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便利すぎる農業スキルでスローライフを満喫します。  作者: AZ
第1章 『忘れられた村』編
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5話 お米を作ろう

よければ、ブックマークと評価をお願いします。

今後とも、応援よろしくお願いします。

精進して執筆します。

 昨日、焼酎を飲みながら考えていたことがあった。

 農業スキルは確かに便利ではあるが、どうも『農業』をしている感が無い。もともと便利な能力が多いので、普通に農作物を育てても早く育つだろうし、その方が『目立たない』ですむ。必要なものは種を使うにしても普通の農作物は普通に育てる方が良いのではと考えたわけだ。まあ、その考えに踏み切ったのは、農業スキルに新たに追加された『交配合』というもの事を知ったからだ。


 『交配合』は『新品種を作るために交配する』ことが出来る。品種改良を最適に作り上げることができ、レベルが上がると交配できる数が増える。現在は2種類での交配しかできない。交配するには『タネ』ではなく『食べ物』の状態でなくてはならず、また交配した物は普通の農作物と同じ条件で育てなくてはならない。動物の場合は普通に飼育することはもちろん、必ず雄雌で交配すること。


 つまりだ。交配種は普通に育てる必要がある。これぞ、俺が望んでいた農業だ。しかも、農業スキルが上がったおかげで『整地』の能力にも追加機能が出来ていた。それは、『水田』と『飼育場』を作れると言うモノだ。

 早速、数種の米を交配させてたモノを作り、水田造りに最適な場所を探す。


「家の裏側を切り開いて水田にするか」

「そう言えば家の裏側は整地しただけでしたね」

「山なりに下るような場所なので畑には向いてないと思い手付かずにしてたけど…水田なら丁度良いかもな」


 上手くできるか分からないが、失敗したら整地し直せばいい。

 ということで、水田を意識して『整地』の能力を使う。下り坂に、5段の水田が出来あがる。

 広さは1段横300メートル×縦200メートルくらいだろうか?これだけの広さがあればそのうちもち米作りにも着手できるだろう。

 とは言っても1番の問題は水田の命ともいえる『水路』である。

 農業スキルで何か良いものはないか見ていく。…ふむ。


「お、あるじゃないか」


 俺は魔法の種の中に『水魔法の種』を見つけた。水魔法の初級呪文は『魔力を水に変換する』と言うモノ。俺は早速この『水魔法の種』を育てる。


「…スキルはカードだったから魔法もって思ってたんだけど…まんま木の実とはなぁ」


 ドングリの倍はある青色の実をもぎ(かじ)る。


「うおっ。甘くて瑞々しい」


 溢れんばかりの旨味の汁。全部食べ終わると身体に『ちから』が増えたような感じがする。ステータスを確認すると『水魔法』と言う書き込みが増えていた。さらに詳しく見ると、『水流呪文<ウォーター>』と

書かれており、内容文には『魔力の増減により水の量を調節して出せる魔法』ということだった。


「どれ…どんな感じかな?『水流呪文<ウォーター>』!」


 身体から何かが抜けるような感覚と共に掌から水が生まれ溢れ出す。

 初めての魔法と言うこもあって調節するのに手間取る。

 魔力と言うモノを使うとなんとなくだが身体が重くなるような…。肉体的疲れではなくて気が重くなる…だるくなるような感じだ。とは言ってもそれは一時的なもので、魔法を止めるとそう言った感じはなくなっていた。


「魔法は精神的な疲れが出ます。長期の連続使用は控えてくださいね。まあ、ススム様は高い魔力がありますから心配ないと思いますが一応覚えておいてください」

「もしも、魔力を使い果たしたらどうなるんだ?」

「気絶します。一晩寝れば回復しますが、普通はそうならないようにしますね」

「それはなりたくないよね」


 どうやら魔法はスキルほど便利なだけではないようだ。…いや、スキルも俺が貰ったのが便利すぎなのだろう。ついでとばかりに俺は数種類の魔法の種を植えて、水田の水入れを完了させた。


