(2)御貴族様の子供たち~おバカさんたちは行くよ何処までも~
自己紹介が終わった後は、明日からの時間割と、各移動教室や屋外訓練場の場所などの説明がありました。
こんにちは、ヒカリ=サギミヤです。
入学式も無事に終わり、今は教室で学級活動の時間です。先生の話を聞き、手元のある資料によると、魔術学園での時間割は大体次の形になっています。
1週間の暦は地球と同じで日月火水木金土の曜日となっており、学園は週5日(月曜日~金曜日)が授業です。土曜日曜が休校日となっており、学生は、部活動をしたり、お友達と遊んだりして過ごしています。
また、1年は、1学期(4月10日~6月31日)2学期(9月1日~12月20日)3学期(1月10日~3月20日)で、各学期の間には、夏休み、冬休み、春休みがあります。
我ら1年1組は、次の時間割になっています。
掃除《8:00~8:30》
SHR《8:40~8:50》
1限目《9:00~9:50》
(月)国語(火)物理(水)科学(木)数学(金)社会知識
2限目《10:00~10:50》
(月)数学(火)社会知識(水)国語(木)物理(金)科学
3限目《11:00~11:50》
(月)魔法学(火)教養(水)魔法学(木)教養(金)魔法学
昼休み《11:50~13:00》
4限目《13:00~14:30》
(月)武術実習(火)体術実習(水)武術実習(木)体術実習(金)武術実習
5限目《14:50~16:20》
魔術実習(月~金)
放課後《16:20~18:00》
|閑話休題(HRもおわり)
今日の予定もすべて終わり、皆それぞれ気になるあの子と早速会話を楽しんでいます。
私とメーリア、テレサ、コトリ、コウタ、リョウコ、マナミが、1か所(私の机の周り)に集まって、今後の事を駄弁っていると、確か何処かの貴族令嬢のアイリーンさん?でしたっけ。彼女を先頭として、10人ほどの団体さんがやってきました。現在の立ち位置は、椅子に座っているのが、私とメーリア、テレサ、コトリの4人、私以外は、近くの椅子を拝借した形です。コウタ、リョウコ、マナミは、椅子に座っている4人を囲む形で立っています。
子の立ち位置が気に入らないのか、取り巻きの1人が、私たちに食って掛かってきました。
「下賤の分際で、メーリア様と仲良く話すとはどういう了見だ?それに、メーリア様を見下しているような3人と、同じ目線にいる3人!貴様らは、メーリア様とは口を利く資格もないくせに、やけに偉そうだな!」
テンプレ的なおバカさんですね。これだから御貴族様の子息・令嬢は『バカの集まり』と言われるんですよ。
「ヒカリちゃん、考えていることがダダ漏れだよ。」
コトリが私に注意を促してきました。
「えっ!口から出てた?」
「ええ、ヒカリちゃん。ばっちりと出ていましたよ。本当のことたと言っても、口に出したらいけないと思うな~。」
メーリアが突っ込んできました。完全に無視された形の御貴族様の子息・令嬢はというと、なにやらプルプルと震えています。
いわゆる一触即発の雰囲気ですね。
「貴様!帰属に向かってその口の聞き方はなんだ?無礼にもほどがあるぞ!それに、俺たちに話しかけるときは、儀礼に則った礼をしろ!」
本当におバカさんですね。この人は。少し反撃と行きましょうか。
「私たちの態度が無礼だというのならば、あなたたちの態度も無礼ですね。」
「何だと!俺たちのどこが無礼だというのだ?」
「本当におバカさんの集まりなんですね。御貴族様の子息・令嬢というのは。下賤と言って私たち平民にはいろいろと強要してくるくせに、自分たちの事は棚の上にあげているその態度。
だからおバカさんだというのです。」
「ヒカリちゃんに口で敵うのは、サトミさんしかいませんね。」
「サトミさん以外は、どこの誰であろうと、ヒカリちゃんには敵わないと思いますよ。」
「そうそう、『今の姿』でもこれだからね。ヒカリちゃんが持っている多くの二つ名のうちで、最強最悪の二つ名になった瞬間、この世界でヒカリちゃんを止めれる存在はいなくなるからね。”あれ”になった時のヒカリちゃんは、たとえサトミさんでも止めることは不可能でしょう。」
私の後ろで、何やら内緒話をしているメーリアたち御一行様。
「しっかりと聞こえてますよ。」
私がそう言うと、
「聞こえるように話していたんだから、当たり前でしょう?」
と返されてしまいました。またもや、無視された感じでワナワナと震えている御貴族様の子息・令嬢。
「さっきから聞いているだろうが!俺たちのどこが無礼なんだ?」
「本当にわかっていないのですね。御貴族様の子息・令嬢は!メーリアはもう、気づいているでしょう?」
「はい、ヒカリちゃんとそちらの方の話を聞いていれば、うすうすとですが、何の事を無礼と言っているかくらいは分かります。」
「そこの…、誰だっけ?まあ、誰でもいいわ。あなたたちは、私の態度を見て無礼だと言った。
私が、というか私たちね。
私たちが、メーリアの事を呼び捨てにしたり、ちゃん付で呼んでいたりすることをね。それは、あなたたちの言い分からすれば、「下賤の身でありながら、王族であるメーリア様に対して無礼な口の利き方だ』と言った感じかな?そこまではいい?御貴族様?」
「なんか無礼なルビを振られた気がしたが、それであっている。」
「ならば!そのことを無礼だというのならば、あなたたちはもっと無礼でしょう?この場のメーリアが王族だというのならば、あなたたちは、この場で臣下の礼を取っていなければならない。それなのに、椅子に座っているメーリアを見下す形で立っていることは、無礼ではないの?
