第三幕 第十二場
おれが目を覚ますと、すでに朝になっていた。
おれはいま見た夢を反芻する。このあいだ見た夢と、同じような似た夢を見ることには成功した。そしてそのつづきを見るべく、おれは白石ヒカリと行動をともにしていた。そして大事な話があると言われた瞬間、白石の姿は消えてしまった。
いったいなんの話だったのだろうか、とおれは思った。それについての記憶は何も思い出せない。そもそもそんなことが、実際にあったのだろうか?
そしにしてもおかしな夢だ。途中から白石が消えたかと思えば、悪夢へとつながってしまった。しかも犯人の顔は赤松だった。それはまちがいない。
「赤松が殺したのか?」おれは疑問を口にする。
頭のなかで夢について整理していると、だれかのすすり泣く声が聞こえてくるではないか。
おれは思わずどきっとし、すぐさま上体を起こした。そしてとなりで眠っているアリスへと目を向ける。するとアリスの目からは涙がこぼれ落ちている。その姿を見て、おれは混乱の波が押し寄せるのを感じた。どうすればいいのだろうか?
「……なさい」アリスがつぶやくようにして言った。「ごめんなさい……ごめんなさいタクヤ」
おれはその意味がわからず、眉をひそめる。どうやらうなされているようだが、どう対処すればいいのかわからず、しばし見守る。すると突然、アリスは体を激しく悶えさせはじめた。そのためおれはすぐにその体をゆする。
「おいアリス!」おれは声を大にする。「だいじょうぶか」
アリスはなおも苦しげに体をよじり、うめき声をあげはじめた。その姿は悪霊にでも取り憑かれているようで、不気味でおそろしくも感じる。
「おい起きろアリス!」おれは叫んだ。「起きるんだ!」
その声に反応したのか、アリスは目を開けると、勢いよくがばっと体を起こした。そして胸を押さえて息を喘がせる。
「だいじょうぶかアリス?」おれは心配そうに声をかけた。
「……平気よ」アリスは疲れた笑みをこちらに向ける。「ただ悪夢を見ただけだから。あなたもよく見るでしょう」
そう言ってアリスは苦笑する声を漏らすと、こぼれた涙をぬぐった。その姿を見て、おれは心がうずくのを感じた。




