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モブキャラが主人公に成るためには?  作者: 醍麒
【第一章】初戦
13/47

困惑

ここまで読んでくださっている方々へ。


遂にこの話から「剣舞」と「健生」の二人の闘いが始まり第一章の最終に突入します。

長く引っ張りすぎましたことは申し訳ありません。


では、


第13話のはじまり、はじまり~。

僕は言った。

自分の思いを。この闘いの目的を。周りの観客(モブ)に。剣舞に。この世界に存在する幾人かの『主人公』に。伝えた。宣戦布告をした。後戻りはもう出来ない。


長かったのかどうか知らないが僕にとっては長い沈黙だった。

騒いでいた観客も僕が叫んだ途端に静まった。

何を思ったのかは僕には分からない。

しかし、この闘いが遊びではなく真剣なものだと皆にようやく伝わったのだと僕は考えていた。


「そうか。」


始めにこの沈黙の空間に声を発したのは剣舞だった。


「鈴木の思いは伝わった。つまりは俺を倒すことが鈴木の憂さ晴らしになると?」


そんな剣舞の意見に僕は首を横に振った。


「違う。いや、その意見も少しは混じってると思う。けど・・・・。僕が言いたいことはつまり、剣舞を倒すことでこの世から『主人公』という僕ら凡人よりも高位な存在を消すことができるんだ。差別のない平等な世界を創ることに近付けるんだよ。」


「だから、俺を倒すと?」


剣舞が言葉を挟む。


「鈴木が言っていることすら自分勝手の理想主義な考えだ。お前の言っていることは自分の存在自体を自ら否定している。 だから気に入らない俺達を倒す。そうだろ?そんな自分を受け入れられないお前に俺は負けないしそんな奴と俺は闘いたくない。」


「・・・・。」


何か言い返さなければ。でも、頭が回らない。言葉が出てこない。


確かにそうだ。剣舞の言っていることは正しい。

的を射っている。 僕の考えはあくまで『モブ』の視点からであって『主人公』の視点なんか考えてもいなかった。

剣舞等『主人公』から視れば僕の考えは『主人公』の存在を侮辱しているだけなのだ。平等とか言って『主人公』に対しては全然平等じゃない。


僕が間違っていた?


次第に僕はそう考えるようになっていた。こんな観客も集めて。こんな準備もして。 お金だって貯金を殆ど費やした。のに、僕は今こんな場面で諦めようとしている。結局、僕は『モブ』で『主人公』とは交戦も望めないのか?ただの言葉で僕は負けてしまうのか?


そんな時。

観客席から声が飛んできた。


「自分の理念に自信を持てっ!!」


聞き覚えのある声だった。僕は伏せていた顔を上げ声の方向に目を向ける。そこには。僕の目の中には。


佐藤美麗が映っていた。



顔を真っ赤にして必死の表情を僕に向けている。

普段は内気でクラス内ですら意見を言うことを躊躇う彼女。そんな彼女が全校生徒(教員も含む)の集まる中で大声で叫んだのだ。彼女は彼女なりに必死の勇気を僕に託してくれた。


そうだ!


僕は思い出した。美麗の言葉で思い出した。この闘いは最早、僕一人の問題ではないということを。 美麗と約束したのだ。

それと、ここまで読んで頂いている読者様にもこんなところで諦めて終わりなんて申し訳なさすぎる。

それともう一つ…


「ガンバレー。お前!」


「お前の『モブ』魂みせ てやれ。 」


「負けても貴方の努力は認めるわ。」


「全力でやれよ!!」


観客の生徒・教員が美麗の言葉に乗っかって様々なエールを送ってくれている。


「何だ?何だ?」


剣舞が少しだが戸惑い始た。


確かに僕の考えていることは剣舞等『主人公』にとっては自己主義な理想論だ。

しかし、僕等『モブ』が『主人公』を支え、目立たせるなんて間違っている。僕だってこの世界で生きているんだ。僕の考えは確かに自己主義だ。

だが、それがたとえ間違っていたとしても僕はここで闘わなければならない。

間違いなんていくらでもしてやるよ。これで『敵』になったとしてもいい。

だって僕は今、はじめて生きていると感じているのだから。


僕はまだ『モブ』だ。完璧な世界を創る?

何を言っているんだ僕は。もう『主人公』にでもなったつもりか。世界がどうであれ僕が正しくなく間違っていたとしても僕は自分の信念と理念を貫く。

でも、それは決して自己主義ではない。 だってそうだ。これは自分の為だけじゃない。 皆が何かを感じ取った。美麗との約束がある。僕は今。(モブ)の思いを背負っているんだ。だから言おう。もう曲げない。


「剣舞。勝負だ。」


僕の声は。目は真剣だ。今までとは違う。全ての意味が分かった。この闘いの本当の自分の気持ちに気付いた。


「はぁー。」


剣舞は深い溜め息を吐いた。


「もう何を言っても諦めてはくれそうにはないな。 仕方ない。手加減はしないぞ。」


剣舞の目も真剣みを増す。


だが、こんな場面と空気と話の終わりにも関わらず僕はある空気の読めない提案を最後に持ち出した。


「あぁ。悪い剣舞。場所 運動場に移さないか?ここじゃ何かと壊しそうだし。被害も出るかもしれないから。」


「ハ?」


長らくお待たせ致しました。

僕と剣舞の決闘は遂に始まりを迎えるのであった。

次回は少し投稿日が遅くなってしまうかもしれません。すいません。


出来るだけ週に一回は出したいと思っているのでどうか「モブキャラが主人公に成るためのには?」をこれからも宜しくお願いします(..)

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