(1)王立魔術学園入学式~こちらの世界でもあったんですね~
4月10日。
午前中は、在校生の始業式があり、午後からは、私たち新入生の入学式が行われます。
おはようございます。ヒカリ=フレクシア=イマミヤです。
普段は、ヒカリ=サギミヤと名乗っています。魔術学園に在籍している間は、よほどの事がない限りこちらを名乗っていくと思います。
さて、午前中は、転入するタケシとケンジだけが参加していましたが、午後からは、私たち6人の晴れ舞台です。
現在、私たちの学園都市『トロンボ』での生活拠点となる、サギミヤ家のリビングでは、真新しい制服に着替えた私、メーリア、テレサ、コトリ、リョウコ、マナミ、コウタの6人が、タケシとケンジ、2人のクラスメートであるメーリアである姉君のアメリア様の前に整列しています。
ここサギミヤ家の別宅は、魔術学園の正門から徒歩10分くらいの場所にある大きなお屋敷です。『サギミヤ雑貨店ロンドリア営業所魔術学園出張所』は、学園の正門から入った左隣にあり、ここで生活をしてもよかったのですが、やはり、町で遊ぶには少し不便なため、街中のお屋敷を購入してしまいました。ここで生活する予定なのが、私とメーリア、テレサを除いた6人と、アメリア様です。そう、なぜかアメリア様もサギミヤ家で暮らすことになりました。私たち3人の部屋も一応用意してあるので、時にはここで寝泊まりもいいかもしれません。
現在私たちが着ている制服。
男子は真っ白な学生服?ぽい上着に黒色のズボンを履いています。どうも騎士団の簡易礼装を簡略化したものらしいです。ズボンの裾部分と服の袖口部分には、学年を色分けするための帯が入っており、1つ上の学年であるタケシ、ケンジは青色の帯が入っています。夏服と冬服では、上着が半袖か長袖かの違いだけです。
私たち女子の制服は、鷺宮学園の制服でもあった『セーラー服』です。
夏服は、半袖丈で白地に独特の形の黒襟、黒襟には3本の白線が入っています。冬服は、黒地に白襟、襟には3本の黒線が入ります。季節を通して、膝丈の黒いプリーツスカートと、黒色のニーソックス、黒のローファーを合わせています。スカートのすそには、白線が3本入っています。
そして、女子の学年分けは、襟に通すスカーフの色で別れれいます。ちなみに私たち1年生のスカーフは緑色です。今年は、1年生が緑・2年生が青・3年生が赤・4年生が黄となっています。制服の色と合わせて、6属性を表しているんだそうです。
あと、夏用冬用ともに、セーラー服の胸当てと呼ばれる布に、学園の校章が刺繍されています。男子の方は、胸ポケットに刺繍してあります。
実は、アメリア様も含めて私たち10人が着ている制服や、あとで紹介する体操着と実習着には、『始原還元魔法』と呼ばれる魔法が刺繍されています。
この魔法は、次の3つの事象を行います。魔法が発動する時は、空中に漂う魔力を使うため、着用者の魔力は一切使いません。
1つ目は自動修復。制服が戦闘訓練などで破れたりした際、元の姿に修復します。修復速度は、制服の破れ具合に左右されますが、概ね1~5分程度で元の形の戻ります。
2つ目は、自動清浄。日常生活でできる汚れはもちろん、血飛沫などの戦闘時の汚れにも対応。この2つの魔法で、制服は、いつでも新品同様の輝きを維持します。
3つ目は、着用者の体の成長に合わせて、制服も成長?します。何時でもベストな着丈になるように制服も大きくなっていくんです。
この魔法は、既にに失われた魔法として久しく、現在ではこの魔法ができる人がいないんだそうです。しかし、そこは私。『知識の坩堝』から引っ張り出してきた方法を実践したまでです。刺繍に使われているのは『霊糸』と呼ばれている糸です。この糸は、降魔の森に棲むS級の魔物『スパイダークラブ』という蜘蛛と蟹が合わさったような魔物が吐く糸を、聖水の中に10日ほど漬け込んだものを使用します。糸の製糸で使う聖水がなかったため、失われてしまった魔法だそうです。
