016 「魔女?」
一話一話が1000字程度の短編連作です。一話に3分もかからず読めると思うので休憩とかにドゾ。
毎週火曜日付近に更新中!
「だ、だって……魔法って世間一般的に良い印象が無いでしょ? 毒リンゴとか呪いとか」
「毒リンゴは知らないですけど……まぁそうですね」
この世界には魔女と呼ばれる人が存在している。魔女がいるという事は当然、魔法も存在している。だが、一部の限られた者にしか扱う事は出来ないとされていた。
限られた者にしか扱えない。
その特殊性が人の心を揺さぶり、浸食し、支配した。
やがて魔法を操る者が逆に魔法の魅力に操られて暴虐の限りを尽くし、大国を火の海にした。
そんな出来事が数十年前にあったきり、世の中の魔法に対する意識は恐怖と嫌悪になっているのだ。
「だから……その……」
「魔法でやったとか思われたくない、と?」
「うん……」
予想以上に素直に頷いた錬金術士。
その姿を見て小さく笑みをこぼしたお手伝いさんは、こう言った。
「先生が魔女だったとしても別に驚かないですけどね」
「……え?」
予想外の言葉だったのか、呆気にとられている錬金術士。彼女のこんな顔を見れるなんて、本当に今日は珍しい事が続く一日だ。
「そもそも魔法って攻撃的なものしか無いじゃないですか。他人の傷を癒す魔法なんて無ければ、物を作ったり直したりする魔法なんてもっと無いですよ」
だから、錬金術士は魔法なんて使ってない。錬金術士は魔女じゃなくて錬金術士なんだから、魔法なんて使えるわけがない。
「そ、そうだよねー! うん、そうだよー!」
お手伝いさんの言葉を聞いて、何に納得したのかは分からない。
「僕はやる事さえやれていれば、何の文句も無いんです。終わりよければ全てよし、っていぬねこちゃんが教えてくれました。大事なのは結果で、過程はどうでもいいんですよ」
少し冷たい言い方に聞こえるかも知れないが、紛れもないお手伝いさんの本心だった。
「あれ、でも武器は見当たりませんね?」
武器を大量に作って欲しいという王様からの依頼があったはずだが、武器の〝b〟の字も無ければ、その影も形も見当たらなかった。
作った分だけ報酬が出ると書いてあったから作れるだけ作っているんじゃないかと思ったお手伝いさんだったが、そんな事はないようで。
「あ……」
「あ?」
錬金術士が小さくこぼした。
「忘れてたねー」
底を尽きかけているお金を大量にゲットするチャンスなのに……。
手紙を貰ったのは昨日の今日だし、何もそこまで急がなくても良いかと思い直しつつも、頭を抑えたお手伝いさんだった。
補足として、お手伝いさんが言っていた魔法に関することは本当です。
この世界において魔法はありますが、攻撃的な魔法しか存在しないと言われています。




