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幕間 その一

 ビデオカメラはおのれを起動させると、自身を撮影モードへと切り替えた。するとビデオカメラの液晶ディスプレイ画面には、人の気配がしない、さびれた夜道が映し出された。


 するとビデオカメラはその動作をたしかめるかのように、ズームアップとズームバックを繰り返す。それを何度か繰り返したあと、こんどは左右に動きだした。まるで周囲の様子を探っているかのような動きだ。


 そのため画面には、夜道の周囲の様子が映し出されている。だが夜のためあたり暗く、街灯もぽつぽつといくつか立っているだけだ。そのため見通しは悪く、いまいち周囲の様子がわからない。


 ビデオカメラは自身のカメラを下へと向けた。そのため画面は大きく揺れ動き出し、地面を映し出す。するとビデオカメラの操作音のような物音が聞こえてきた。


 しばしその音がつづく。するとつぎの瞬間、ビデオカメラは色を失った。画面には白黒の世界となった映像が、映し出されている。どうやらビデオカメラは、自身を暗視モードに切り替えたようだ。


 ビデオカメラはふたたび夜道にカメラを向けた。先ほどとちがって周囲の様子が見てとれる。どうやらまわりには建物らしい建物は見あたらず、木々に囲まれている。


 ビデオカメラが夜道に目を向けていると、一台のバイクがこちらに走ってくる。すると画面が大きく揺れ動き出した。どうやらビデオカメラは隠れる場所を探すかのように、道から離れていく。そして木々のあいだに身を隠すと、そこからのぞき込むよう形で、夜道を観察する。先ほどのバイクはすでに通り過ぎており、その姿はどこにもない。


 ビデオカメラはしばらくそこにとどまり、夜道を注視している。すると何者かの、かすかな息づかいの音が聞こえてきた。だがあまりにも小さすぎるため、それが男のものなのか、それとも女のものなのか、その判別はできない。


 やがてビデオカメラが動き出しはじめた。地面を踏みしめる音が聞こえてくる。ビデオカメラは動いては立ち止まり、そして夜道を見ては、ふたたび動いて立ち止まり夜道を見る。その動作を何度も繰り返した。どうやら撮影ポイントにでも悩んでいる様子だ。


 だがほどなくしてその動きが止まると、まるで獲物を待ち構える肉食動物のようにその気配を消した。聞こえてくるのは虫の鳴き声だけとなった。


 ビデオカメラはそのままその位置で、夜道を監視つづける。

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