4話 収穫の味は…
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「さて、何を作るか…」
アイテムボックスの材料を確認する。ステータス画面の『アイテムボックス・無限』をタップすれば収納商品のリストが確認できる。数や量も記載されているので見やすい。しかも出したい商品を思い浮かべるだけで好きな数量を取り出せるのだから便利である。
「まずはご飯を炊くか」
米をアイテムボックスから3合分出す。面倒だが、作り置きは好きじゃないので食べるだけ炊くのが安住家流だ。
「炊飯器とか見慣れた感じだけど…使い方も同じなのかな?」
「その魔導炊飯器はボタンを押すだけで大丈夫です。あと保温に加え炊きたてをそのまま状態で維持します。魔導コンロは右のボタンからから強火、中火、弱火、火を止めるとなります。魔導オーブンはボタンを押して5分で温度が一定温になります。魔導レンジもボタンを押すだけで物を温めてくれます。もう一度押すとどちらも止まります。水道は右の蛇口が冷水が出て左の蛇口がお湯が出ます」
「なるほど、使い方のレクチャーありがとう、ナビ子さん」
米を研ぎ、魔道具の炊飯器で米を炊く。さておかずは何にするか…。
あっ…油が無い。バターを代用に使うか。じゃあ、ステーキでも作るとしますか。香辛料にニンニクチップがあったのを心から感謝するね。それを植えた自分にも感謝したい。
熱したフライパンにバターをスプーンひと匙分入れてニンニクチップを投入する。量はちょっと多めにするのは俺の好みだ。匂いが出たところに厚切り牛ロースを入れる。俺はミディアムレアが好みだ。
焼いたステーキは皿に盛ったところでアイテムボックスに仕舞い、フライパンに残った煮汁に醤油を加え煮詰める。これも器に入れてアイテムボックスへ。キャベツを千切りにして氷水にさらしてパリッとさせてから皿に持っておく。おっ。飯が炊けた。早いな。
「んじゃ、パパッと作っちゃいますか」
丼を2つ出してご飯を盛る。そこにキャベツの千切りを適量乗せて、さらにその上にステーキを乗せたらソースをかけて、最後につまむ程度のワサビを乗せたら『ステーキ丼』の出来上がりだ。
「よし。じゃあ、食べようか」
「ご相伴になります」
「「いただきます」」
手を合わせて、食事の挨拶。基本だね。
俺とナビ子さんはステーキ丼にカブりついた。
「美味い!」
「おいひいれす・・・」
口いっぱいに頬張るナビ子さんに笑みをこぼしつつ、俺もステーキ丼に舌鼓みを打つ。
ワサビのツンと来るのもステーキの肉汁と相まって…我ながら中々の出来に満足である。
「ふぃー…満足です~」
「お粗末様でした」
お茶っ葉が無いので、アイテムボックスからコーヒー牛乳を出す。
最後で締まらないなぁと思ったが、ナビ子さんは満足しているようなので良しとするか。
「それでは…」
「「ごちそうさまでした」」
声が揃い、笑い合う。
食べ終わった丼を洗う。…やっぱ、衛生的に洗剤やスポンジも欲しい。
「さて、食後休憩としますか」
俺がリビングにいくと、ソファで転寝しているナビ子さんがいた。
俺はナビ子さんの隣に座り、ゆっくりとステータスを確認する。
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『ススム・アズミ』 23歳 セントヒューマン(聖人) 異世界からの訪問者 農業初心者
LV:1
HP:1007
MP:1009
EP:1003
ちから:782
たいりょく:842
すばやさ:690
ちのう:773
こううん:10000
肉体強化 極大幸運 超豊穣
農業スキル(LV:5) アイテムボックス・無限
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あれだけ動いても基本レベルは上がってないなぁ。
農業スキルと自身のレベルとは切り離して考えたほうが良いということか。これは後でナビ子さんに聞くことして今は保留しよう。
次はレベルアップした農業スキルを確認する。
基本的部分は変わったところない。まあ、ポイントは減っているがそこは分かってたしね。
個別の項目は結構増えていた。飲み物に葉っぱ類やインスタントコーヒーやコーヒー豆も増えていた。
「午後はとりあえず最低でも1種類ずつは植えてみるべきだろう。そこから必要なものを残していく形で良いだろうと言うことでこの後の方針が決まった。
まあ、建物系とは今回は省くとする。
「…アレ?」
良く確認すると『農業商店』のところが点滅していた。
俺はすぐさまタップする。
すると…。
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農業商店からのお知らせ
レベルが上がりましたので以降の種を購入できます。
書籍の種…10000ポイント
運動用具の種…10000ポイント
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「おっ。本とスポーツ系の種か。これはどっちも購入だな」
嬉しい種類の種だがこれからもレベルを上げれば種類が増えるのだろうか?
