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第五話-【第二幕:交渉のテーブル。魔法の電球が切り開く『等価交換』】(挿絵あり)

 リナの寮は学院の独立高級学生寮にあり、ここの部屋は一般の寮の倍の広さで、独立した応接室と書斎を備えていた。


 アーガスがこの丹念に設えられた空間に入った時、彼はすぐに主の品位を感じ取った。

 壁には高価な絵画が数点掛けられ、本棚には様々な言語の典籍がぎっしりと並び、ティーテーブルには精巧な磁器の茶器セットが置かれていた。


「座って、私の……観察者さん?」


 リナは優雅に、アーガスに自分の向かいのソファに座るよう促し、自身は女王のように端正に腰を下ろした。

 彼女の語調はリラックスしていたが、その中に隠されたからかいがアーガスを居心地悪くさせた。


 アーガスは不器用に咳払いをした。


「さっきの……あの男の人は、先輩の恋人ですか?」


 アーガスは自分の頬を指差した。


「恋人?」


 リナはふふっと吹き出し、その瞳に明らかな侮蔑の色を浮かべた。


「親愛なるアーガス。あなたは貴族という生き物の浅ましさを、少々甘く見すぎているわ」


 彼女は優雅にティーポットを持ち上げ、自分のために一杯の紅茶を注いだ。

 その動作は流れる雲や水のように滑らかだった。


 彼女はティーカップの縁をそっと撫で、口元に冷ややかな笑みを浮かべた。


「さっきの二人。一人は二年生の最大派閥のトップで、生徒会での自分の地位を固めるために私の持っている商業情報を必要としているの。もう一人は五年生の大貴族の子弟。浅薄にも私の美貌と、そして……私の家の財力に目をつけたのよ」


 リナは紅茶を一口すすり、眼差しを鋭くして、嘲りの弧を口元に描いた。


「彼らにとって、私という商人の娘には貴族の血統がなく、地位は彼らより低い。でも好都合なことに、お金はあって背景はクリーンで、おまけに絶世のハーフエルフ。愛人として囲うには最適なのよ」


 彼女は少し言葉を切り、冷気を帯びた語気で言った。


「特にあの派閥のトップ。彼の考えは単純よ。権力で私を圧迫して、自分専用の愛人にしようとしているの。あらあら〜、こういう男たちのちっぽけな考えなんて、私にはすべてお見通しなのよ」


 彼女はティーカップを置き、目の中の冷意を瞬時に消し去ると、すぐに気怠げな笑顔を見せた。


「まあいいわ、こんな退屈な話は置いておきましょう。あなたの話をしましょうよ、私の〜首席顧問さん? 一体何が目的なの?」


「首席顧問?」アーガスは困惑してその呼び名を繰り返した。


 リナの笑顔に再び面白がるような色が戻った。


「忘れたの? 我が商会はすでに、あなたを『首席技術顧問』として正式に雇用したのよ。あなたが給料を拒否したとはいえ、役職はそのまま残っているわ。今、あなたが私から何かを学ぼうと尋ねてきたのなら、それは顧問が教えを請いに来たってことじゃない?」


 アーガスは当時のヴァンデル商会での会合を思い出した。

 リナ先輩は確かにその役職を提案した。彼は確かに拒絶したが、今思えば、彼女は彼の拒絶を一度も本当に受け入れたことはなかったらしい。


「俺は……」


 彼が言いかけると、リナの手振りに遮られた。


「チッチッチッ。親愛なるアーガス、あなたは順序を間違えているわ」


 リナは人差し指を伸ばして空中で振り、眼差しを鋭くした。


「商業交渉において、要望を伝える側はまず自らの誠意と実力を示さなければならないの。私の知識が欲しいのなら、あなたは私に何を提供できるのかしら?」


 彼女の語気はさらに圧迫感を増した。


「だから、首席顧問先生。あなたの『誠意』とは何? 私の時間はとても貴重なのよ」


 アーガスは呆然とし、額から冷や汗が滲み出た。

 確かに彼はこの問題イシューについて全く考えていなかった。


 リナ・ヴァンデルは商会の令嬢であり、金には困っていない。生徒会の幹部であり、地位にも困っていない。彼女の社交スキルは極まっており、友人にも困っていない。


 クラスで孤立しているエンジニアの自分が、一体何を交換材料として出せるというのか?

 リナの顔に次第に苛立ちが浮かぶのを見て、アーガスはかつてないほどの窮地を感じた。


「俺……俺には……」


 彼が言いかけた時、突然バックパックの中のある物体を思い出した。

 今朝、ミリーに安定性テストの実験を見せようと思っていたのに、急いで出かけたために取り出すのを忘れていたものだ。


「待ってください」


 アーガスはバックパックを開け、中から一定の光を放ち続けるガラス球を取り出した。

 これは彼が錬金室で本物のガラスを使って作り直した実験品プロトタイプであり、密閉状態での持続時間をテストするためのものだった。


 外観は粗末だが、その安定した光源としての効果には価値があるかもしれない。


 リナ先輩の目は瞬時に輝き、その声には少女のような純真な驚きが混じっていた。


「わあ! 光る泡だわ……」


挿絵(By みてみん)


 しかし言葉の途中で、彼女は自分の失態に気づいたように、その子供っぽい興奮を素早く引っ込めた。

 目には抜け目ない商人の光を閃かせる。


 それは、商人が商品の価値を評価する特有の眼差しだった。


「これは泡ではありません。ガラスで作られた……俺はこれを、電球バルブと呼んでいます」


 アーガスは説明プレゼンを始めた。


「これは柔光術をベースにした改良版で、光球をガラス容器内に密閉し、安定性を維持しています。内部に施されているのは聖属性の柔光術なので、精神を安定させる波長を放出します」

「最も不思議なのは、これがエネルギー保存の法則に違反しているように見える点です。俺の観測データによれば、エネルギーを持続的に出力しているのに減衰ロスしないんです」


 彼の目には困惑の光が満ちていた。

 明らかに、この現象はエンジニア出身の彼にとって非常に理解しがたい(アンデファインドな)ものだった。


「それに、最も重要なのは、俺が発見したのが……」

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