王都ロンドリアの郊外にある学園都市トロンボでは、夏の期間が5~9月までと長く、逆に冬の期間が1月だけの1か月間しかありません。しかも、冬になっても、10℃を下回る日が数えるほどしかなく、逆に夏になると、30度を超える真夏日が2か月以上も続きます。
ちなみに、私の生活拠点となっているカランでは、四季が明確に分かれており、春(3~5月)・夏(6~8月)・秋(9~11月)・冬(12~2月)と、3か月おきに季節が変わります。夏は気温が高く、冬は氷点下になる日もあり当然雪も降り積もります。冬の期間はランクを問わず、冒険者の仕事で最も多いのが、町の中や街道の除雪作業になるほど積もります。
私たちの制服は、当然夏服となっています。校外学習などで遠くに遠征に行くときは、その場所の気候に準じた服装になります。
午後になり、私たち新入生7人は、それぞれのご両親とともに、学園の門をくぐります。メーリアには、国王様と実母である第1王妃様。テレサには、カトレア様とサーリア様。サトミさんとダイゴロウさんが私の両親役として、タカユキさんとマユミさんがほかの人の両親役として来ています。一部の人しか知らないことですが、今この街には、6大龍神の神子が勢ぞろいしているのです。「知らぬが仏」とはこのことを言うのでしょうか。
巨大な講堂で、入学式が行われます。合格発表の時に決められたクラス順に則り、私たち新入生が講堂に入場します。学園長や国王様の長々とした話が終わった後、私が新入生代表として壇上に上がります。
「日差しも暖かくなった今日この頃、私たち新入生1200名は、本日より格式と伝統のある王立魔法学園に入学する事が出来ました。
…。」
私が読み上げているこのあいさつ文も結構長く、全て読み上げるのに15分ほどかかりました。
「…。
17448年4月10日。
新入生代表。1年1組。ヒカリ=サギミヤ。」
いつも思うのですが、式典での挨拶は、どうしてこんなにも長いのでしょうか?まあ、どうでもいい事ですが。
長かった入学式も無事終わり、担任の後ろをついて教室に向かいます。教室の場所は、第4校舎4階の一番東側です。第4校舎は、正門から一番遠くにあり、徒歩で10分くらいかかります。瞬間転移が使える身としては、校舎が何処にあろうと関係のない事ですが、使えない人たちにとってはとても大変でしょう。さらに教室移動も結構あるみたいなので、さらに大変だと思います。
教室に入りいこ紹介をしていきます。1年1組は、試験で優秀な成績を収めたエリート集団らしいです。クラスの半分近くが貴族の子息・令嬢で占められており、どうも高飛車な感じがしてきます。それは、自己紹介の言葉でも滲み出ています。
「妾は、コロラド王国教育大臣を務めている、ペンタフェンス伯爵家長女のアイリーン=ペンタフェンスである。下賤の者と机を並べるのは、遺憾ではあるが、妾と机を並べて勉強できることを誇りに思うがよい。
父の勧めで冒険者にも登録しており、現在ランクはCランクである。使用できる魔法属性は、風・水・火・地・無・空間であるが、一番相性がいいのが風と水である。今は、上位属性の空間魔法について勉強中であるが、なかなか難しいのが現状である。下賤の者で、空間魔法を使用できる者がいたら、遠慮なく声をかけてほしい。端端遺憾ではあるが、下賤の者からの教えを請うことも吝かではない。」
本当に上から目線でモノを言う、テンプレ的なお馬鹿さんを発見した。このクラスにいる貴族の3割くらいはこんな感じだった。しかし、その彼ら彼女らの顔を白くさせたのが、メーリアとテレサだ。
「私は、テレサ=センダレスと言います。飛び級してきて、みなさんとは歳がだいぶん下ですが、よろしくお願いします。父は、ナリスタリア州の州牧としていますが、私には何も関係ない事なので、私としては、貴族以外のお友達をたくさん作っていきたいです。