私たち下々の者にそのようなことを強要するのならば、まずは自分からするのが礼儀ではないのですか?国王様は、ちゃんとやっていましたよ。」
「新年の祝賀ですね。確かに、お父様は目上の方に対して臣下の礼を取っていました。」
メーリアからの爆弾発言に、しばし場の空気が固まった。それをぶち壊すように、私はこれからの予定を話していく。
「それでメーリア。今日これからどうする?中途半端な時間に終わったから、町にでも繰り出す?」
「それはいいですね。ではこのままお屋敷に帰って着替えてから街を冷かします?」
御貴族様の子息・令嬢は無視して、これからの予定を話し込む私たち。
「今日の学園での予定は、すべて終わっているので、早速町に繰り出しましょう。」
私が席を立つと、ほかの3人も続いて席を立ちます。
「貴様!こともあろうか、俺たち貴族を無視するとは、いい度胸だな!この場で斬りふせてやろうか!」
そう言って、なぜか腰に差している剣と抜いて私たちに向ける御貴族様の子息・令嬢。御貴族様の子息・令嬢の名前は憶えていないので、この場は右からおバカさん1号、2号と順番に呼ぶようにしました。
「ダメですよ、おバカさん1号さん。教室内で武器を抜くのは。校則にも書いてあるでしょう?そもそも学園内で武器を持ち歩いているのは、校則違反なんですよ。それがたとえこの国の王族でもね。
これは没収させていただきますね。」
そう言いながら私は、御貴族様の子息・令嬢が手に持つ刃物をすべて没収します。そして、その場で没収した武器を、錬金術でもってインゴットに変えてしまいます。
「そういえばあなたたち、今何をやったのか、…理解していますか?」
呆然と立ち尽くす御貴族様の子息・令嬢の頬を、造ったインゴットでペチペチと叩きます。御貴族様の子息・令嬢の中で、唯一武器を所持していなかったアイリーンさんだけが、ガクガクと震えています。
「アイリーンさんでしたか。」
「はい!何でしょうか?メーリア様。」
唯一話ができそうなアイリーンに、メーリアが言う。
「今回の事は、すべて不問としますが、次はないですよ。そこで固まっている者たちにも、よ~~~く言い聞かせておいてくださいね。
先ほどヒカリちゃんも言っていたように、学園内では基本武器の携帯は禁止されています。まあ、授業で使用する分には、その限りではないのですがね。」
「はい!」
「それから。」
「それから、何でしょうか?メーリア様。」
「ここは、王城でも公式の場でもありません。よって、私やテレサちゃんのことを、『様』付で呼ばなくても結構です。さらに言うならば、規則に則った礼も不要です。
また私は、身分を笠にして権力を振り回すような人は嫌いです。爵位を持っているのは親であって、貴族の子息・令嬢ではないのですから。学園内では、身分の上下刃関係ないと校則にも明記されていますしね。ここに在学している間は、私たちは等しく、『王立魔術学園の生徒』の1人でしかありません。
そのことをしっかりと胸に刻んで、学園生活を送ってください。
これらの事を、そこで固まっている御貴族様の子息・令嬢に、よく伝えておいてください。」
「わかりました。メーリアさ…、いや、メーリア”ちゃん”。」、
「そう、それでいいんですよ、アイリーンさん。
私はこれから、ヒカリちゃんと街を冷かしに行かないといけないので、これにて失礼しますね。」
固まって動かない御貴族様の子息・令嬢を残して、私たちは教室を出ていきました。




