【第二章】第十六話
「抜いた歯のあとはどうするんだよ?」
「そこで出てくるのがインプラントじゃん。」
「でもあたしにはそんなオペはできないよ。」
「だから、早く絵梨奈を助けて、インプラントオペをしてもらうじゃん。」
「そうか!牙狼院さんなら、それができるんだ。でも、牙狼院さんがどこにいるのか、まだわかってないよ。」
「絵梨奈の探し方は餌付けじゃん。」
「はあ?意味がわからないよ。」
「アミラはなんのために絵梨奈を奪っていったのかじゃん?」
「それもわからないよ。」
「そもそも歯周病モンスターは、血が腐るので、新たな血液が要る。人間を襲うのはそのためじゃん。いわば、Qと同業。大量にいるわけではないけど、少しずつ必要。ずっと血液補充がなければ人間を襲って一気に充血するじゃん。」
「充血の意味が違うよ。」
「血液を補充するのだから、充血という表現で問題ないじゃん。」
「じゃあ、牙狼院さんはすでに干からびてるんじゃ?」
「そんなに大量には消費しないからまだ心配ないじゃん。でも吸われた人間の体力が弱る。もっと言えば、血液はおいしくなくなるじゃん。より新鮮な血液があればそこに吸い寄せられる。だから餌をまく。血の滴った生肉とヤマンバを吊すじゃん。山にいるのは確実。人里離れた山であれば、他の歯周病モンスターが来る可能性は低い。名付けて『生肉餌付け作戦』じゃん。」
「え?あたしが餌付けするってこと?しかし今の話だと、餌付けの餌になるっぽいけど。」
「そうとも言うじゃん。」
「そうとしか言わないよ!」
こうして前回絵梨奈がさらわれた山の麓で、キャンプすることになった花子と木憂華。
「わ~い、キャンプだ、祭りだ、プラグが立ったじゃん!Qは修学旅行とか行ったことないし、高貴なので、ホテル以外に泊まったことないしじゃん。」
赤いジャージ姿でテンションをあげている木憂華。
テントは花子が用意した。山での生活に慣れているという点では木憂華には心強かった。花子もジャージを着ているが、頭から生肉をぶら下げており、胴体の周りにも同じものを円を描くように並べている。




