表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/64

第二幕 第一場

 気がつくとおれはひとり立ち尽くしていた。なぜ自分がここにいるのか、よくわからない。あたりは真っ暗で闇に包まれている。


 すると風が吹き、おれは自分が外にいることを知る。


 しばらくすると雲に隠れていた月が現れ、周囲を照らしだす。そのおかげで目の前にある観覧車の輪郭がうっすらと見てとれた。


 それを見て、自分がいま緑山ドリームワールドの廃墟にいたことを思い出す。


 おれは手にしていた懐中電灯で前を照らす。観覧車のゴンドラは虹色のグラデーションカラーとなっている。しばしのあいだ、おれはそれを見あげていた。すると突然女性の悲鳴が聞こえてきた。


「白石!」


 おれは白石ヒカリの姿を求めて、すぐさま周囲に視線を走らせた。だが暗くてどこにいるのかわからない。


 ふたたび悲鳴が聞こえてくると、声のした方向へと走り出す。やがて行く先に人影を捉えた。すぐさま懐中電灯を向けると、白石がハンマーを持った何者かに襲われている。そいつは黒い雨合羽を着てフードをかぶっているため、何者なのかよくわからない。


 白石は相手が掲げるハンマーを振りおろさせまいと、その腕をつかんで阻止しようとしたが、その手は振りほどかれた。するとつぎの瞬間、その頭にハンマーは振りおろされた。


 それを見て、おれは叫び声をあげると無我夢中で相手に向かっていく。こちらに気づいたのか相手が振り返る。その顔は猫だ。


 その姿を見て一瞬だけ驚くも、すぐにそれがただのアニマルマスクだと理解する。


 おれは白石を助けるため、相手からハンマーを取りあげようと、その人物ともみ合いになる。だが相手の顔を押さえていた手がマスクごとすぽっりと抜け落ちた。その不意をつかれ、ハンマーで頭を殴られてしまったおれは地面へと倒れふす。


 相手はおれが死んだと思っているのか、落ちていたアニマルマスクを拾いあげる。


 おれは相手の顔を見るべく、気を失わないよう意識を集中させた。そしておれは相手の顔を——







 夢から目を覚ましたおれは、歯がゆさから頭を掻きむしる。


「なんでだよ。なんでいつも、ここで目が覚めるんだよ!」おれは苛立ちの声をあげた。「ちくしょう、ちくしょう……」


 おれはくやしさのあまり、涙をこぼしてしまう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