表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/28

第3話 パッとしないパットはパッタリと入らなくなる

 鳩賀 通(はとが とおる)さんが放った2mほどのパットは、カップの縁をなめるようにして通過していき、そのままグリーンを出て草むら(ラフ)まで転がって行った。


「うーん、もうちょっとだったのになぁ、惜しい!」

「2mのパット外して10m以上向こうまで行って、言う事はそれですか」

 キャディの私、孟子 蘭(もうし らん)が額に指を置いて悩んでいるのに、当の鳩賀さんは全然残念そうじゃない、むしろ堂々とした笑顔だ。

 ちなみに他の二人はお腹を抱えて大笑い……うん、楽しそうで何より。


 この鳩賀さん、なんでも初めてコースを回った時の最初のホールで、20m以上のロングパットを見事に決めた(無論大まぐれ)せいで、それからの彼にとってパットとは『正々堂々と正面からぶち込む事』になってしまった。


 パッティングというのは、ゴルフで最も奥の深い世界と言われている。

ほんの数mほどの一打に『入れたい』と『大きく外したくない』の狭間で揺れる人間の欲と恐怖が明らかにされるからだ。


 そういう意味でこの鳩賀さんはある意味無敵のヒトと言えるだろう。大きく外せば、次にまたやり甲斐のある長いパットを残せるのだから。


 開き直っているんじゃなくて、こういうヒトなのだ。


 アプローチをきっちり決め、1m50cmほど残ったパットに、彼はまた真剣そのものの表情で構え(アドレス)を取る。

「ちょ、ちょっと鳩賀さん、下りラインなんですから、ここはソフトに……」

「入れれば問題ない」


 私の意見に聞く耳持たず、かっこーんと強打された球は()()()()()()とカップに向かって行き……そしてカップまで見事に()()()した。


「あああああ……今度はバンカーですよ」

「なぁに出せばいいだけさ」

 その自信通り、見事なショットで呆気なくバンカーの(アゴ)をふわりと超えてちゃっかりオンする。このヒト、技術なら3人の中で一番なんだけど、ショットもアプローチもパットをぶち込むための伏線としか考えてないんだよなぁ。


 結局、3オンからのパットでグリーンオーバー、再度5オンからまたパットでオーバー、改めて7オンからの4パット11でこのホールを終える。


「何で最初にOBした大尾さんが一番成績がいいんですかあぁぁぁっ!」

 思わず絶叫する私に対して、おっさんゴルファー3人はそれぞれの笑顔を浮かべるだけだった。


 大尾オービーさんは「次こそは」と言わんばかりに。

 徳富トップさんは、ちょっとしょげつつバツ悪そうに眼を反らして。

 そして鳩賀通パットがスルーさんは、まぁなんとかなるさと屈託のない笑いを浮かべて。


 本気で言いたい。


 真 面 目 に ゴ ル フ せ ん か あ ぁ ぁ い っ ! ! 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