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【第二章】第二十三話

翌日もかなりの歯周病モンスターを倒したハナゴン。黒字歯科総合病院の前で、すでに花子に戻っていた。


「これだけ診療報酬を貯めれば、そろそろ青い歯の女子を探す時間を作ってもいいよね。」


「そうですわね。ワタクシもお礼をしないといけませんし。」


 そこに昨日助けた三つ編み女子高生が病院から出てきた。


「あら、あなた。口のケガはもう痛くないのかな。インプラントがしっかりしてるから大丈夫だよね?」


「・・・。」

 花子の言葉を完全にスルーした三つ編み女子高生。


「どうしたのかな。あまりにも痛くて昨日のことを覚えていないのかな。」


 それから他にも昨日花子が治療した人が病院から出てきたが、花子には見向きもしなかった。


「なんかすごく変だよ。あたしが治療した人たちが、一言も喋らないみたいだよ。目も死人みたいになってるよ。これって、まさか、治療の副作用?」


「副作用なんかじゃないじゃん。」


「そうなんだ。じゃあ、患者たちがあんな風になってるのはなぜ?」


「歯を抜けば失うものがあるのは当たり前じゃん。」


「失わないようにするために、インプラントオペをしたんじゃないの?」


「オリジナルの歯を抜いて、インプラントオペで穴埋めをすれば骨の一部としての物理的機能は復活できるじゃん。でも歯を全部抜くことで、からだに大きなショックが走る。そして大きなものを失うことになるじゃん。」


「まさか、それは・・・。き、記憶?」


「そういうことじゃん。」


「だから、治療したあとの患者を抜け殻って呼ぶってこと?」


「その通り。でも抜け殻にならなければ歯周病に苦しみ、モンスターに支配され、やがて死に至るという危険性もあるのだから、これでいいじゃん。そういうことを含めて割り切って治療してると思っていたけどじゃん。」


「そんなのダメだよ。記憶失うってことは、その人のこれまでの喜びや悲しみ、感情をなくしてしまうことだよ。つまりここまでの人生を奪うことじゃないか!」


「治療すると言っても万能じゃないじゃん。患部が存在するということはどこかが悪い。患部を放置すればさらに体に悪いことになる。それを防ぐために、多少の歪みが生じたとしても、その人間にとって、トータルではプラスじゃん。医療とは損得勘定でプラスであれば実行されるのが原則じゃん。」


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