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【第二章】第四十一話

「うわああ~!」


ハナゴンは断末魔の勢いで、首を前後左右に振ってあがいた。アイラの手とハナゴンの首が擦れて、摩擦熱を発して血が滲み出てきた。首が赤く腫れあがり、相当に痛そうである。

ハナゴンとアイラはもみ合っていたが、ハナゴンはスルスルと抜け出した。


「痛かったけど、うまくいったぜ。」


ハナゴンは、首を強く振ることで首の皮を切って、滑りをよくして、すり抜けていたのである。

何を思ったか、ハナゴンは急いで抜け殻アミラのところに行き、足首に触れた。しかし、追いついたアイラに引き離された。


「メス蚊アマ、俺に力を貸してくれ。その中にある麻酔薬が欲しいんだ!」


『どうしてこんなものがいるじゃん?アイラに多少の痺れを与えることはできるけど、戦闘的にはあまり期待できないじゃん。』


「今はそんなことを考えてる余裕はない。俺の痛みを和らげるためだ。まあ藁にも縋る思いだぜ。」


『藁よりはマシじゃん。ちょっとアタマに来たじゃん!』


大きな泡を立てながら、注射器木憂華は痺れ薬たる液体を、両手で皿を作ったハナゴンに流した。


「じゃあ、こうするかな。」


ハナゴンは麻酔薬を自分に塗る、のではなく、大ドリルに塗って、アイラに投げつけた。


「それで私を弱らせようとするならお門違いだ。」


アイラは大ドリルを見ることなく、軽く頭を動かしてかわした。


『いわんこっちゃないじゃん。それだったら、自分に塗って傷の痛みを癒やした方がマシだったじゃん。』


あさっての方向に飛んでいた大ドリルは、回転してブーメランのように、アミラに当たった。


「ぐわあああ~!」


それまで完全なる沈黙の戦艦だったアミラが声を上げた。


『アミラがやられたじゃん。ハナゴンの狙いはアミラだったのか?どうして抜け殻なんぞを攻撃した?ムダじゃないかじゃん?』


「そうではないぞ。これが俺の真のターゲットだぜ。アイラが『アミラを抜け殻』だって言ってたのは、俺たちを騙すためのブラフだ。アイラが抜け殻で、モンスターはアミラの方だ。」


『どうしてそれがわかるじゃん?』


「さっきアミラの足首をつかんだ時にわかったんだ。その時に筋肉の温度が俺に伝わった。アミラは筋肉温度が低くてまるで生気がなかった。アイラにはかなりの筋肉温度があった。アイラにはその前に触っていたからな。ヤマンバだからこそわかる野生の勘ってヤツさ。」


『キモイじゃん。もうハナゴンには触らせないじゃん。』


「ガクッ。ここはほめるとこだろう!」


「ちょっとヤマンバを見くびってたようだな。」


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