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モブキャラが主人公に成るためには?  作者: 醍麒
【第一章】初戦
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怒りと始まり

「おいっ!いつまで話してんだ。」


「さっさと戦えよ。」


「さっさとボコせよ剣舞。」


「ガンバレー、そっちの人、少しは盛り上げてね。」

ゲラゲラ。ガヤガヤ。


観客共がそろそろ痺れを切らし始め声を所々から発している。しかし、当の本人達二人にそんな声は聞こえていなかった。


「・・・・・・。」


「どうしたの?剣舞君(笑)?」


僕はニヤケが止まらない。


********


なっ、なんて野郎だ。一体この二週間前に何があったと言うんだ?

悪知恵程度だが完全に戦闘向きのトラップだ。頭の柔軟性が間違いなく上がっていやがる。

なら。間違いなくこの場所にもそういう類いのトラップ(もの)が仕掛けられているはず。

俺はざっとこの場を眺める。


「安心しなよ。刺客の近接対策もちゃんとしてるから。あと万が一、銃弾が飛んできた時の対応策も万全だよ。」


何を勘違いしたのか鈴木はそう言ってきた。一応聞いてやるか。


「どうゆうことだ?」


「じゃぁ。まず婀姫さんが座っている椅子を見てよ。この椅子。実は反磁性(負)の磁性を発しているんだよね。故に万が一、刺客が銃弾を発砲してきた場合でも銃弾を弾くことができるんだ。」


「磁石でいいんじゃないか?」


「磁石じゃ無理だね。銃弾の主体である鉛は磁石には引っ付きもしないよ。」


「そ、そうか?」


「なら、近接は不利じゃ。って考えるよね?でも、大丈夫。これを見て。」


そう言って僕は自身の腕に巻いてあるブレスレットを見せた。


「何だ?それは?」


「磁石さ。但し強力のね。近接と言っても刺客は凶器を所持してくると思うんだよね。近接の凶器ったらほとんどが鉄製の物じゃん。そこで、この磁石。

鉄製の物が空気に触れたとたん僕のこのブレスレットに引っ付く仕掛けになっている。

まぁ。婀姫さんが危険な目にあったら僕が肩代わりする感じかな。

それ以外の危機が婀姫さんに襲ってきた場合はさすがにお手上げだね。というか、それ以外は剣舞に任せるよ。」


一旦。会話を区切り剣舞に理解させる時間を作ってあげる。


「どう?分かっただろ。どれ程、婀姫さんの身が安全か。どれ程、僕が真剣かが。」


僕は言った。だから、闘おう。と。



*********


剣舞は考えた。確かに婀姫は安全だ。

鈴木は俺に全力で闘えるようステージを用意してくれた。別に闘うことに関しては断る理由は無い。


しかしだ。「敵」でもない奴とどうして闘わなければならないんだ。ケンカならまだしも。

真剣(ガチ)でやりあうなんて未だに鈴木の思考が分からない。一体奴は何を考えているんだ?

そんなことを真剣に考えていると鈴木が声をかけてきた。


「まだ、悩んでるの?何をそんなに悩むことがあるの?確かにこの勝負は剣舞に利点は無いよ。でもさっ。それは闘わない理由にはならないじゃない?

だって、君はこの世界の『主人公』に選ばれた人間なんだから。」


「はっ?」


俺は、意味が分からなかった


『主人公』?


何を言ってるんだ?鈴木は?



********


何をとぼけているんだ?剣舞は?


「あっ!?」


僕は思わず声を出してしまう。

剣舞が何を悩んでいるかが分かったからだ。

剣舞は何も分からないんだ。

自分が「主人公」だってことが。

多分それはこの世界に君臨する数多の全「主人公」に言えることだろう。


自分がいつ「主人公」になったのか?

自分がいつ、非現実的な日常を送り出したのか? 分からないんだ。


僕達「モブ」の気持ちが。


「ふざけやがって。」

小さな声が漏れる。


「ふざけやがってーーーーーーーーー。」


僕は怒鳴った。怒った。それで、別に強くなったりはしないけど。


「なっ!?」


剣舞が驚いた。

周りのギャラリーも驚いた。


「何だ?いきなり。」


「うるさいっ。」


「いや、悪いけどうるさいのはお前だぞ。」

剣舞が空気の読めない突っ込みを入れる。


「あー。もー。黙れ。分かんないなら教えてやるよ。僕の気持ちを。この勝負の目的を。」


僕は声量を上げる。周りのギャラリー。『モブ』の気持ちを代弁してやっているとギャラリーに教えてやるように。


「僕達『モブ』はな。毎日毎日。生きている意味も分からずに平凡で現実味のある毎日を送っているんだ。

のに対して「主人公」と呼ばれる奴は生きている意味がある。生きている目標がある。いなくなったら悲しんでくれる人が沢山いる。僕は認めない。こんな差別の世界。不平等の世界を認めない。だから僕はお前ら「主人公」を倒すんだ。平等な世界を創るために。」


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