項目的にはもう十分の様な気もするが…。でも、相変わらず『???の種』はそのままであった。
「それじゃあ、そろそろ再開しますか」
俺は立ち上がり背伸びをする。ナビ子さんはぐっすりと眠っているので起こすのも可哀想なので置いていこう。本当なら毛布でも掛けたいところだが無いのでそのままにするしかない。それに、部屋の中は普通に温かい。多分、温度調整が自動で行われているので大丈夫だろう。
俺はナビ子さんを起こさないように家を出た。
「さて…植えられるだけ植えていきますか」
面倒ではあるが、種を1つずつ選んでは植えるといった作業を延々と繰り返していく。
ある程度植えては魔法のジョウロで水を与えていく。気が付けば日は大きく傾き夕日になろうとしていた。
「そろそろ収獲していくか」
振り向くと収穫を待つ実った作物がそこにあった。
俺は1つずつ収穫してはアイテムボックスに仕舞う。
全部を収穫したころにはすっかり日が暮れようとしていた。家に戻るとナビ子さんが出迎えてくれる。
「ただいま」
「おかえりなのです」
「農作業って疲れるんだなぁ」
「なにも全部収獲しなくても…。すぐに必要じゃない物は明日でもよかったんじゃないですか?」
「え?実ったらすぐに収獲するんじゃないの?」
「…そんなわけないじゃないですか。別に腐るわけでもないし…」
農作物は普通実った時点で収穫だと思っていたので、俺はナビ子さんの言葉を聞きその場に崩れ落ちたのだった。
「俺の頑張りを返してくれ…」
「そこまで落ち込まなくても…よ~しよし、ススム様は頑張りました。偉いですよ~」
「慰めが子供向けっ!」
ナビ子さんの癒し方に思わず突っ込む俺だった。まあ…悪くはなかったですが…。
「さて、夕飯の用意をするか…」
いつまでも落ち込んでいられないので立ち上がりキッチンへと向かう。
アイテムボックスの中身を確認し、鶏のもも肉と片栗粉を出す。
今日の夕食は塩唐揚げとみそ汁にサラダとご飯にしよう。
「まずはご飯を炊いてみそ汁を作って…と」
みそ汁の具は人参にジャガイモに大根、玉ねぎとほうれん草にする。
我が家ではみそ汁には最低で5つの具は入れるようにしていた。それが安住家の味である。なので、俺も味噌汁を作るときは必ずそうしている。
みそ汁ができたのでメインディッシュに取り掛かる。
「もも肉は一口サイズに切っていく…」
「野菜を洗うです」
「お願い。油を天ぷら鍋に1/3ほど入れて熱して、切ったもも肉に片栗粉をまぶしていく。余計な粉は軽く振って落として…うん。下準備完了」
油が熱するまでに網パットと盛り皿と塩を用意する。
「よし。そろそろ良いな」
粉をちょっと入れて泡が立つのを確認して、熱した油にもも肉を入れていく。
カラッと揚がったら網パットに置いて余計な油を落としていく。塩を適量振ったらさ皿に移して出来上がりだ。
さて、後はサラダだな。
「サラダ、出来たです」
「ナビ子さん、作ってくれたの?ありがとう」
これで夕飯は完成だ。ご飯を盛ってダイニングテーブルに着く。
サラダドレッシングは『フレンチドレッシング』で良いだろう。
「それでは―――」
「「いただきます」」
挨拶をするやいなやナビ子さんは唐揚げを頬張る。
食べた瞬間、ナビ子さんの表情に笑みが浮かんだ。
「おいひいれす~。さいこうれふ~」
「分かったから落ち着いて食べ様な。俺も食べるか…うん。美味い!」
「モグモグモグ……」
「…負けそうな食べっぷりだな」
どんどん塩唐揚げがナビ子さんの胃袋に消えていく。
その小さな体の一体どこに入っているのか?と思うくらいに食べている。
嬉しい半面、俺の分が残るのか不安になり慌てて塩唐揚げを口に運ぶ。
「うぷっ。食べ過ぎました…です」
「しょうがないなぁ…ほら、『調整のポーション』」
「ありがとうございます…んぐ、んぐ」
『調整のポーション』はちょっとした腹痛や頭痛、歯の痛みや筋肉痛に女性特有の生理痛などを治し、身体の調整を整えてくれる薬なのだ。
「ふぅ。苦しいのが治りました」
「それじゃあ、お風呂に入って早めに休んと良いよ」
「そうさせていただきます」
フラフラ~と風呂場に向かうナビ子さんを見送り、俺はグラスに氷を入れて焼酎を注ぐ。
「ゴクゴク…美味いねぇ…」
お酒は色んな国で飲んできたが、やっぱ日本のビールと焼酎は別格だと思うのは日本人だからだろうか?
つまみは乾き物が無いのでフライドポテトを作ってしまった。まあ、好きだったというのが理由であるが…。
「まあ、これはこれで悪くないなぁ…」
ちょいしょっぱめのフライドポテトにしたので焼酎との相性も悪くない。
このゆったりとした時間…これもまた悪くないとしみじみと思うのだった。




