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昔話~思惑~

ガリガリ。ガリガリ。ポキッ。ゴシゴシ。


そんなシャーペンの芯がノートを削る音がこの小さな空間には響いていた。

時々、芯が折れてしまうもののそのリズムは一定で決められた波長を刻む。


「フワァ〜。」


取りかかっていた問題集が霧のいいところに差し掛かった。欠伸を一つに時計を確認。


時刻はいつの間にやら深夜の二時を差していた。

握っていたシャーペンを置き、教材を閉じる。


ガタリ。


俺は椅子を引き、そのまま扉へと向かった。

階下で苦味一杯のコーヒーを啜るためだ。

コーヒーよりも紅茶の方がカフェインは入ってるらしいが。深夜勉強のお供はやっぱコーヒーだと俺は思う。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ズルズル。


そんなコーヒーを啜る音だけがこの静寂しきった空間に反響していた。


コトッ。


湯気が立ち昇るコーヒーを机上に置くと俺は座っているソファにもたれ掛かった。

コーヒーのカフェインがまだ巡っていない。気を抜いた瞬間にこれまで蓄積されていた眠気が一気に俺を襲う。少し横になるか。

と俺は一時間程度だけ眠る覚悟で瞼をゆっくりと閉じた。



はっ。


目が覚めると辺りは真っ暗。…なのはいいことだ。よくある目が覚めたら外からは小鳥達が元気よく会話をしていた。とかいうある意味の寝オチだけは避けれたようだ。

しかも、きっちりと一時間程度くらい寝ただけで起き上がってしまった俺。意外にもしっかりしていたという衝撃な事実に気付いてしまう。 とかなんとか。


ボリボリ。


寝癖頭の頭をかきむしる。まだ意識は正常でない。

顔でも洗うか。

俺はそう思い足を洗面所へと赴ける。


バシャッ。バシャッ。


冷水を顔にぶっかける。

意識は回復するが眠気が無くなったわけではない。


「フワァ〜。」


そんな一つの欠伸が溢れる。


仕方無い。

起きたら少し勉強するつもりであったがこの調子では大して集中できないだろう。だから俺は外に風に当たりにと暗黒の闇の世界へと潜入することにした 。


「フワァ〜。ァ。」


また一つ欠伸が溢れた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


夜の外は昼間とは大部違ったオーラを放っていた。昼間にあった温厚な安心感も夜には呑まれ死すら感じる冷徹な不安を感じる。


人、一人いないこの地に俺は独り足音を刻んでいた。


ん?


気づかぬうちにけっこう歩いたらしい。頭も多少だが快調になったわけだしそろそろ戻るか。

俺は後ろに振り返り、もと来た帰路を辿る。


ん?


そこで。背後に振り向いた瞬間に俺の足は止まる。

俺の目には古くに建設された小さな公園が映っていた。


「この公園。」


そうは言ったものの俺にはこの公園での記憶は薄かった。

小さい頃に四・五回その時に仲のよかった友人と遊んだ程度。

なんせこの公園は遊具は少ないし敷地も狭い。家から一番近い公園ではあったが俺はここを使わずにもう少しだけ歩いた先にあるそこそこの中型公園を多様していた。

長い滑り台は何度滑っても心踊ったものだ。


なのに何故。何故に俺はこの公園で立ち止まる?

その真意に関しては分からないままである。


ブワッ。


瞬間。疾風が如く吹いた鋭い風によって俺の意識は切られた。


何やってんだ俺は?


俺のこの公園への関心はその瞬間的な風と一緒に吹かれ流れたのであった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


帰路の最中。変な感じだった。妙に頭の奥すみに引っ掛かるものを感じていたのだ。しかしそれがいつまで経っても分からない。


一体俺はどうしたんだ?


しかし妙な感覚も次第に寝不足によるもの。疲労がゆえに頭がぐちゃぐちゃしているのだと思い始めソレと結論した。


受験生は大変だ。まぁ、いい。さっさと帰ってさっさと寝よう。全く俺は何しにこんな外に足を運んだのだろうか?


そうは言うものの俺は考えていた。何か大切な。何か大事な事を忘れているんじゃ…。


そんな陰鬱な考えを導くかのように空には光輝な星と満月等が上空を彩っていた。

しかし俺はそんな星等に気付く素振りもなくただただ下に目を向けて残りの帰路を歩いていたのであった。


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