし錬金術士が寝てしまうとなると、簡単に休憩が出来なくなる。錬金術士の寝顔という良いものを見れたが、これは由々しき事態でもあった。
一刻も早く師匠の家に到着する事を切に願うお手伝いさん。
果たしてその望みは叶うのか。
次回第48話「師匠の家」
お楽しみに!




