(8)放課後の訓練③~空間魔法は魔力勝負?!~
「これからみんなにに覚えてもらう空間魔法は、収納魔法の『空間収納』、移動魔法の『瞬間転移』と『座標指定瞬間移動』、攻撃魔法である『空間断層切開』と『物体移動』、そして、設置型の移動魔法『転移門』。そして、結界魔法である『安全領域』の7種類を覚えてもらいます。
まずは、一番簡単な収納魔法『空間収納』から覚えていきましょう。」
「はい、よろしくお願いします。」
こうして、空間魔法習得の訓練が始まるのだった。
おはようございます?ヒカリ=サギミヤです。
精神と〇の部屋に籠って6日目。いよいよ空間魔法の講義に移ります。
覚えてもらう順番は、『空間収納』⇒『安全領域』⇒『空間断層切開』⇒『物体移動』⇒『瞬間転移』⇒『座標指定瞬間移動』⇒『転移門』の順になります。まずは、『空間収納』からです。ちなみに、『精神と〇の部屋』のような、巨大な空間を創り出す『異空間世界創造』は、空間自体は簡単に創り出せるが、そのほかの要素(大きなもので言えば重力や時間、小さなもので言えば大地や空気など)を創り出すには、すべての属性が関係してくるため、今回は見送った。
「空間収納の魔法は、亜空間に自分だけの領域を創り出して、そこにモノをいてて保管する。いわゆる倉庫の魔法です。この魔法は、生きている生物を入れることはできませんが、したいならば入れておくことが出来ます。また、木などの植物は、切り倒した後のモノか、根が地面から離れていれば入れておくことが出来ます。
この魔法の特徴は、『格納したモノはどんなモノであれ、格納した時点のまま保管される』という事が1つ。もう1つは、いくつも領域を創り出せるという事。また、拡張も可能だという事。そして、それぞれの領域に異なる魔法を付与できるという事です。
例えば、ある空間の対して、『清浄』を付与すると、その中に入れた服などが、綺麗に洗濯されます。
また、『修理工場』という魔法を付与すれば、修理するものと、材料を同時に入れておけば、1~4時間ほどで自動で修理をしてくれます。材料の方は、同一術者が創り出した空間収納内に格納してあれば、そこから自動的に移動させることも可能です。
ここまでで、何か質問はありますか?」
確認のために一度話を切り、みなの顔を見る私。なにも質問がないようなので、話の続きを始める。
「まず初めに、全員に永続回復薬を飲んでもらって、保有魔力を強制的に上げたのは、移動系の物体移動・瞬間転移・座標指定瞬間移動以外の空間魔法は、空間を固定化するため発動時にばく大な魔力がいるためです。
発動さえしてしまえば、あとは、自然界にある魔力で発動し続けるため、術者が発動し続けるために魔力を放出するという事はありません。またその空間への出入りの際も、少ない魔力で可能になります。
空間収納の場合は、最初に使う魔力量に応じて空間の広さが比例するため、魔力は多ければ多いほど広い空間を創り出すことが出来ます。
いくつもの空間を創り出すことは別にしても、拡張する際にもばく大な魔力がいるので、出来るならば1回で巨大な空間を創り出したほうが効率がいいです。
ここまでで、何か質問はありますか?」
モニカさんからの質問があった。
「ヒカリちゃんの説明で、『ばく大な魔力』とありましたが、具体的にはどのくらいの量なんでしょうか。」
「そうですね。教室の広さくらいの空間を創り出すのに大体1万MPほどかかります。この学園に通っている生徒の平均が、大体3000~5000MPほどですね。この国の宮廷魔術師で大体1万MP前後です。
今のあなたたちは、永続回復薬を飲んで1日以上経っているので、既に魔力量が3万MP以上になっています。これだけあれば、入学式が行われた体育館程度の広さの空間を創り出すことが可能です。もう1日待てば、この広場程度の空間を創り出せますよ。」
「そのう…、ヒカリちゃん?」
「何でしょうか?アイリーンさん。」
「1万MPとか、3万MPとか言っていますが、なんなんですか?話の流れから推察すると、魔力の単位のようですが…。私は、今までそんなもの、聞いたことがありません。」
「アイリーンさんのご推察の通り、『MP』とは魔力の単位です。今までは、保有している魔力を客観的に見ることはできませんでした。」
「はい、感覚的にしか確認することができなかったですね。」