「さて、全部に水が十分行き渡ったし苗を植えていくか…」


 交配した『コシヒカリ・エクセレント』を植えていく。

 この米は従来の『コシヒカリ』や『あきたこまち』に『ササニシキ』、『ひとめぼれ』や『つや姫』など有名どころをブレンドして作ったその名の通り『優秀な米』で、病気にならず、通常の米の倍は実るのに育てるための水の量は通常の半分で済むという。産地特有の特別米食べると『体力と魔力』をある程度回復させる効果がある。また『腐ることが無い』と言う…まさにその名に相応しいお米なのだ。触感は程よいモチモチ感に程よい噛み応えに加えて程よい香りと甘みが『日本人』に最適の味の米と言える。その上、(ぬか)臭さは全くなく飼料や漬物などに用いるには最良の『米ぬか』と言えるのだ。さらに、研ぎ汁さえも甘味と旨味があるので、土作りに活用すれば死んだ土地さえも復活させるほどの『栄養素』も持つ。酒にすれば芳醇にしてキリっと引き締まり、後味に残る味わいはまさにも至高と言えるそんな極上の一品になる。


「ここまでくると、作った後の楽しみしかないな」


 俺はそなことを呟きながら下の段から植えていく。ここでも農業スキルの影響は抜群で、何の農具も必要なく均等に一糸乱れることなく植えられる。小さいころにやった苗植え体験の授業では、端から端までに張られた紐を頼りに苗を植えることで綺麗に植えられる。しかし、泥上の水田は足が取られやすく、ちょっとしたことですぐに倒れてしまったのを覚えている。だが、そう言う心配は全くなく、また中腰での作業は腰に負担となるのだが、同じ格好での硬直感以外は痛みも疲れも感じなかった。


「植え終わったな。―――おおっ!」


 5段目を植え終えて振り返ると、1番下の水田の稲がすでに黄金色に実っていた。

 その美しさに思わず声が上がる。声の大きさに田植えを手伝ってくれていたナビ子さんも何事かと顔を上げて俺の視線の先を見る。


「立派なお米ですね。食べるのが楽しみです」

「まあ、収穫は後にして家に戻ってお昼にしようか」

「はい。疲れたので、肉が良いですね」


 水魔法で汚れを洗い流し家へと戻る。

 ナビ子さんの提案を思案しながら帰宅し、キッチンの前であるメニューを思い浮かばせる。


「肉ね…なら、アレにするか」


 昨日作った種の中にあったあるモノを思い出し俺は昼食メニューを決めた。

 まずは、キャベツ・もやし・玉ねぎ・ピーマンなどを塩コショウで味を調え炒める。これで簡単野菜炒めの出来上がりだ。さて、メインディッシュだが、豚肉のバラ肉を選択する。焼いたときの硬さと肉汁のバランスが俺好みだし、タレとの相性も抜群だからだ。そう…俺が選んだのは『焼肉丼』だ。焼き肉のタレを種の中に見つけたときはテンションが上がったね。しかも、甘辛・中辛・辛口の3種類もあった。今回は丼と言うことなので甘辛のタレにしておこう。


「やっぱタレは後かけが良いよな」


 これも好みだが、漬けダレのものよりも後かけの方が美味しいと俺は思う。もちろん、漬けダレの美味いのもあるということは知っているがこればかり好みなので仕方がないと諦めてもらおう。

 焼きあがった肉を丼ご飯の上に盛り付けていく。そして最後の仕上げに甘辛タレをかけて…。


「完成~」


 アツアツの焼き肉にかかったタレが醸し出す匂いが食欲をそそる。すぐに食卓に出来上がった料理を並べる。


「さあ、食べよう」

「「いただきます」」


 掻っ込むように食べる。肉とタレとご飯が相まって旨味の3重奏が口に広がる。


「んま~い!」

「やっぱ、甘辛タレの選択に間違いはなかったな」

「ススム様の世界の味はどれも美味いです」

「最高の褒め言葉、ありがとう」

「「ごちそうさまでした」」


 食べ終わり、余韻に浸るナビ子さんにお茶を出す。

 俺も一息ついて食後休憩を取る。


「後は稲刈りに脱穀に精米か…」

「脱穀と精米は農業スキルの農産加工で出来ますよ」

「そうなると…時間が出来るな」


 全部を今日中に刈り取ろうとは考えていなかったので、空いた時間をどうするか悩むところだ。


「それでは、交配で新しい野菜を作ってみてはどうでしょうか?」

「ふむ。新しい野菜か…。作ってみるか」


 ナビ子さんの提案に俺は応えることにする。

 美味しい野菜の交配に胸躍る俺であった。

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