今は、お友達でもあるとある人物に師事ており、その一環で冒険者ギルドにも登録しています。現在のギルドランクは、Sランクです。師事している人物曰く、Sランクになると、『人の皮を被った何か』らしいです。どんな意味なのかは知りませんが。Sランクになってからは、師匠でもあるそのこと、あとメーリアちゃんとで、よく一緒に降魔の森に魔物の蹂躙に出かけています。この前は、森の中にある湖で魚釣りを楽しみました。
使える魔法属性は、光・闇・風・水・火・地・無・空間・重力・時間・精霊。つまり全属性を使う事が出来ます。特に相性がいいのは闇と風、水でしょうか。最近やっと瞬間移動が使えるようになりました。」
テレサちゃん、はっちゃけすぎです。クラスのみんなが少し引いています。
私の名前は、メーリア=サンダレス、13歳です。
ご存知の方も多いと思いますが、コロラド王国第2王女です。
私の師匠でもあるヒカリちゃんに誘われて、冒険者ギルドにも登録しています。先月の初めにギルドランクが、SSランクになりました。テレサちゃんも言っていましたが、人の皮を被った何からしいです。
全属性の魔法を使う事が出来ます。その中でも得意としているのが光・風・水・空間・精霊です。現在は、瞬間移動の上位互換である『座標指定瞬間移動』という魔法を習得中です。
私も、テレサちゃん同様に、貴族に知り合いはたくさんいるので、魔術学園では、平民の友達をたくさん作っていきたいと思います。」
メーリアの自己紹介でクラス中が、何処かに旅だっていきました。
「私は、ヒカリ=サギミヤ、13歳です。メーリアやテレサと同じく飛び級してきました。」
「貴様、メーリア様を呼び捨てにするとは、下賤の分際でいい度胸してるな!」
一番最初に自己紹介をしたアイリーンさんが、私がメーリアを呼び捨てにしたことに憤慨している。
「私は気にしていませんよ。それに、お友達から様付けされると、なんだかそこの壁があるようで嫌なのです。クラスの皆さんも、私とお友達になったら、どうぞ呼び捨てで呼んでください。何なら適当なあだ名を付けてもらってもいいですよ。
それから、光ちゃんが”どんな存在”なのかを知ったら、私なぞ、そこらにいる有象無象と同等の存在になってしまいます。」
メーリアが、すかさず私の事をぼかしながら自らの要望も伝える。
「では、話もまとまったところで、自己紹介の続きをします。
私は、もう1つ名前を持っていますが、こちらを名乗ると、皆さんにも学園のためにもなりませんので、ここに在学している期間は、よほどの事がない限り名乗らないと思います。なので、もう1つの名前については、『秘密』という事にしておきます。
貴族の皆さんで、知りたいを思っているのならば、どうぞ『ご自分の力』でお調べください。
調べる際に、何かの権力を使って動員に誰かに喋らせようとすると、大変なことになるかもしれないのでお勧めできませんよ。まあ、知ったら知ったで、それはそれで面白い展開になりそうなので、どうぞお気のすむまでお調べください。
ヒントとして、私の持っている多くの2つ名を持っています。そのうちの1つ、カランにある冒険者ギルドでは、『殺戮幼姫』と呼ばれることもあります。
私のギルドランクはSSで、全属性の魔法を使う事が出来ます。メーリアやテレサも言っていましたが、人の皮を被った何かであり、降魔の森は、私にとっては、暇つぶしに最適なピクニックコースですね。ここまでの自己紹介で、うすうす感ずいている方もお見えでしょうが、私が2人の師匠であり親友でもあります。」
私の自己紹介にに、クラスのみんなは、何処かに旅立っていってしまいました。
魔法属性…光・闇・風・水・火・地・無・空間・重力・時間・精霊
公爵家のご令嬢が、貴族の子息・令嬢とは、あまり深いお付き合いはしませんと宣言したのだ。