「現実世界で明日、学園で行われるステータス測定にも使用されますが、サギミヤ商会が作り出した『魔力計測器』という機械で可能になりました。詳しい保有魔力量に関しては、その時にでも確認してください。
そろそろ、現実世界で1時間経っていて、下校時刻に近づいてきているので、今回の特訓はこの辺で終わりましょう。続きはまた明日の放課後に行います。一応確認しますが、明日以降も私の訓練を受けてみたいですか?受けたくないと思っていたら、今手を挙げてください。ここで私の特訓をやめても、永続回復薬の効果はなくなることはありませんが、これから先は、自分自身で訓練をしていかなくてはいけなくなります。」
しばらく待っても手を挙げる人はいなかった。
「明日の魔術実習の終了から1時間後より、ここ精神と〇の部屋で訓練を再開します。明日からは自分自身でこの部屋まで来てください。そのために転移系の魔導具を渡しておきます。」
私は、ここにいる全員に、魔導具を2種類手渡した。1つ目の魔導具は、『転移の指輪』と『座標針』を5本づつ、2つ目の魔導具は、『ストレージアルスライムの布袋』だ。
「今配った魔導具は、『転移の指輪』と『座標針』と『ストレージアルスライムの布袋』いう魔導具です。転移の指輪と座標針は、2つで1セットとなる魔導具です。
この魔導具は、あらかじめ指輪に記録した座標針のある場所に、術者の魔力を使って転移することが出来ます。もちろんここにも転移することが可能です。指輪に登録した座標針のある場所にしか転移することができませんが。
なので、この広場と宿泊する建物内ならば、いつ利用してくれても構いません。座標針は5本用意してありますので、1本はこの室内で寝泊まりしている部屋に、1本は学園都市内にあるあなたたちの部屋に、あと3本は、…そうですね。とりあえずは、学園内の教室と午後から行う2つの実習がある広場にでも設置しておきましょうか。座標針は、魔力を通した術者しか認識することができないうえ、いつでも移動可能ですので、必要なくなったら設置した場所から撤去しておいてください。ちなみに、ここ精神と〇の部屋には、この指輪でないと行き来することができないので気を付けておいてください。
ストレージアルスライムの布袋の方は、収納魔法『空間収納』を覚えるまでは、あるととても便利な袋です。
では、お風呂に入ってから制服に着替えて、学園の方に戻りましょう。」
その後、転移の指輪と座標針の使い方についてレクチャーする。
こうして学園の正門前にある、『サギミヤ雑貨店ロンドリア営業所魔術学園出張所』内に戻ってきた私たち一行。この建物についても説明し、部活動として雑貨店を開くことになっていることも一緒に話した。また、この部活に、今いるメンバー全員が加盟することにもなった。その後、学園内に3本の座標針を設置した後解散する。解散すると言っても、帰り道はほとんど一緒なんだが。
精神と〇の部屋では、私の許可がない限り、広場を囲む結界の外側には出ることができないので、自主練のためにあの部屋に行っても安全だ。
そして翌日。
今日は、年に数回あるステータス測定の日だ。あと3日で私の誕生日でもあるわけだが、それは今はどうでもいいことでもある。何やらメーリアとテレサが、昨日正式に私の弟子になった10人といろいろとやっているみたいだが、見て見ぬふりを決め込んでいる。
今日は水曜日なので、
1限目科学・2限目国語・魔法学・4限目武術実習・5限目魔術実習となっている。放課後は、精神と〇の部屋での特訓になる。部活動はまだ始まっていないため、お店の方は開店休業状態だったりする。
さて、1限目が始まって10分くらい経ったころに、学校医の先生が教室にやってきた。去年まではこのステータス検査は、1日かかっていたのだが、今年からは、1人当たり10秒ほどで終了してしまう行事になってしまった。それはサギミヤ商会が実験運用で提供した『魔力計測器』のおかげだ。
この魔導具は、検査体となる水晶に手を翳しただけで、魔力保有量のほか、魔法属性や使用できる魔法の種類、戦闘のレベルやスキル、体力や知力、身長と言った身体的、肉体的特徴を計測。計測した情報を『カード化』することが出来る。『スキルカード』と称されたこのカードには、自身のステータスがすべて記載されているので、学園での指導や、その他諸々に活用できるだろうと期待されている。
こうして1クラス当たり、20分ほどでステータス検査が終わっていった。




